神仏習合の社であり、過去、現在、未来にわたって人々の悪業を祓ってくれるという聖地熊野三山への道。
大辺路(おおへち)、中辺路(なかへち)と称された紀伊路をたどっても、伊勢路と呼ばれた東熊野街道を通っても、いずれにしても、険しい山坂や、波涛の打ち寄せる海沿いの難路が連続する道であった。

熊野へ参らむと思えども
徒歩(かち)より参れば道遠し
すぐれて山厳し
馬にて参れば苦行ならず
空より参らむ羽賜(はねた)べ若王子


という流行歌が、平安末期の今様歌謡集『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』の中に収められています。
大自然の中を歩くこと自体が修行であり、神仏の加護に近づくと、これまで、数多くの旅人が、幽国(かくれくに)熊野に極楽浄土を求めて往来しました。



        参考:小倉肇氏 三重再発見 再生を願う巡礼の道東熊野街道(その1)より


※熊野古道は、現在、世界遺産の暫定リストに入っており、登録に向けて一歩一歩近づいております。
熊野古道