自閉症について


★自閉症については、(社)日本自閉症協会のホームページや他の県支部のホームページに掲載されている解説がたくさんありますので、そちらもご参照願います。このページには、(社)日本自閉症協会が作成されたパンフレット「自閉症の手引き:あなたの隣のレインマンを知っていますか」からの引用を掲載させて頂きます。このパンフレットがご必要でしたら、当支部役員もしくは事務局までお申し込み下さい。


1.自閉症って何だろう

 自閉症は、その文字が示すような自閉の殻に閉じこもって周囲の人に打ち解けないというような障害や状態ではありません。
 また、乳幼児期に不適切な教育をされたために、親やそのほかの人たちに不信感を抱いて、心を閉ざしてしまったというような情緒障害でも症候群でもありません。
 現在のところ原因不明の、そしておそらく単一の原因ではない中枢神径系を含む生物学的レベルの障害で、生涯にわたって種々の内容や程度の発達障害をしめします。

 自閉症の人は見たり聞いたり、そのほか感じたりすることを、一般の人のようには受け止めたり理解したりはできないことが分かってきました。
 そのために、一般の人が通常やっているような方法で、話しことばや身振りを用いてコミュニケーションすることが容易にできません。
 その上、自分の周囲の環境や状況の意味することも理解できないことが多く、慣れない場面には大変な不安や混乱を感じているのです。

 自閉症は、家庭養育や学校教育を始め、福祉施設における対応で、最も困難の大きい障害の一つです。そしてまだ、根本的な治療法もないのです。


2.自閉症の特徴は

 次のような特徴や障害が、種々の程度と組合せで見られます。

[言葉の発達の遅れ]
 ことばの遅れは必ずあります。話せるようになっても、尻上がりの特有のイントネーションがあったり、反響言語(オーム返し)がたくさん混じったり、紋切り型のことばであったり、一般の人は用いないような用語で話したりすることが少なくありません。また生涯ひとことも話さない人もいます。

 その上、身振りや表情など別の方法を用いたコミュニケーションもほとんどしません。

[対人関係の困難さ]

 乳幼児期には抱かれることを喜ばないとか、その後、幼児期になって、呼び掛けられても振り返らないとか、相手と視線を合わせようとしないなどといわれるように、周囲の人と共感的な関係を築くことがたいへん困難です。
 さらに学童期や青年期になっても、相手の気持ちを理解できず、友だちと協調して遊ぶことがなかなかできません。

[アンバランスな感覚]

 身体に触わられることには過敏に反応して嫌うくせに、けがの痛みには平気で、むしろ鈍感に思われることがあります。
 また赤ちゃんの泣き声、犬の吠え声、特定のテレビのCMなど日常的な音をひどく不快がって泣き叫ぶかと思うと、一般の人には耐えがたい硬質のガラスや金属がすれ合う音、例えば歯が浮くような音にはケロッとして平気でいたりします。

[活動や興味の範囲が狭い]

 手をひらひらさせたり、紐を目の前にかざして振ったり、コマのようにくるくるまわったり、上半身を前後にゆすったりするような、反複的な動作を繰返します。
 またミニカーやブロックなどを横一列に並べたり、水道の水を出しっ放しにして指先に受け続けたりすることに没頭して、他の遊びや活動に興味や関心が広がりません。

[アンバランスな知的機能]

 知能指数で表される知的機能の水準は、それぞれ個人差があって多様ですが、発達水準の低い人が多いことは事実です。知的機能が発達障害とはいえない(IQ70以上の)人は全体の20%くらいだといわれます。
 また発達障害の有無に関係なく、一部の機能が全体の能力と比べて不釣合なほど優れている人がいます。たとえば音楽、手芸、絵画、計算、ジグソーパズルや神経衰弱ゲームなどに大変優れた能力を発揮する人がいます。

[変化に対する不安や抵抗]

 ものを置く位置、歩く道順、着替えの手順、生活の日課やスケジュールなど、決まったやり方にひどくこだわって、変化に強い不安や抵抗を示すのが普通です。


3.自閉症の診断

 自閉症と診断するには、次の3項目が重視されます。

1)人への反応が乏しく、人と視線を合わせなかったり、表情や身振りが乏しかったりします。情緒的な交流が出来にくく、人との共感が欠けたり、相手の気持ちにそぐわない振る舞いをしたりします。

2)言葉がなかったり、言葉の発達が遅れたりします。言葉が出てきても、オーム返しがあったり、会話が続かなかったり、一方的に際限なく話しかけたりして、使い方が奇妙であったりします。また、ごっこ遊びなどの発達も遅れます。

3)活動や興味の範囲が極端にせまく、手をひらひらさせるような常同行動に没頭したり、同じような活動を飽きることなく繰り返します。また、自分の行動のパターンにこだわったり、周りの人や様子のわずかな変化にも恐れや苦悩を感じてしまいがちです。


4.自閉症の原因は? 何人くらいいるのだろうか

 脳の機能障害が原因ではないかと思われています。せまい意味での(典型的な)自閉症は、児童1,000人に約3人いるといわれ、広汎性発達障害(PPD)あるいは自閉症スペクトラム障害(ASD)も含めると、児童100人に約1人いるという人もいて、それほど稀な障害ではないとされています。
 自閉症の原因は、脳の中枢神経の機能障害により起こると想定されるようになりました。なぜ中枢神経の障害が起こるのか、脳のどの部分や、どの機能系の障害かなどを含め、障害の本体やそのメカニズムは、いまだ明らかにされていません。
 1960年代より、自閉症の予後研究、家族研究、生物学的研究、あるいは、臨床的な治療経験の積み重ねにより、自閉症の原因は、成育歴に求められるものではなく、母親の性格とか養育態度によるものではないということが、明らかにされました。
 かつてアメリカのカナーが「情緒的接触の自閉的障害」という論文を発表したとき、精神分折理論により、心因による障害と解釈され、親に原因を求めた時期がありましたが、今日では、殆ど否定されています。考え方が大きく変わったのです。


5.行動上の問題点(なぜ、親は困っているのか)

 自閉症の障害は行動でしか現われません。対人関係がうまく持てないことを中心とした、さまざまの、普通の人とは変わった行動を持ち合わせています。
 2〜3歳ごろでは、一見、普通の子どもに見えます。言葉がない、人に関心が少ない、動きが多いなどの行動が徐々に現われてきます。眠らない、極端な偏食、身辺自立の困難さ(トイレが使えないなど)が目立ちます。親が養育の困難さに手を焼き、この子は、もしや病気ではと、不安が兆す時期です。

 3〜4歳ごろには自閉症という診断が確定的になってきます。他人との感情的交流が困難ですし、言葉もなかったり奇妙だったり、自閉症特有のこだわりが目立ってき、パニックと言われるかんしゃくもしばしば起こします。

 思春期には、少なからぬ子どもたちが、てんかん発作や自傷など、行動統制の難しさに出会います。引き続く人間関係の不適切さや社会的認知の悪さ、こだわりと、それに伴うパニックとは就労などの社会参加を困難にさせることがあります。

 家族は、ライフサイクルの節目節目で強いストレスと困難に対処しなければなりません。

 けれどもこの人たちも徐々にではありますが成長し社会参加していくことは可能です。それには社会の理解や受け人れが必要不可欠です。


6.知的発達障害とは違うのか

 知的発達障害、精神遅滞とは、異なった障害です。

 知能指数、IQ(70から75以下を智恵遅れありとする)から見ると、自閉症は、70%から80%が智恵遅れの範囲に人りますが、残りには精神遅滞は見られません。

 自閉症の知的能力には、精神遅滞と異なった特徴として、部分的に高かったり低かったりというアンバランスが非常に目立ちます。際だった特徴としては、知的に高い人でも、WISCという知能検査で見ると、言語理解に関する課題は低く、言葉の理解に関係ない課題(積み木、組み合わせなど)は高く、平均以上の得点を取ることもあります。比較(大きい、小さい、多い、少ない)、空間(上、下、そば)などの初歩的な概念の形成に著しい障害を示します。

 ですから、自閉症は知的障害つまり精神遅滞とは異なった障害といえます。


7.自閉症は治りますか

 病気が治るというような意味では、治ることはありません。

 自閉症は基本的には、脳の機能に障害があることを仮定しています。脳の障害には薬を開発する必要がありますが、まだその緒についたばかりです。それ以外に、この障害によって、外側からの刺激をまとめて中枢化していくことに障害を生じますので心身の働きに様々な不適切な状況が生じていくことが大きな問題です。たとえば認知や人間関係の不適切な状況がそれです。
 つまり自閉症という障害は、外科の盲腸手術のように、それを切り取ってしまえば完治するようなものではありません。
 しかし療育や教育をうけることで、いろいろなことを経験でき、状況によっては薬などを利用し、家族の努力、周囲の協力が適切に得られれば、その能力不足や社会的不利という症状が大いに改善されると思います。そのためには、現行の社会保障・福祉の制度のような社会的システムや、身近に理解者を得て安定した人間関係を持つことが大切なことです。
 私どもに相談に来られる人たちは、自閉症の理解や対応がよく分からないで、悩んでいる親たちが多いのです。まず身近で自閉症を抱えて努力している仲間と交流していくことによって、必要な情報に接することが出来るのですが、この日本自閉症協会のことも良く知らない人が多いようです。家族だけで悩まずに各県にある協会の支部と連絡を取ってください。


8.家庭での育て方は

 自閉症の子どもも、成長する力を持っています。

 自閉症の子どもは、成長しないとか、教えても仕方がないとか、諦めたり、悲観しないで下さい。ゆっくりとではありますが、着実に、ー歩一歩成長して行きます。ただ、成長の仕方にバラツキがあり、普通の子どもより不得手なことが多く、また、行動の予測がむずかしく、どのように育てたら良いか戸惑ってしまうこともあるでしょう。

 子どもを育てることは、自分が「子ども時代」を生き直すことでもあります。子を育てて、子に教えられることに気付きます。自閉症児は、人をだましたり、ずるいことには無関係な純真な子どもです。

 家庭で自閉症児を育てるには、子どもの年齢に見合った育て方があります。

 乳児の頃は、落ち着いた気分で柔らかく抱いて、体操や、日光浴させてあげてください。自然や土に親しむ生活をさぜて、過敏になっている赤ちやんの気持ちを和らげ、身体のすみずみから受ける感覚で、自分というものを気付かせることになります。

 幼稚園や小学校の時は、いつまでも幼児と扱わないで下さい。「これはできない、あれは嫌い」という先人観を持たないで、なるべくいろいろなことを体験させてください。家族がみんなで規則正しい生活をして「してはいけないこと」「わがままは通らないこと」を根気よく教えてください。家庭と幼稚園や学校とで十分に伝えましょう。


9.幼稚園・保育園での接し方は

 仲良くなって、言葉と運動を上手に。

 自閉症児は、人に無関心で、殻に閉じこもっているように見えますが、実は、大変、敏感で、まわりの人に用心深く接近しようとしています。無理に母親から離そうとしたり、強引に何かをさせないで、あなたが気にいっている遊びを、楽しみながらやってください。子どもが興味を持ってきたら、タイミングを見て誘ってください。他の子どもの力を活用して、彼等が楽しそうに遊んでいるのにだんだん反応させます。

 マット運動、ボール遊び、水泳などの全身運動が有効です。この時、さりげない手助けや、声かけをしてあげましょう。折り紙、粘土遊びなど手先を使うことは成長に役立ちます。
 ブロックの組み合わせを見せて、同じ形を作らせるなどの、ものまね学習は、学校で勉強するもとになります。集中しやすいように、整理された部屋で、一対一で学習します。

 言葉かけは欠かさないでください。身振りで要求が分かるようになったからと、無言でおこなってしまうと、言葉が身に付かないのです。かんしやくなどの間題行動の時は、優しいが毅然とした接し方をします。行動をよく観察して、かんしゃくを起こしても要求が通らないことを、根気よく教えます。体罰を与えても全く効果はありません。


10.学校での指導は

 問題行動には意味がある。よく見てきめ細かい、指導プログラムを立てて。

 自閉症の特徴は小学校の年代でいちばんはっきりします。いろいろな子どもとの出会いの中で、言葉の使い方や人とのつきあい方がうまくできなくて、奇声を出したり、自分や人をぶったりすることがあります。多くの先生は、子どもはおとなしく座って指示を聞いて、行動できるのが当然と考えています。そのため、これらの行動を、早く止めさせようとします。

 これらの行動は障害に原因があるのですから、それを知り、適切な環境を作らなければ、直りません。

 自閉症児は、想像力が弱いので、新しい環境に遭遇すると、自分の経験のパターンに頼ろうとするところがあります。ですから、新しい場に人った時に、探索行動が起きます。子どもの発達の段階を知り、細かいステップによるプログラムを作り、それを頂序よく進めて行きます。その何が必要なのか、よく観察し検討して、状況にあわせて学習を進めます。

 からだをよく動かしたあとで学習したり、整理された狭い所で、視線が教材に向くようにして、出来るだけ、分かりやすい教材を使います。

 学校で学ぶことを、親によく説明して、家庭でも復習するようにします。家庭と学級が力をあわせていきましょう。


11.働くことはできるか

 もちろん、障害を持っていない人と同じように働けます。

 ただし、自閉症の人は、「できること」「できないこと」「得意なこと」「不得意なこと」がはっきりしています。一人一人の力も違うし、ルールを覚えるまでは時間もかかるので、それを分かってあげることが大事です。

 比較的得意な仕事は、形や量がはっきり決まった仕事−たとえば部品の組立て、パンなどの成型、梱包、物品の仕分け、分類、ワープロなどです。苦手なのは、抽象的な概念などを扱う仕事、形や量が決まっていないもの、終わりや目的のはっきりしていない仕事です。

 たとえば「掃除」は苦手なことのひとつです。「きれいにする」ことが掃除の目的ですが、どこからが「きれい」で、どこまでが「きたないか」の明確な線がないからです。けれども「まいた水を全部拭き取ったらおしまい」という形にすれば、終わりや目的がはっきりして仕事がしやすくなります。
 また、ことばだけの説明も理解しにくいので、これを文字や絵で書かれた指示書にしたりということでも、仕事がしやすくなります。

 このように、苦手な部分があっても、それを補えるように仕事を組み立てたり、自閉症の特徴を理解することによって、自閉症の人の仕事はどんどん大きく広がってきています。
自閉症の人は、その障害のために、できないことや苦手なことがあります。このことを、まわりの人が理解してあげて下さい。このことによって自閉症の人の社会適応は大変よくなります。


12.職場ではどう接したらよいのか

 自閉症という障害をまわりの人がよく理解して下さることが大事です。

 自閉症の人は、その障害のために、できないことや苦手なことがあります。このことを、まわりの人が理解してあげてください。このことによって自閉症の人の社会適応は大変よくなります。

 自閉症の人の苦手なことは

1)言葉でのコミュニケーション・・・言葉の意味の理解ができにくいので、抽象的な質問、長い文章などは苦手です。「ちょっと手を貸してくれ」といわれて真面目な顔で手を差し出すのが自閉症の人です。ですから、簡単な言葉やジェスチュア、文字、絵、写真など、その人の理解できる手段で接してください。

2)暗黙の了解とか、いわゆる常識というもの・・・職場で隣の人の仕事がまだ残っているのに、自分の仕事が終わればさっさと帰ってしまう。これは、「仕事がまだあるから手伝って」と指示されれば解決することなのですが、このように「察する」ことが苦手なのです。

3)急な予定の変吏や仕事の変更・・・あらかじめ決められたルールや手順などは一旦理解し、会得すればスムーズに出来るようになります。反面、急な変更は多くの場合ストレスの原因になります。これも自閉症の人に理解できる形で示すことが彼らの助けになります。

 簡単に言えば、言葉が分からない外国で生活をする不安やストレスと同じようなものに、自閉症の人は常にさらされていると考えてください。こういったことを理解することが、接し方の最も良い方法だと思います。


13.自閉症の人が大人になったら

 成人期を迎えますと、自閉症の人は、情緒不安定になったり混乱する状態が、改善されてきて、穏やかになってきまず。
 けれども人との交流の困難さが残るので、非常識と思われたり理解されにくいこともあります。じょうずに人と関われないため、自分の感覚や行動などにこだわり、生活の場面が限られてしまうことも見受けられます。

 職につき自活する人、年金を基礎としアルバイトをして生きていく人、生活保護を受けて一人で暮らす人、稀には、結婚している人もいます。

 条件さえ整えば、就労することができます(福祉作業所、福祉工場などの福祉的就労を含めて)。

 ですが、自閉症の人たちは、障害の程度に関わりなく、ハンディキャップを持ちつつ生きていかねばならないのですから、生涯、何らかの援助が必要です。社会の人々、家族や社会福祉制度に守られねば、生きて行けないのです。ところが、今までは、法律によって守られていませんでしたが、障害者基本法に自閉症が入りましたので、これからは、法の保護のもとに自閉症の人たちの未来は開けて行くことでしょう。


14.自閉症の人に街で出会ったら

 自閉症の人たちが街に出ても、特に問題はありません。性格的に極めて純朴で要求や感情をありのりままに表す人たちですから、付き合って見ると楽しい人たちでもあるのです。
 しかし、時には、こだわりや癖が、何も知らない人には、おかしく見えることがあるかも知れません。自閉症者の癖などは、不安定になっているときに、自分の気持を安定させたり回復させるためにしていることも多いのです。おかしな言動も「そうせざるを得ない事情がある」のだということを、理解してやっていただきたいのです。

 次のようなことを参考にしてください。

1.おかしなことをしたり、言ったとき。・・・笑ったり、指差したりしないでください。彼らのプライドをきずつけないでください。

2.社会的ルールに従わないとき。・・・「列に並んで待ちなさい」とか「お金を持って買いに来なさい」とか、はっきり教えてやってください。

3.話しかけてきたら。・・・聞いてやってください。

 あなたが外国人に道を聞かれたとき、丁寧に教えるように、「この人は何が言いたいのかしら」と考えて、話し相手をしてやってほしいのです。

4.困ってる様子が見えたら。・・・どうか、放っておかないでください。

 いかにも自分の意志でなくそこにつれてこられたような感じで一人でいたり、しばらく同じ場所でふらふらしていたり、電車の中で一人で歩き回っている人がいたら。疲れ果てた様子で道端に座りこんでいたり、寒空に裸足でいる。服の着方が異様だ。こだわりや、奇妙な手付きを操り返しているなど。

 時には駅などで、自動販売機の使い方がわからないのかも知れない。声を掛けて手伝ってやってください。大人の迷子かも知れません。迷子なら、交番につれていってください。

 お願いします!