くらげさんへ
泳いでるの? それとも流れてるの?
浮いてるの? それとも沈んでるの?
見えそうで見えなくて
いるかと思えば見失い
よくよくみれば そこにいる。

石をぶつけられ
棒で突っつかれ
たもですくわれて
tamonoaidakarakoboretayone

そんなあなたが可愛そう。
なんだかとっても気にかかる。

くらげさん、くらげさん、そんなあなたが好きでした。

大好きな生き物たちへのお手紙のようなひとりごとのような・・・
変な子だったと思われそうな予感 
こざかなたちへ

波打ち際を いったりきたり
波にまかせて いったりきたり
岸に向かって行儀よく
岸に打ち上げられぬよう
沖に押し流されぬよう
一生懸命泳いでる
ちっちゃい体で泳いでる

船が通ればざぶざぶと
大きな波が打ち寄せる

心配したけど大丈夫
みんなそろって いったりきたり

あきることなく ながめたよ
ひとりきりで  ながめたよ

こざかなたちへ2

流れ藻に 隠れてもダメ
流れ藻をそっと持ち上げたら
まだ隠れてると信じてる

あわてて泳いでもダメ
君はもう 手のひらの中
こざかなたちへ3

台風のあとの
にごった海水が
湾からあふれそうなとき
流された「消し炭」や ゴミたちの中
泳ぐ「消し炭」をみつけたよ

いつもは届かない海も
その日だけは手が届く

消し炭だと思ったら
黒い小さな魚じゃない

いったいあなたはどなたの子?




いとうなぎ

灌漑(かんがい)用の小川と
海へ注ぐ川との間に
小さな堰(せき)がありました

その堰(せき)の下で
弟とふたり
手ぬぐいを引っ張り合い
流れる水を受けると

糸うなぎが
100匹も

そんな夢のような日々が
確かに存在したのです

いとうなぎ2

自転車に 二人乗り
春になるのを 待ちかねて
訪れた小川
まだまだ水が冷たくて

じんじんするねと言いながら
ふくらはぎまでつかったよ

何もいないとつぶやいて
小石をみれば
ハゼの卵がきらきらと輝き

石垣の間から
一匹の糸うなぎが現れて

もうそれだけで
満足で

うなぎ

小川が海とむすばれる場所
小さな潮溜まりが いくつもあって

石をめくると
びっくりしたウナギが

隠れ場所をさがして
ばしゃばしゃにげるよ

あまりの勢いに
おどろいて
私もあとずさりするよ


いとうなぎ3

田んぼのどろに
ぽつぽつ 穴が

なんだろう
気にかかってしょうがない
穴を どろごとすくうと

中から眠そうな糸うなぎ

あのたくさんの穴の中
一匹ずつが眠っているの?
copyright ( c ) 2002 kiho  このページは、幼い頃一緒に遊んだ弟に捧げます。
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*糸うなぎは、うなぎの子供で太さや長さはつまようじほど。
体が透きとおったものは、シラスウナギと呼ばれます。
ここで云う糸うなぎは、主に親ウナギと同じ色のものです。