覆盆子洞探検
(伊勢市矢持 2002.6.23)

 サニ−ロ−ドで五ヶ所湾に向かうと左側に「平家の里キャンプ場6km」という標識があります。その平家の里には覆盆子洞という洞窟があり、かねがね探検してみたいと思っておりました。しかし、周りの人の中に、誰一人として入った人はいませんし、インタ−ネットで検索しても、伊勢市の観光案内に言葉だけでていたり、ケイビングクラブの活動記録にさらりと書いてあるだけで、情報が非常に少ないです。
 ただ、人ずてにはいつくばりながら、進まなければならないという噂は聞きました。
 冬はコウモリを冬眠から起こすと死亡するおそれがあると、どこかのケイビングクラブの情報に書いてありましたので、暖かくなって本日決行しました。
 
 平家の里キャンプ場につくと、この洞窟の歴史、地図などを説明した大きな看板があります。
 ここに車を止めて5分ほど登ると洞窟の入り口です。
 入ってみてわかったのですが、入り口から「こだまのホ−ル」までロ−プがつながっており、入り組んで脇道だらけの洞窟内で、少なくとも「入り口〜亀裂の廊下〜第一の広間〜こだまのホ−ル」までは迷わずに行くことができました。脇道に入っていったら迷ってでられないかもしれません。
 コウモリはコキクガシラコウモリとのこと・・
 入る前の装備、這って歩かなければならないのでカッパ、頭をぶつけてけがをするといけないので帽子、あらかじめ看板を撮影してプリントアウトしておいた洞窟地図、灯りは何も設置されていないのでヘッドライト(予備ライトも)、迷子防止装置に6号ハリス(ロ−プ案内があったので結局洞窟の入り口に残して入りました)などです。もうひとつ軍手は必需品です。なぜならコウモリのウンコの中を這いながら進むためです。
 入り口12:00、とりあえず腰をかがめれば入れるくらい、出発。穴は何層にもなっているようで、水は一つ下の穴を流れておりました。
 入って5mのところに温度計が・・なになに13度?外より10度以上も低い・・カッパを着ているのでちょうどいいくらいです。
 10mほど進むと右下の亀裂に水が流れており、「心学の池」の表示がありました。
 20m地点でいきなりロ−プが狭い穴に入っています。どうしたことか・・・頭が入るかは入らないくらいの狭さです。リュックをとって、何度も入ろうとしましたが無理です。まいったなあ・・・少し後ろの心学の池からいけるのかと思って右往左往していましたが、どうしても前に進めない・・10分ほど立ち往生の末、左に登れるスペ−スがあり、それを登ると狭い亀裂の下にロ−プがあり亀裂の上を進むのだということに気がつきました。これが「亀裂の廊下」らしいです。狭い洞窟に入って、巻道を探すという単純な判断力がなくなっていたみたいです。
 そこを抜けると狭くて低いところを這いながら進みます。リュックが非常にじゃまで、結局コ−スの半分以上はリュックを背負って進むことは不可能でした。ここにはいるのはリュック大敵みたいです。
 この辺りから何か臭いです。。。地面はコウモリの糞、蛾の羽、土が混ざったとても注視できない感じです。ここを這いながら進みますが、コ−スの大半はこんな感じでした。
 結構体力もいりますので、老人、女性、幼児は入るのはやめた方がいいと思います。気軽な気持ちでアベックで入ったら、女性は確実にあなたの元を離れることでしょう。
 狭いところ這いながら進むと、前方が少しだけ広くなって、立てそうなくらいの場所みたいです。。。何か声のような音のような、、きゅうきゅうと音がします。
 ひょっとして、コウモリの住処か???
 ふと、2mほど先の天井を見ると恐ろしい風景が・・・コウモリが数十匹ぶら下がっています。ここを通らなければ先へは進めない、、一体どんなことになるんだろう???
 と思う間もなく、ばたばたばたばたばたばた・・狭い洞窟内を飛び立ったコウモリが頭の10cmほど上を抜けていったり、目の前まで着て反転したり、、頭真っ白・・
 私は今までコウモリを見て一度も怖いと感じたことがなかったのですが、それは多分、外の世界で見ているか広い洞窟で見ていたからでしょう。。身動きがとれない狭さの中で迫りくるコウモリがこれほど怖いものだとは思いませんでした。
 コウモリが徐々に飛び立ち洞窟の奥の方に消えていきますが、数匹はなかなか離れません。左の写真・・
 その数匹も飛び立ち、1匹だけどうしても飛び立ちません。だいぶこの状況に慣れてきたし、1匹なら怖くないので近ずいて観察すると、幼獣のようです。
 赤ちゃんは親コウモリにしがみついて飛び立ったみたいですが、こいつは中途半端大きさで飛ぶに飛べない感じでした。

 しばらく、狭いところや少し広くなったところを進むと、行く先々でコウモリがぶら下がっていたり飛び回っていますが、もう慣れちゃって怖くも何ともなくなりました。
 ・・この穴から出ると突然6畳ほどの広さ、3mほどの高さの広間に出ました。

 多分ここが「大広間」でしょう。
 壁には落書き、下は比較的平らな土(コウモリの糞混じり)、この広間からは上や横に数カ所洞窟の道が出ています。多分北に長く続くもう1本の道につながるのでしょうが、ロ−プもついていないし、ここに入ったら迷子になりそうなので、ロ−プに従って進むのみです。
 ここで休憩にしました。吐く息が白い・・たばこを吸っていると目の前をコウモリが入ったり来たりします。
 標識がないと思っていたら、糞と錆にまみれた字が書いてあるのに気がつきました。かろうじて大広間という字が見えました。
 ここまで、入り口から80−90m位の距離でしょうがかなり時間がかかった気がします。目的の「こだまのホ−ル」まであと40mくらいでしょう。
 これは何でしょう??
 コウモリの糞の固まりです。表面には黴が生えています。
 留まり心地のよいところにはこのような固まりがあちこちにあります。それにして臭い!
 一応石灰岩なんだから鍾乳石があるだろうと思っていたのですが、大はずれでした。これくらいが精一杯のようです。
 大広間を抜けると、なにやら看板が、、なになに・・・いやなことを書くなあ。
 突然、また6畳くらい高さ4mくらいの広いところに出ました。「第2の広間」と標識がありますが、地図にはそんな名前は載っていないぞ。
 下は大きな岩でごろごろしています。
 ロ−プがまだ延びているので、さらに奥に進みました。
 (周りの位置関係から、多分ここが「こだまのホ−ル」のようでした)
 10mほど進むと、高さ4mほどの岸壁上部の岩でロ−プが終わっています???
 この上に登ったら少し広間になっていましたが、恐ろしいコウモリの糞です。
 (周りの位置関係から、多分この上が「八畳の広間」と思われます)
 上の岸壁前方5mの場所は行き止まりで小さな1m四方の水たまりがありました。ここは直径3mほどで高さもかなりあり、コウモリの糞も落ちていません。水たまり横は綺麗な砂利がたまっています。
 (周りの位置関係からここが「大池」??でしょう)

 ここで、予備ライトをを点け、持ってきたコンロで湯を沸かしドリップコ−ヒ−を作りました。
 私は自然の中でコ−ヒ−をわかして飲む・・その爽快感がたまらなく好きですが・・・ここで飲むコ−ヒ−は、それとは全く違う感覚です。開放感と言うより閉塞感というか、でも非常に非現実的なはじめて味わう感覚・空間です。
 吸ったたばこの煙も風で飛ばされるでもなく、極めて遅く上って行きます。時間が完全に止まってる感覚。。。ふと時計を見ると、ここまで1時間30分が経過していました。わずか120mの距離を進んだだけです。
 帰りは30分ほどで入り口にたどり着きました。

 戦い終わって、土とコウモリの糞で見事な汚れ方です。