情報革命の渦の中で

2000-03-28

KYPC 山内宏之

 人類はこれまで大変革の波を2度経験し、今3つ目の波を迎えようとしています。第1の波は農業革命であり、第2の波は産業革命、そして第3の波が情報革命です。第1の農業革命はB.C.1000年ころからA.D.にかけ1000年とも2000年とも言われますが、緩やかに人類に浸透していきました。第2の産業革命は18世紀末より100年程度で行き渡り、今回の情報革命は10年程度で変革するのではと言われています。まさに人類の進化は加速度的であり、ドッグイヤー化しております。ドッグイヤーというのは、犬の1年は人間の7年分に相当するそうです。ここから来た言葉です。これから更にキャットイヤー化、ラットイヤー化することでしょう。このように人類の変化に対する年月の価値観も急激に変わってきています。革命とは人間の価値観が短期間で大きく変わることだそうです。一般的に昨年1999年が情報革命元年などと言われています。これは結果が水面上に顔を出し始めた年で、実は以前より水面下で革命は始まっていたと考えます。私は1995年が情報革命元年だったと考えます。1995年流行語ともなったNEODMA。NEはネットワーク、Oはアウトソーシング、Dはデータベース、MAはマルチメディアだったと思います。このキーワードは今でも基本となっております。当時よりそれぞれの意味がより具体化してきています。ネットワークならばインターネットの意味合いが強くなり、アウトソーシングは単なる業務委託だけでなく餅は餅屋・スペシャリスト化の意味合いが強くなってきています。間違いなく猛烈なスピードで情報革命は進んでいるのです。しかし中にはそのスピードを実感されていない方もおられるのでは無いでしょうか?今ここに一つの大きな落とし穴があるのです。それはY2K・2000年問題対応の所為があります。昨年は世界中の膨大な情報処理技術者の脳味噌が2000年問題対応に費やされました。これにより一時的に変革の速度が鈍ったように見えています。しかし実際は速度が鈍った訳でもなく、時間的ロスをしたわけでも無いようです。多くの情報技術者はY2K対策で過去のシステムを見直すチャンスを与えられ、これにより次の変革への構想がより確実でニーズを掴んだ物となっているのです。その内に大きな利子を加えてその実体が次々と現れてくるでしょう。
 では、この情報革命でどの様な価値観が変わるのでしょうか?それが正確に把握できれば大金持ちになれるわけで、ここからは私の推測の範囲です。まず、情報革命の名の通り情報や知識への価値観がさらに大きくなるでしょう。その具体的な媒体はやはりコンピュータ上の電子データと言うことになるでしょう。半世紀前は人より物が貴重な時代があり、近年は人・人件費が最も高価であると認識され、今後は人に加えデータがより貴重で高価な時代を迎えるでしょう。最近の企業合併の中にもデータとそれを処理するコンピュータシステムの統合を一つの目的とした事例も見られるようになりました。私たちは今、様々な情報をデータ化してそれを蓄えデータベース化することが必要と考えます。また、その情報の収集方法も変化するでしょう。passiveからactiveへ。受動から能動へ。20世紀はマスコミを中心に情報発信のメディアが整備され容易に情報を受け取る仕組みができました。今後はインターネットに代表されるよう受け身でなく積極的に情報を取りに行く時代と変化するでしょう。20世紀に飼い慣らしすぎた「言われたことをやれば良い」体質が終息する時代となるでしょう。ここでこれから必要とされる能力は膨大ば情報の中から有用な情報を自己責任で選別する能力と思います。旧世紀人にはちょっと訓練が必要かも知れません。それと情報は取るだけでなく外に向け公開発信することが当たり前となってくるでしょう。active時代のgive& takeです。企業秘密と言う言葉の意味合いも変わってくるでしょう。私たちは20世紀後半に環境問題などで地球規模で物事を考えることがやっとできるようになってきました。今後はさらに1企業の利益と言う概念だけでなく人類全体のためにと言う考え方が重くなっていくと思います。そのために役立つ情報は積極的に公開して共有する姿勢が必要となってくるでしょう。それらの公開し合った情報どおしが互いにリンクし合い、そのリンクが自己増殖して地球規模データベースとなるでしょう。
 21世紀に入ると、生まれた時からコンピュータがありネット当たり前の新しい価値観を持った世代が社会に入ります。彼らがこの情報革命をさらに磨き上げ21世紀は人類にとって素晴らしい世紀となることを確信しております。