「オールイン」控え室には、不測の事態に備えて(^^;;)監視カメラが備え付けられております
そこに録音されていたオモシロイ会話をこっそりお教えいたしますよ〜(^o^)
×月×日
テスとチョングの会話
「テス、おいテス」
「はい?なんですかチョングさん」
「お前…よくあそこで平気だな」
「は?…?あそこって?」
「…BHCだよ!」
「ああ、そう言えばチョングさん、昨日ヘルプに…大丈夫でしたか?」
「…怖くてよぉ…」
「えっ(チョングさんでもコワイと思うんだ)」
「ヘルプだから気をきかして、料理の一つも運ぼうと思ってよ
厨房でフグの薄造りの皿に手ぇかけたら、『なんだその皿の持ち方はっ!』っていう奴がいてよ
恐ろしい顔で睨み付けてくるんだよ…。オレ怖くなっちゃってさ…」
「ああ…テソンさんっすね…」
「年下のくせにナマイキなって思ったけど、なんか怖くてよぉ」
「…あの人には逆らわない方がいいですよ…」
「そ…そうか…。わかった。で、な、皿を下から抱えて客席に持ってったらよ
皿置いた途端に手でさあーっと薄造りを半分ぐらいすくって大口あけて食う野郎がいてよぉ…」
「へっ。お客さんの料理なんでしょ?」
「俺もそう思ってお客さんに『申し訳ございません』って頭下げたんだよ、そしたらな、その客
『いいのよ、この子のために頼んだんだから…ああ、ホラホラ口からはみ出てるじゃな〜い』って嬉しそうにそいつの口に
はみ出たフグ刺しを入れてやってんだよ
そしたらそいつ、口いっぱいほお張ったまんま、『ありがとう』ってはっきり喋ったんだよ、はっきり!」
「…ああ…テプンさんですね…あの人は、やかましくておせっかいで暑苦しいけど、害はありませんよ…」
「…たくよう…俺ァもうイヤだからな。もうあんなとこ行かないからな。お前、俺のかわりに行けよ!いいな!そのかわりサンドゥから守ってやる」
「…す、少し考えさせてもらえますか?」
「ダメだ!」
「そ…そんなぁっ…」
×月×日
チョンウォンが英字新聞を読んでいる
「チョンウォンさん」
「ん?ハン&ユンさん、何ですか?」
「調査結果を報告したいのですが…宜しいでしょうか」
「ああ…例の…座ってください。で、どんな…」
「はい、あの店には、同じような顔の、でも全然違ったタイプのホ○トが大勢いるようです」
「しかも、問題のありそうな連中がほとんどなんです」
「…そんなホ○トたちでお客様は付くのかなぁ」
「それが不思議なもので、お客様は連日大喜びだそうで…」
「じゃあ、こちらの店よりあちらの店の方が売上は多いってことかい?」
「これを見てください。売上は確かに多いのですが、経費が異常にかかってます」
「何?それはこちらの店とあちらの店の給料に差があるってこと?」
「いえ、給料は…多分、こちらの方が上でしょう…。でも、ほら、これです」
「ん?食材費?…な、なんだこの額は…こんなに…なぜ…」
「私が調べて参りましたところ、あちらの店のコックが、食材にこだわる料理人らしく、高級食材を買い捲るとかで…」
「オーナーは何をしているんだ。何も言わないのか!」
「…オーナーは、厨房の件に関しましては、ノータッチを決め込んでいるそうです」
「何故だ!」
「…何でも…生命の危険を感じるから…とかで…」
「どういうことだ。毒でも盛るってのか、『チャングムの誓い』じゃあるまいし…」
「いえ…それは…多分テスあたりに聞けばわかるかと…」
「テス?そうか…。スングク、すまない、テスにあちらの店の様子を聞いておいてくれないか?」
「…はい…私を信じてください…」
「頼むよ。…で、ハン&ユンさん、僕の一番知りたいあの事は?」
「はい、この男です」
「え?この男が今一番指名が多いの?え?」
チョンウォンはハン&ユンから手渡された一枚の写真を見た
「はい、この男はテプンといいまして、あちらの店の食費にも関わっているようです」
「は?食費にかかわる男が何故No,1なんだ?」
「はい…食いップリがカワイイとお客様に評判なんだそうです」
「食いップリ…」
「それと『芸達者』とかで…」
「芸?どんな?」
「…はい、手品をやったり、踊りを踊ったり…」
「なんだ、そんなことか。僕にもできそうだな。ソシアルダンスならお手のものだし、なんならでぃすこダンスだって…
マジックだって、僕は高級マジックセットを10歳の誕生日に父に買ってもらったし…。あれは高級だから、お客様も満足されるだろう」
「いえ、それが…ちょっとこのVTRをご覧ください」
VTRを見つめる三人。チョンウォンの目が驚きのため、皿のようになる
「こ…こ…こんなことは僕にはできないっ!」
真っ青になっているチョンウォンを心配そうに見つめてハン&ユンは言った
「はあ、ですからやはりチョンウォンさんには、御曹司系のままで勝負を…」
「こ…こんな男が…No,1だなんて…世も末だ…イナに負けるならまだしも」
「はあ、この男、予測がつきませんから…」
「こっこんな、いつのまにチョコを仕込んでチョコ牙に…。うっ、この尻フリ歩きはなんなんだっ!
ううっなぜ、お客さんが持っているお金をくすねるっ!あああっこんなにたくさんフグ刺しをっ…
な、何してるっ、お客さんの手を握った後、何でニオイかいでるんだっ、お、おい、風船ガム膨らましすぎだっあっ割れた…
ああっドーナッツを一口でぇっ。今度は牛乳?こぼしてるこぼしてる。えっ?ジャージャー麺?うわっ吹き出したっ汚いっ!
この男…食べ過ぎじゃないのか?なんだか落ち着きないし、お客様はこんなうっとおしい男のどこがいいんだ?
わからないっ僕にはわからないっ。何をどうすれば、お客様のニーズに応えられるんだぁあああっ」
「チョンウォンさん、落ち着いてください。ですから、チョンウォンさんには、だれの真似もせず、そのまま御曹司系で…」
「僕は、僕は…」
「チョンウォンさんっ」
チョンウォン、しばらく俯いて呆然としていたが、すっと顔をあげ、ハン&ユンにこう告げた
「一度あちらにヘルプに行くよ…何にがどうなっているのか、この目で確かめないと」
「チ…チョンウォンさん…」
心配そうなハン&ユンを残して、チョンウォンは控え室を出た
「オールイン」始業前
注:監視カメラは店内にも設置されております
「チョ、チョンウォンさん…開店前ですが…ちょっとお話が…」
「ハン&ユンさん、BHCのことで何か情報でも」
「は…こ…これを…」
BHC大入り満員イベントのお知らせ
BHCでは、日頃の感謝をこめて、大イベントを開催する予定です
みなさま、ご家族やご友人とお誘いあわせの上、ご来場くださいませ
日時 ○月○日〜×日(三日間)
場所 コンベンションセンター大ホール
「な…何ですか?このイベントというのは…」
「はあ、この裏をご覧ください」
「裏?数字の裏ではなく、チラシの裏、ですね?」
イベント内容
ショータイム:手品ショー。ダンスショー。武術・型披露。歌謡ショー。寸劇。格闘技対決。射撃。変身ショー。その他
バザー:家具、木工製品即売会。和風弁当。CD・DVD販売。カードゲームセット販売。ヘアースプレー。ワイン。カーレース用品。その他
体験教室:家具アーティストによる家具・木工製品の製作教室。一流料理人による料理教室。カードゲーム教室
歌手への道、オーディション体験。バンジージャンプ体験。ボクシング入門。野球教室。ヘアースタイルのキメ方。その他
講演会:「寝たきりからの一人歩き」「愛と絶望を知ってから」「異常な部分は誰にでも」「家を建てるなら」
「めげない人生」「プレイボーイのすすめ」「生まれ変りを信じますか?」「人に優しく」その他
なお、会場内には、バイキング形式のレストランを設置いたします。心ゆくまでお楽しみくださいませ
「…」
「不穏な動きですねぇ」
「ハン&ユンさん、ありがとう。この事はみんなには黙っていてください」
「はっ」
「それから、申し訳ないが、このショーだの教室だの講演会だのに、BHCのだれが出るか、調べてみてくれないか?」
「はい、それはもう、私どもも、興味深々でございますので、お任せください」
「頼むよ…」
「はっ」
「…しかし…。この『変身ショー』というのは?それにバザーはいいが、なぜ『ヘアスプレー』なんだ?
それに、この講演会のタイトルが謎だ…。裏を読めと言われても…。どうしたらいいんだ…」
「チョンウォン、なにブツブツ言ってんだ?」
「はっイ・イナッ。何故ここに!」
「何言ってんだよ、オレはここの店のNo,1だろ?違うのか?」
「…1?ふっ。ろくに店にも出ていないくせに…」
「なんか言った?」
「あ、いや、なんでもない」
「ちょっと聞いてくれ。みんなも聞いてくれないか」
『まさかこいつ、このイベントの事を…』
「いつもヘルプに来てくれているテスなんだが、このところ体調を悪くしてな。それでもヘルプに来て貰っているんだけど
テスだけでは、可哀想なんだ。それで、『オールイン』のメンバーで、『BHC』にヘルプに行きたい者を募集したいんだ
誰か来たい人、いるかなぁ」
「ワタシがいくっ」
「…マイケルさんか…。言っておくが、あくまでヘルプなんだ。あまり目だたないようにしてくれ」
「…くうっワタシに向ってなんと無礼な!」
「イヤならいい。他の人に頼む」
「…わかった…ワタシも不可能に挑戦してみたい。目立たぬなどと言った無理難題を、どうこなすか、それがワタシの課題だ。ヘルプに行く!」
「…なんか企んでんじゃないだろうな」
「くうっなんという…いや、ワタシもBHCに行ってみたいのだ!そこに行けば、ワタシに欠けているものが必ず見つかるだろう」
「…アンタ、『欠けているもの』見つけるたんびにくっつけてったら、全くの別人になっちゃうぜ、『善人』っていうな」
「くううっまたしてもっ。負けるものかっ必ずヘルプとしてうまくやってみせるわっ!」
『…マイケル・チャンの発した言葉、僕と通ずるところがある…僕はあんな人間だったのか…』(チョンウォンショックを隠しきれない)
「他にいないか?」
「私も行く」
「おお、チュニルの兄貴。こいつは助かる。お願いします」
「チュニルの兄貴が行くならオレも…」
「チョング、お前はこないだで懲りたって言ってたじゃねぇか」
「いいんだ。チュニルの兄貴と一緒なら心強い」
「わかった。じゃあ頼むぜ」
「ワシも行ってみたい」
「と…トファンさん…」
「イナ、お前には辛い思いばかりさせたのう。罪滅ぼしさせてくれ
ワシも現役を退いてから、人のために生きてみたくなったんじゃ、スングクと二人で行かせてくれないか?」
「…ヤン・スングク…しかし、彼は…」
「なに、お前に二度と手出しはさせん。スングクは忠誠心の強い男じゃ。お前を苦しめたのは、ワシが命令したからじゃ
ワシはもう改心した。信じてくれい、このとおりじゃ」(トファン土下座)
「とっ父さんっ土下座なんかしないでくれいっ」
「何を騒いでおるか!人間の小さいヤツじゃ!土下座などなんでもないわ!これは頼み事をするときの、いわゆる礼儀じゃ!」
「れ…礼儀…」(チョンウォンショックを受ける)
「わかったよトファンの親父さん、アンタ程の大物に、そうまでされて断るわけにはいかない
ただし、あくまでもヘルプだってこと、忘れないでくれよ」
「わかった。イナ、ありがとう」
「ほかにもヘルプに行きたいって奴がいたら、閉店後に俺に知らせてくれ。そろそろ開店だ。笑顔が大事だぞ!
おい、チョンウォン、笑顔だ。お前の甘い笑顔がお客様のハートと財布を解きほぐすんだからな、ニッコリ笑え!」
「…ふ…ふは…ふははは」
(チョンウォン涙目で笑う)
どうしても知りたい…
オールインの控え室にて、チョンウォン息を切らしている
「はあはあはあ」
「おはよーございまーす…と、チョンウォンさん、どうしたんですか?息が荒いですよ?」
「はあはあはあ、な、なんでもない、ちょっと大急ぎで片づけ物をしてたんでな…」
「片づけ物?僕達に言ってくれれば手伝ったのに、なあヨンテ」
「そうですよ、なあシボン、サング」
「き、君達は、何しにここへ?」
「いやだなあ、僕たちこれでもホ○トですよぉ」
「そうそう。店の隅っこでひっそりボーイやったり帳簿つけやったりどじょうレースの手伝いやったり…」
「あ…そうだっけ?気がつかなかったよ…」『ホ○トって言えないんじゃないのか?』
「あれ?こんなとこにアンパンが10個も…なんですか?これ」
「はっ…そっ…それはっ…」
「オーナーからの差し入れかなぁ?でも10個じゃ足らないよね?」
「そそれは、さる人へのプレゼント…」
「プレゼント?」
「…らしい…」
「誰から誰に?」
「…あああの…その…お客様から…い、一番お腹を空かせているモノへとか…」
「じゃあ、テスだね」
「でもテスは…ほら、今」
「ああ、旅行いってるんだよねぇ」
「違うっテスじゃないっ…あ…そ、そうだ、君達、BHCのテプンとかいう奴を知っているか?」
「ああ、あのよく食べる人」
「野球もうまいらしいですね、その人が何か?」
「何?野球もうまい?」『負けられない!』
「はい、そのテプンさんが何か?」
「あ、ああ、その、その人にこのあんぱんをやってくれと…頼まれてな…」
「へ?テプンさんは、毎日ドンペリ2本分食べてるからお腹空いてはいないでしょう?」
「いや!彼にと、言付かったんだ!呼び出して来てくれないか?」
「は?ここに?…いいですけど…」
「あ…いや、待て、僕くが行く。僕が直接会って渡して確かめてみる!」
「?」
「…テプンという人物は、危険ではないか?」
「危険?さあ…僕らも、チラッとしか見てないから…」
「ヘルプには行ってないのか?君達は」
「僕らがいくとこっちの店のヘルプとかボーイとか帳簿つけが困るからお前達はここにいろってイナが」
「…そうか…解った…有難う…行ってくるよ」
BHCと『オールイン』の間の路地。BHCの裏口を叩くチョンウォン
「すみませんが…」
「はい、何だこないだ来た人じゃないですか。確か…チョンウォンさん?」
「は、はい」
「よろしく、僕はウシクです。何かご用ですか?」
「あ…あの…その…」
「ウシク、どうしたんだ。ん?チョンウォン君じゃないか。どうした?」
「う…ミ、ミンチョルさん…」
「…あんぱん…はは〜ん…そうですか、解りました。少々お待ちください」
「ミ、ミンチョルさんっ何が解ったというんですかっ」
「何?俺にあんぱんくれるって誰?」
「あうっ」
「あん?何だテスじゃないのか。何アンタ」
「きっきっ」
「ああ、こないだうちの店に訳の解んないこと聞きに来たお坊ちゃんだ。どうしたの?俺にあんぱんくれるってどういうこと?」
「あのっそのっ…こっここでこのあんぱんを、できるだけたくさん食べてくれないか…」
「へ?何で?」
「ちょっと確かめたいんだ…」
「確かめる?何を?」
「あの…その…」
「できるだけ食べるって早く食えっての?」
「違う、一度に幾つ食べられるかだ」
「…あんたねぇ。一度に一個が限度だろ?…あ、まさかアンタ、今度のBHCのイベントの後に開催されるっていう噂のBHC運動会に飛び入り出場しようってんじゃないだろうな」
「?何だって?運動会?」
「うん。あ、これは極秘だよ。チーフにもイナさんにも誰にも言うなよ
俺がオーナーにチラッと言ったら、オーナー喜んじゃってさ…
でもまだイベントも実施されてないからさ、運動会のことがバレると俺またチーフにチミチミイヤミ言われるからさ」
「…そ、そのイベントとやらは…」
「あんたも来なよ。楽しいぜ」
「…そ、その運動会ってのは…」
「だから運動会は運動会だよ。リレーやったりパン食い競争したり…。そのパン食い競争に出たいんだな?
解ったよ。オーナーに話通してやるよ。何いいって、俺が頼めばオーナーも許してくれるさ。で?」
「パ、パン食い競争には…あまり…」
「パン食い競争ってのはな、パンを何個も食べるんじゃないんだ
こうな、ぶら下がってるパンを食いちぎって一番にゴールしたら勝ちなんだぞ。知ってるか?」
「わ、解っている」
「じゃあ、一度に何個も食べなくていいだろ?でも旨そうなパンだな、一個くれよ」
「…一個といわず、10個食べてくれ給え」
「いいよ一個で。お前も食えよ」
「ぼ、僕も?あっ」『言ってる暇に一個口に入れたぞ、こいつ…』
「何だよ食わないのか?」
「なななんでそんなはっきり喋れるんだっ」
「は?何が?普通喋れるだろ?」
「いや、僕にはできない」
「できるよ〜何言ってんの〜」
「絶対にできない!」
「やってみろって、できるからモグモグ」
「…さっきやってみたができなかったんだ…」
「え〜本とぉ〜?まあいいからやってみろよ、どこが悪いのかアドバイスしてやるから、ホレ」
「…カプッもぐっもぐっぐぐっ」
「喋ってみ?」
「…ぐぐぐひはひはへはひ…(くく口が開かない)」
「?何故できないんだっ!」
「ふふーへひはひはほう(普通できないだろう)」
「何言ってるのかさっぱり解らない!嘘だろ?」
「ふほはほはへはほ(嘘はお前だろ)」
「何でだよ、ちょっともう一個くれ。もぐもぐ。おいっお前、わざと二個食べたんじゃないのか?」
「ひはふ。ひっほはへは。ははほひほへはひ(違う、一個だけだ。まだ飲み込めない)」
「ごっくん、あ、飲んじゃった。くそう、じゃあ二個で試してみるもぐもぐ。…おい、おいおいおい、ちゃんと喋れるぞ!お前絶対何か企んでるだろう
あ、まさかうちの店の売り上げを下げようとして俺にパンをたらふく食わせて、そんで客からご飯もらうの阻止しようとして」
「はひひっへふは(何言ってんだ)。ほへほひほふほはんほはひへふへ(それより僕を何とかしてくれ)
ほんはふはは、ひんほふひひはへはふはひ(こんな姿、ミンチョルに見られたくない)」
「何言ってんだぁ?ごっくん。水が欲しいのか?しょうがねぇなあ、今持ってきてやるから」
「はっはへっひふはっひふはーっ(あっ待てっ行くなっ行くなーっ)」
♪どでいどどぅぇ〜ん
「はっほほほほは(はっこの音は)」
「呼び捨てにされたような気がするんですがね、チョンウォン君」
「はっひんほふ(はっミンチョル)…はん(さん)」
「おや?喋りにくそうですね。どうしたんです?何か喉に詰まってますか?見てあげましょう、こっちを向いて」
「ひひへふっほっほひへふははひ(いいですっほっといてください)」
「…強情な人だ…僕は、人から強情にされると、強情返ししたくなるんですよ」グルッ
「ひいいいっ」
腕を掴まれミンチョルの方を向かせられたチョンウォン
その顔を見下ろすつもりだったのに見下ろせなかったミンチョルは、ますますきつい目で上目遣いでチョンウォンを睨んだ
「…飲み込みなさいよ。カッコ悪い…」
「ぐ…」
「何の真似ですか。…貴方は身の程を知らなさ過ぎる…」
「う…はひふひへひへほふひへひはひはんへ、ほふははっほふはひははひ(あいつにできて、僕にできないなんて、僕は納得がいかない)」
「…そんな事は、口の中のパンを飲み込んでから言ってください、情けない!」
「ぐっ…」チョンウォン涙目
「いいですか、貴方の口のサイズと、テプンの口のサイズ、比べてみてください。どう見たってテプンの勝ちでしょう?」
「ほんはほほへ、はひほはひふはっ(そんな事で、勝ちとかいうなっ)」チョンウォンの頬に涙が流れる
「…貴方は…全く…向こう見ずな人だ…」そう言いながら、チョンウォンの涙を親指で拭ってやる
『うっ…これが噂のミンチョル・テクニック1か!』
「…まだ飲み込めてもいない。はっきりと喋れもしない。いいですか、口のサイズはいくら努力したって変りはしない!
貴方には貴方に合った事でその口を使うべきです。…そう、例えば…『無理にキスをされてしまう』だとかね…ふっ」
『うっ…僕の一番嫌な思い出を…』
「お待たせ、水持ってきたよ…あっチーフ。…おいっさっきの事言わなかったろうな?」
「は?はひ?」
「あ、言えないか、ならいいや。ほれ、飲め。あああっこぼすこぼす」
『はっ、飲みこぼすとはこういう事かっ。テプン・テクニック1だなっ』
「あーあ。俺より汚ねーぞ、お前。でこの残りのパン、貰ってもいいのか?」
「ふん(うん)」
「じゃあ貰っとくよ。ありがと」
「待てテプン。一個…いや、二個僕にくれないか?」
「へえっチーフがアンパンなんか食べるんですか?」
「たまにはいいだろう?」
「珍しい、へいどうぞ、じゃ、あとは俺が…へへへっ」テプン去る
「ごくっもぐっごくっげほっはあっはあっはあっ」
「貴方は自分の器という物をもっとしっかり見つめ直したほうがいい」
「はあはあはあ…」
「…貴方に、教えてあげましょう…貴方が二度とこんな事しないように…貴方が『越えてはならないライン』を越えないように…
テプンの技は貴方には無理です。いや、オールインのホ○ト達にだって無理です。…但しイナだけは例外だ」
「はあはあはあ…何故イナは例外なんですかっ」
「…まだ解らない?…テプンの技はBHCのホ○ト全員が可能な技なんだ。ただ、皆やらないだけなんだ」
「だから何故BHCのホス…」
「さっきから繰り返し何度も説明しているつもりだ。解らない?」
「…」
「仕方ない…いいかい…ばくっばくっ」
「ミミミンチョルさんっ、気でも違いましたかっあああんぱん二ついっぺんにああ貴方がっ貴方がっ…」
「だから、この事は他の人には言わないでください。貴方に解らせるためだけに僕は恥を忍んでやっているんです」
「みみみミンチョルさんっああ貴方っはっきり…はっきりっ…」
「…まだ解らない?本当にカンの悪い人だ…。もういい。僕がこんな事までしていると言うのに…帰り給え」
「み、ミンチョルさんっそのテクニックはどうしたら身につくんですかあっミンチョルさんっミンチョルさんっ」
一人取り残されたチョンウォンは、BHCのドアをいつまでも叩き続けていた