「めはり天(花山魚菜変法)」の作り方

高菜漬けの確保
 

  
めはり天の命とも言えるのが、熊野地方特産のめはり寿司専用高菜漬けです。
 高菜漬けにいかに良いものを使うかが、味を左右する最大のポイントです。
 高菜漬けには、大きく分けて塩漬けタイプ、醤油漬けタイプ、古漬けタイプがあります。この中でも原料に柔らかい葉を使用して、塩漬けにしたタイプがめはり天に適しています。

 私は、熊野市五郷(いさと)高菜漬け生産組合の塩漬けタイプが大好物です。
 生産組合と言っても、高齢化によって造っている人は1件だけで、品種や漬け方に並々ならぬこだわりを持っているそうです。
 今回は、その高菜漬けを使用しました。

高菜漬けを皿に広げる
 
高菜漬けは、春先に造られますので、だいたいは冷凍にしたものを使用することになります。
 水で軽く洗いながら解凍し、軽く絞って葉の付け根の茎部を包丁で切り取り、皿に一枚一枚丁寧に広げていきます。この時、あまり洗いすぎると塩気が抜けすぎて不味くなるので注意します。

エビの選択
 
古すぎるのはだめとして、エビの質自体にはあまりこだわりません。
 大切なのは、エビの量をたくさん確保することです。
 この時もお勤め品ブラックタイガ−剥きエビを使いました。

エビの天ぷらを造る
 
エビの揚げ方にもあまりこだわりはありません。
 ただ、揚げたてを高菜で巻いてすぐ食べなければならないので、あらかじめ高菜漬けは、すぐ巻けるように皿に広げておく必要があります。

ご飯をのせる
 
何も味付けしていない熱々ご飯をほんのわずか高菜漬けの上に広げます。  
 決して多くのせてはいけません。

エビをのせる
 
揚げたてエビの天ぷらをこれでもかと言うくらいその上にのせます。

 エビの天ぷらの量が最終的な味を大きく左右するので、決してケチってはいけません。

ご飯をのせる
 
ほんのわずか熱々ご飯を天ぷらの上にのせます。

高菜漬けを巻く
 
高菜漬けを固く巻いて、棒状から俵型に仕上げます。
即食べます。
 
仕上がった「めはり天」を包丁で切ると、断面積はエビの天ぷらの部分が50%近くあります。このバランスが大切です。串本市にあった「日本一うまいめはり天」の店(HP週末田舎人の主人木金堂さんによるともうないそうです)では、もっと大きな高菜漬けでエビも少しで大きなめはり天を生姜たまりで食べさしていました。しかし、花山魚菜変法ではエビの比率を多くして高菜漬けとエビの塩味だけで食べます。

 巻いた後、少し時間が経つと高菜漬けとエビの衣の歯ごたえが非常に悪くなるので、揚げ・巻き・即食べが鉄則です。
 和歌山県串本市に「日本一うまいめはり天」という食堂があり、20年ほど前に数回食べに行ったことがあります。
 今もあるかどうかは解りませんが、めはり天を初めて食べたときの衝撃は今でも鮮明に覚えています。

 めはり天は、天むすの海苔の代わりに熊野地方独特の高菜漬(ス−パ−で売っているやつとは全く別物)で巻いたものとほとんど同じです。
 たったこれだけで、天むすやめはり寿司(ごはんをこの高菜漬で巻いたもの)とはまるで別次元の美味しい食べ物になります。

 私の家から串本まで片道6時間かかるので、自分で作って食べています。
 ただ、これを作るには熊野独特の高菜漬が運良く手に入ったときに限られます。
 これを美味しく食べるには、簡単なポイントがあります。

 高菜漬をそのまま使うと塩気が多すぎるので、水で適度に浸け洗いをします。浸けすぎると塩気が抜けすぎ大変不味くなるので、この調節が難しいところです。

 塩抜きが終わった高菜漬を絞って水気をとり、根本の堅いところを包丁でV字型に取り除き、一枚一枚皿の上に広げます。

 広げた高菜漬の上にちょっとだけ熱々ご飯を乗せ、その上に揚げたてエビの天ぷらをたっぷり乗せ、その上にちょっとだけご飯を乗せたら、俵型に巻いていきます。大きさは赤ちゃんのこぶし大です。

 巻いたら即食べます。少し時間を置くと大変不味くなるので、揚げ、即巻き、即食べが鉄則です。

 運良く熊野の高菜漬がけが手に入ったら、あなたも一度挑戦してみては・・・