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C92の流れをくむ車体はプレス鋼板フレームで、前輪がボトムリンク,後輪がスイングアームという前時代的サスペンション形式を持つ。
このサスは、現代のホンダ・スーパーカブで現役であるが、スポーツ走行向きのサス形式ではない。
現役時代には、ベンスパとかエスエス,キューニィ等の呼び名で愛され、現在においても熱烈なマニアがコレクターズアイテムとして大切に保管している車両が多い。
エンジンは124cc空冷4サイクル2気筒OHCでボア×ストロークは44×41mm。
1個のキャブレターで15ps/10500rpmを絞り出す。
ちなみに変速は4段。
高回転高出力(当時としては)エンジンのさだめで、5000回転以下では全く走らない。
また、8000回転を越えると猛烈な音と振動がライダーを責めたてるというストイックなオートバイである。
当時としては高性能エンジンであったのだが、何故かセルモーターが付いている(笑)
これはバックステップポジションのせいでキックペダルが踏みにくい事の対策とも考えられるが、真相はどうなのだろう?
ご覧の通り、方向指示器が一切付いていないが、改造したわけではなくオリジナルのままである。
従って、右左折の際には手信号を出す必要があるのだが、現代において手信号の意味を知っているドライバーがどれほど居るのであろうか?
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タコメーターはご覧の通りヘッドライトケース?の上に取り付けられている。
タコメーターの前に付いているランプはイグニッションランプで、それ以外の警告灯は一切無い。
実用性は殆ど無い小さな風防はマスコットカウルと呼ばれるオシャレアイテムで、その当時のスポーツモデルには定番となっていた。
さて、メーターであるが、オリジナルはスピードメーターのみで、タコメーターが必要な場合はYキットを購入しなければならない。
かなりのユーザーは2者択一で、タコメーターを装着していたようであるが、現在ではレアアイテムである。
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CB92のもっとも魅力的な部分に、このガソリンタンクがある。
通称「ドクロタンク」と呼ばれ(真上から見下ろした際の形状が髑髏に似ている為)、ニーグリップを保持し易い形状となっている。
大きめのグリップラバーは丁度ライダーの股間付近が盛り上がっている為に「○玉潰し」の異名を持つ。
タンクの下に付けられている銀色の棒は空気入れで、ホンダC90,C70系では定番のアイテムである。
タンクマークは円形の透明プラスチック板に裏からメッキ&彩色を施した凝ったモノだが、経年劣化でバリバリに割れたり、反り返ったり、曇ったりと酷い状態になっている物が多く、取り外して保管しているオーナーが多い。
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現代の一般的な50ccバイクとの比較してみる。
ご覧の様に、その大きさは比較対照のホンダ・ドリーム50と大差ない。
もっとも、大差ないのは大きさだけで、性能は比較にはならないが・・・・
車体重量もCB92はプレスフレームという事もあり、かなり重く110kgである。
最高速度はカタログデータで130km/hであるが、これだけはリミッターのついたドリーム50に勝利できる唯一の点である。
(ちなみに、リミッターを外したドリーム50にはたぶん勝てない・・・)
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オマケ。
ドリーム50の豪華絢爛なメーター周り。
スピードメーターは原付バイクの宿命で60km/h表示であるが、3速で振り切ってしまう。
(ドリーム50は5速ミッション)
タコメーターは狂気の沙汰の13,000rpm越え。
ふざけているとしか思えない。
このイカレたバイクもいつの間にか生産中止となってしまった。
現在ではミニバイクレース(ワンオフレース)でしか、その勇姿を見ることが出来ない。
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CB92の巨大なドラムブレーキやホイールハブ(マグネシウム製?)が時代を物語る。
このCB92は過激な仕様の初期モデルではないが、それでもエンジンはピーキーである。
車体の塗装はオリジナルのままであるが、ガソリンタンクは補給品と交換している。
また、エンジン関係は宗一郎さんがご存命の時期にO/Hを行っているので、現在においても調子は良い。
乗ってどっちが楽しいのか?と聞かれれば、どっちも疲れる!と答えるしかない不惑のオーナーであった。
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おしまい。
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