j-kiha1.jpg (9754 バイト) 志摩沖夏 おとこ達のキハダマグロものがたり
(志摩沖 2013.6.22)
(志摩沖 2014.7.6)
(志摩沖 2017.8.6)

 

 三重県ではジギングでは10kgオーバーのブリを目指している人が多いのではないでしょうか。しかし、一線を越えてしまった男達を熱くさせる魚がキハダマグロです。

キハダマグロが志摩沖に来るまでは夏のキャスティングゲームで男達が熱中していたのがシイラゲームでした。しかし、キハダマグロが全てを変えてしまいまいました。

 体がめじゃけてしまうようなキハダマグロの強烈なファイトを夢見て、夏の志摩沖ルアー船はキハダの予約でいっぱいになります。

 しかし、キハダマグロゲームに参加するにはある一線を越えなければなりません。ブリを釣る道具では参加することはできません。例えば、PE4号の仕掛けでも時間をかければ小型のキハダマグロは釣れるかも知れませんが、そんなに時間をかけていては同船者のチャンスは無くなってしまいますから、マグロゲーム用の道具が必要です。例えば大型を捕るにはPE6号を巻ける大型スピニングリールとマグロゲーム用のロッドを用意しなければなりません。かなりの投資ですから、そこに大きな山があります。

 その一線を越えて道具を揃えた人は、なんとしてもキハダマグロを釣り上げたくなりますが、ふらっと船に乗ってヒットするチャンスは多くはありません。ひたすたなぶらを探して船に乗るだけの釣行を重ね、それでも通い続け、テンパリ続け、運があってお金と時間と体力を投資したモノだけがキハダマグロを釣り上げることが出来ます。

 私は、キャスティングゲームが苦手なこともありますが先ず道具の一線が越えられませんので、参加資格はありません。

 先日、友人の松阪のSさんが初めて志摩のキハダマグロをキャッチしたのでその事例を述べたいと思います。ブリゲームが最大のターゲットである私はPE3号でさえ人間の力で切れないのではないかと思っていますがPE6号のキハダマグロゲームはどんな感じでしょう。

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 松阪のSさんは、今年6月に入ってへいみつ丸で3回目のキハダゲームですが、2回はひたすた船に乗っていただけのクルージングでした。しかし、3回目はザ・デイでした。船中5人でキハダマグロ4匹あがってそのうち2匹を松阪のSさんが釣り上げたのです。

 

 リールはシマノステラ18000番にPE6号リーダー130ポンド、

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ロッドは張りのあるヒラマサゲーム用MCワークスエクスプロージョン845HF

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ルアーはBCγ75-190

 

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 この日は尾鷲方面まで船を走らせそこでキハダマグロを見つけたそうです。キハダマグロは鳥を引き連れて泳いでいる時と捕食時のナブラは体を水面まで出してばしゃんとはねたりします。どちらの状態がヒットするかは一概には言えないとのことです。捕食時にはベイトに夢中になってルアーに見向きもしない場合があるそうです。

この日のヒットも捕食時のナブラではなく所謂誘い出しのようなパターンでヒットしたそうです。

キハダがルアーにアタックしたときはものすごく大きな水柱が立つとのことですが、ここで頭が真っ白になって合わせを入れるだめとのこと、キハダは先ずターゲットを尾びれではたいたり体当たりしてかた弱らせてから捕食して反転するとのこと。水柱が立ったときはターゲットを弱らせるアタックでこの時合わせてもすっぽぬけるので合わせてはいけないとのことです。水柱が立ってもそのままゆっくりルアーを引き続けて弱った魚を演出し、キハダがルアーを口に咥えて反転してロッドが十分重くなったとき力強く合わせを入れるとのことです。竿が立たなかったら引き合わせを十分入れるとのことです。

 ギンバルは20kgのキハダなら無くてもあげられるかもしれないけど、それ以上のがかかるととてもつらいので必需品だそうです。

 十分魚がかかったらポンピングやポンピングが出来なかった後ろに下がってはリールを巻くなどしてこちらが主導権をとらなければならないとのことです。魚がかかってひたすらロッドを立てて巻かずにいると魚が猛然とファイトしだして魚に主導権が行ってしまいとてもつらくなるとのことです。

 松阪のSさんは魚に主導権を与えず3分くらいで船縁まで引き寄せたとのことですが、ベテランの船長が今シーズン1匹目のキハダマグロをなんとしても船にあげるべくとても熱くなっていたとのことです。 通常はモリをエラの辺りに打ち込んで2人がかりで船にあげるそうですが、この日の船長はめちゃくちゃ熱くなっていて「ギャフ!ギャフ!」と叫んだのでギャフを渡したら、「ちゃう!モリ!モリ!」と言い直して、モリが船長に手渡されると何を思ったか「タモ!タモ!」となって、でっかいタモでマグロを掬ったらなんとタモの柄が外れて猛然とキハダが走り出してしまったとのことです。松阪のSさんはこれに耐えながら別のタモにランディングされて何とか今シーズンへいみつ丸1匹目のキハダマグロが船に上がったそうです。1匹釣ったので松阪のSさんは船の後ろで投げていたらまたしてもヒット!この魚も3分ほどで船縁に持ってきて、通常に戻った船長が冷静にランディングしたとのことです。


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 あがったキハダマグロはどうなるかというと、船長がエラを切って放血してドライバーのようなものを頭の急所に刺して黙らせたあと神経締めしてから「重量を量ることを優先しますか?それとも食べることを優先しますか?」と質問があり、重量を量ることを優先というとわたぬきはなし、食べることを優先というと自分でエラとはらわたを抜く為にナイフが渡されるそうです。

松阪のSさんはもちろん食べることを優先し、渡されたナイフで片方エラを切り取って血まみれのマグロをひっくり返してもう片方のエラを切って肛門からナイフをエラに向けて開き内臓を取り出して海水ポンプで魚を洗ったとのことですが、服は血まみれ釣るよりこちらの作業の方が疲れたとか・・・洗ったキハダはへいみつ丸の場合氷を入れた保存ケースが船のフタを開けるとあってそこに入れて腹に氷を詰めて冷やすそうですがこれも釣り人がやるので結構な重労働とのことです。

 港に戻ってから松阪のSさんは2匹の内1匹を船長に渡して1匹を持ち帰ったそうです。ここでも、マグロを捌いてくれるわけではなく、持参した大きなクーラーに入れて、入らないので尾びれを切って何とかクーラーで家まで運んだそうです。拷問のような重さでしょう・・・

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 これをまた自分で頭を落とし、三枚に開いて・・・う〜ん、これはきつい・・・3枚におろすとき腹骨をどう切るのか聞いたところ、簡単に切れるそうですが頭を落とすのは苦労するとのことです。

 松阪のSさんに、もう堪能したかと聞くと「また大きなのを釣りたくなるんですよ」とのことでした。きりがないじゃん!

j-kiha8.jpg (52037 バイト)  ということで、松阪のSさんから半身と頭をもらってきました。エラとはらわた抜きで22kgのキハダマグロなので半身と言っても10g以上あります。
j-kiha9.jpg (57015 バイト)  特大まな板に乗せたところ、それほど長さは感じませんが、身がめちゃくちゃ厚いです。こんなのよう3枚におろしたなあ・・・
j-kiha10.jpg (69903 バイト)  背脂がありました。白っぽい赤身です。
j-kiha11.jpg (60178 バイト)  身は腹側の所謂トロ部分と背側の縁側部分に脂が見えます。
j-kiha12.jpg (47169 バイト)  断面を見ると皮に近い方が白っぽかったです。近所のスーパーにこの皮側の白っぽい感じの柵が売っていました。 太平洋産解凍ものが100g380円、バヌアツ産生!が100g580円と結構お値段がします。昔はもっと安かった気がします。寝かせながら毎日味を確かめていきます。
j-kiha13.jpg (59165 バイト)  大トロの部分です。
j-kiha14.jpg (56438 バイト)  背側は縁側に脂を感じます。
j-kiha15.jpg (61119 バイト)  でかいカマです。
j-kiha16.jpg (55808 バイト)  カマ下の身が一番脂が乗っていそうです。 カマ下は塩こしょうで塩焼き、カマ上は塩こしょうでステーキをやろうかな。。
j-kiha17.jpg (62942 バイト)  中骨は、こそげ取っておきまりのネギトロです。
j-kiha18.jpg (64009 バイト)  尻尾ですが
j-kiha19.jpg (47002 バイト)  こんな身が取れました。これも塩こしょうでステーキにします。
j-kiha20.jpg (64065 バイト)  頭ですが・・・そのままでは焼けないし、かといって頭を割るのはムリっぽいので・・・
j-kiha21.jpg (69404 バイト)  目の回りに包丁を入れると結構身が付いていて、脂やゼラチンがあれよあれよと取れてきました。
j-kiha22.jpg (70509 バイト)  もう一方も目玉を切り出して、ほほ肉も切り出しましたが、思いの外ほほ肉はちょこっとでした。
j-kiha23.jpg (66813 バイト)  頭から切り出した、目玉まわり(上)、ほほ肉(左下)、頭肉(右下)です。 これは甘辛に煮付けます。目の煮付けはめちゃくちゃ脂があって美味かったです。
j-kiha24.jpg (71241 バイト)  皮を湯通してポン酢で食べると、これがなかなか美味しいです。

 
j-kiha25.jpg (65999 バイト)  冷蔵庫で寝かせてから、3日目の刺身ですが味が激変してめちゃ美味くなりました。旨みが強くなってねっとりした食感になってきて、この後寝かせるとまだまだ味が美味くなりそうです。 
 カツオみたいに鮮度が命の魚では無いようです。 うまく寝かせて食べるとかなり美味い魚です。
 私のように焦って次の日に大量のズケを作ってしまわないよう、寝かせて十分に旨みを引き出して食べてあげましょう。

 
j-kiha26.jpg (61336 バイト)  (志摩沖 2014.7.6)

1年後・・・またしても、松阪のSさんが志摩へいみつ丸にてエラワタ抜き20kgのキハダマグロを釣ったとのことで、半身をいただきました。この年3回目のキハダ釣りで仕留めたそうです。
 昨年のキハダマグロは釣っていきなり食べ出したので、寝かせが不足した反省のもと、今回は十分寝かせてからいただきました。寝かせる為に包丁を入れたらそこから酸化が進んでしまうので、大きなクーラーに丸のままキハダマグロを入れて氷をたっぷり詰めて3日間寝かせてから3枚に開いてその半身を釣って4日目にいただき味見しました。
 昨年と全く身の硬さが違います。今年は寝かせたあとのためか、身が柔らかくて血合いのあたりは見割れしていました。それから去年より全体に若干白っぽいというか脂が乗っている?
j-kiha27.jpg (75546 バイト)  背脂があって美味しそう・・・

 
j-kiha28.jpg (63986 バイト)  ブロックにわけてちょっと味見すると・・・これがめちゃくちゃ美味いです。。尻尾の方の身までとても美味しいです。寝かせ方が良かったのか、はたまた脂がのっていたのか・・・とにかく美味い!こんなにキハダマグロが美味いとは思いませんでした。これぞ生のマグロです。

 
j-kiha29.jpg (80591 バイト)  背側の身です。 寝かせて身がしっとりと柔らかくなって、脂が差していてこれは美味そう・・・
j-kiha30.jpg (74081 バイト)  そのまま刺身で小学校の娘と試食しましたが・・・これが感動的な美味しさです。いくらでも入っていきそうです。娘もいたく感動していました。とても柔らかくてしっかりマグロの味がして少し脂を感じて全く臭みがありませんでした。

 
j-kiha31.jpg (76389 バイト) (シーチキン作りその1→その2に続く)
 昨年同様、自家製シーチキンを作りました。。 これが缶詰とは全く別物で、めちゃくちゃ美味いです。 IT検索するとハーブを使ったりオリーブオイルを使ったレシピがいっぱい出てきますが、私は一番簡単だった方法でやってます。塩とサラダオイルを使うだけです。作りたてはこれで美味しいですが、冷めてからやや生臭さが出ますので、手間をかけられる場合はちゃんと臭い消しのハーブを入れた方が良いと思います。
 1〜2cm角に切った身に強く塩を振って身になじませて10分ほど置いて・・・

 
j-kiha32.jpg (77151 バイト)  ドリップをしっかりキッチンペーパーで吸い取って・・・
 
j-kiha33.jpg (71187 バイト)  鍋に移して、サラダ油を入れて超弱火で徐々に加熱していきます。。 どこかに70度に温度を保つと書いてありましたが、めんどくさいので温度は測っていません。

 
j-kiha34.jpg (68308 バイト)  全体が白くなったら、火を止めてフタをして余熱で中まで熱を通します。
 
j-kiha35.jpg (76561 バイト)  1時間ほどして鍋が冷めたら、鍋にまま冷蔵庫に入れて冷やします(塩だけだと完全に冷えるて若干生臭みは出ます、作って数時間は生臭みは無いようです)。

 
j-kiha36.jpg (69494 バイト)  食べる直前に食べる分だけ油の中から身を取りだしてスプーンで荒く潰してできあがり、適宜煮汁のサラダ油を加えてしっとり感を調整します。。 めちゃ美味いです。 パンとの相性が良さそうで、食パンと一緒に食べてます。 味は最初に付けた塩と生マグロの旨みのみですが、これが素晴らしく美味しいです。  缶詰のシーチキンは煮たくってぱさぱさの身に油を入れているようですが、自家製シーチキンは魚の旨みを食べている感じです。全く別物です。 早めに食べてます。
 
j-kiha37.jpg (76205 バイト)  (シーチキン作りその2)
 (シーチキン作りその1)は冷えたら魚の生臭みが出るし保存性もいまいちなので、ハーブを入れた本式でやることにしました。 キハダマグロはさいころにせず柵にして、かなり強めに塩をして10分おいてからキッチンペーパーで水気を取ります。
 
j-kiha38.jpg (78230 バイト)  マグロが浸かるくらいオリーブオイルを入れて、ローリエ、ローズマリー、粒ブラックペッパー、ニンニク2かけら(これがかなり味に影響するようです→必須)入れて、超弱火で1時間暖めます。
 
j-kiha39.jpg (76182 バイト)  最初の30分間はアクが出てくるのですくい取ります。
 
j-kiha40.jpg (82350 バイト)  1時間後・・・心なしかニンニクやマグロの表面が褐色です。 いくら弱火にしてもコンフィみたい調節できません。しかし、ちょっと味見・・・・激うま!!
j-kiha41.jpg (66633 バイト)  オイルにつけて保存・・・このオイルをパスタに使うの楽しみです。 めちゃガーリックとマグロの旨みが出ています。
 
j-kiha42.jpg (80136 バイト)  潰して味見です。。 食感はやや硬いですが、これがめちゃくちゃ美味いです。ガーリックが良く効いて子ども達も大興奮の美味さでした。この日は同時にキハダマグロの大トロ食べたんですが、シーチキンに釘付けです。 (その1)では柔らかい食感ですが、(その2)では硬い食感です。しかし、味は(その2)が圧倒的に美味かったです。。 しまった、こんなことならもっとシーチキン作っておくべきでした。。。というくらい美味しいです。
 (志摩沖 2017.8.6)

 3年ぶりに、松阪のSさんから電話が掛かってきて、志摩へいみつ丸にて釣った26kgのキハダマグロ 半身いらないか?・・即、要ります! (シーチキンが食べたいのだ)。
  釣れたときの状況・・・今年3回目のキハダキャスティングでボイルの中で仕留めたそうです。 前2回目でバイトあるもフッキングまでに至らなかったとのこと・・・今回の使用PEは・・・ナント8号!・・・GTですか! 以前PE6号のタックルで大きいキハダマグロが掛かり、リールを出ては寄せの繰り返しで「ボン!」と音がしてPEが破断してしまったので、今のロッドはPE8号を使っているとのこと、しかも驚くことにPE10号のタックルもあるとのことでして、キャストすると「ぶるぶるぶる・・」って音がして出ていくそうです。トラックが掛かっても釣れちゃいますね。。。

 さて、今回の後処理は。。内臓を残したまま寝かせを試みたとのことで、釣ってエラ剥き放血後、船の冷水機に入れて、冷やし、大型クーラーの中に氷とともに入れて1日寝かせて2枚に下ろしてまた寝かせて、結局釣ってから2日後の半身をいただきました。 若干食べるには早い気がしますが、十分食べられる感じとのことです。
 相変わらずキハダの半身は太い・・・自重で身割れしてきます。
 うっすらと脂があって美味しそう・・・ 友達に半身の半身をあげて・・

 
  キハダと言えば・・・シーチキンに勝る物はなし! 今回もたっぷり作りました。。 柵に強めの塩をして10分後に浮いた水分を拭き取って・・・

 
  つぶしニンニク3かけ、ロリエ3枚、ローズマリー2本入れて、エキストラバージンオイルでひたひたにして、超弱火に30分・・・火を止めてそのまま余熱で30分・・
 

  コンフィの感じに近づきました。 タッパーに移し、一晩を置くと身が柔らかくなってぐっと味が良くなりました。。 お裾分けするなら刺身よりシーチキン。全く異次元の美味しさです。
 

 荒くつぶしてオイルとともにいただくと、幸せ〜

 
  刺身は身の部位によって結構味が違いました。。 赤身から中トロ部分に脂の差しが入っていて、甘くてとろっとして美味かったです。オオトロの部分はもう少し寝かせた方が良さそうです。ごちそうさま・・・・・
 

志摩キハダマグロカウンター 2014.7.9〜