j-funa1.jpg (71989 バイト) 鮒みそを探しにおちょぼ稲荷へ
(岐阜県海津市にて 2011.3.13)

 日本の食文化の本を読んでいるとき、海津市付近の食文化として、「鮒みそ」という郷土食があることを知りました。寒ブナを大豆その他とともに長時間八丁味噌とザラメで煮続け丹念に作られるそれは、独特の味わいがあるとのことでした。 
 本には、いわゆるおちょぼ稲荷の参道に多数ある淡水魚総菜屋に売っており、本では「うをはる」という店を紹介していましたので、私はこの店を探しに行くことにしました。
 しかし、私はおちょぼ稲荷に行くこと自体初めてなので、そのレポートを兼ねながら書いていきます。ナビを見ながら東門の駐車場に到着です。 
j-funa2.jpg (75131 バイト)  参道は狭く、人でごった返しておりました。 淡水魚総菜と串カツ屋がやけに多い他は、種々雑多・・・混沌としていろいろな店が軒を並べており独特の雰囲気です。
j-funa3.jpg (77858 バイト)  神社の入り口でおばちゃんがお供えの油揚げを売っていましたので、これを買っていざ神社へ・・・
j-funa4.jpg (65418 バイト)  ろうそくと油揚げセットは30円でした。
j-funa5.jpg (80056 バイト)  神社は、この人の多さの割にすごくしょぼかったです。 人々は神社じゃなくて、この雑多な土産物通りを目指して集まってくるのでしょう。
j-funa6.jpg (81025 バイト)  先ずは、ろうそくを立てて。。
j-funa7.jpg (79976 バイト)  これが、本殿のようですが、しょぼいです。私は油揚げをどこに供えるのかうろうろしていましたが。。。
j-funa8.jpg (80942 バイト)  賽銭箱の手前に置くスペースがありました。  これはひょっとして反復使用???
j-funa9.jpg (80603 バイト)  本殿の右に5kgくらいの丸い石が置いてあってそこに人が並んで石を持ち上げていますので、私も並んで石の前の看板を見てみますと・・・訳がわかりません??
j-funa10.jpg (68422 バイト)  神社から見える店も種々雑多、芋にいちゃんの店があったり、何故かビリケンさまがいたり・・・なんでもありです。
j-funa11.jpg (74190 バイト)  神社を過ぎて歩くと、淡水魚屋がまとまって出てきます。
j-funa12.jpg (78795 バイト)  なまずの看板の通り、ナマズの蒲焼きもここの名物です。
j-funa13.jpg (80075 バイト)  淡水魚屋のかたまったところを少し抜けたところに目的の店はありました。 「う栽(を)はる」です。
j-funa14.jpg (79205 バイト)  ハエや鮒の甘露煮。。
j-funa15.jpg (69753 バイト)  どこの店にもあるもろこ(実際にはタモロコやモツゴが多いようですが)の甘露煮。
j-funa16.jpg (65858 バイト)  この店はイナゴの甘露煮も置いてありました。
j-funa17.jpg (75793 バイト)   
 さて、目的の鮒みそです。 子持ちと書いてありますが、子供が入ってないのもあるのもあるそうです。500円は小1匹、100円は小2匹、その中間は700円でした。私は700円のを買って「食文化の本を見てこの店にやってきました」と言うと「そうですか・・・○○先生の本を読まれたとは・・・」と言って100円まけてくれました。
j-funa18.jpg (81227 バイト)  お土産をゲットして他のいろいろな店を見学するのは楽しいです。 これは山菜やさんです。
j-funa19.jpg (76390 バイト)  焼き銀杏が売っていたので、思わず買ってしまいました。私は銀杏大好物。
j-funa20.jpg (77266 バイト)  そこらへんの土手で取ったと思われるつくしも売っていました。
j-funa21.jpg (69748 バイト)  さて、昼ご飯はナマズの蒲焼きとモロコの押しすしをと探していたのですが、モロコの寿司はどこにも無くて、結局駐車場のすぐ前にあったこの店でナマズの蒲焼きを食うことにしました。
j-funa22.jpg (73953 バイト)  ナマズの蒲焼き定食1980円。ナマズは30cmくらいのちいさいやつ。これにコイの洗いとモロコの甘露煮が付きます。
 私の最大の関心事は、このナマズが日本のナマズか、アメキャ(アメリカナマズ)かです。
j-funa23.jpg (81555 バイト)  ということで、顔を見れば解るだろうと思って、蒲焼きをひっくり返して顔を眺めてみましたが、う〜ん、解らない。。私の眼力では日本のナマズとしか見えません。。味は・・・そりゃウナギの方が美味いですわなあ。。
j-funa24.jpg (72662 バイト)  家に帰ってきました、鮒みそは店によって味が違うそうなので、参考に適当に入り口近くにあった「稲金」という店で800円の鮒みそを買いました。
 外装は、左が今回目的の「う栽はる」、右が稲金です。
j-funa25.jpg (78824 バイト)  開けると、鮒の上に豆などの煮付けが乗っていますが、「う栽はる」はしっとり豆も柔らかく、稲金は豆は固そうで黒いです。
j-funa26.jpg (81287 バイト)  「う栽はる」の豆をどけたところです。 いよいよ味見です。
 豆味噌から食べ始めると、これがびっくり! すごくまろやかな味で苦みも甘みも非常に穏和です。豆は口の中で自然に潰れていく柔らかさで、豆の他に何か柔らかい野菜か何かと一緒に煮込んであるようですがこれがまたすばらしく美味しいです。 鮒も同時に食べていくと、これまたびっくりです。 硬さと味は良く煮込んだ鮎の甘露煮に似ており、骨が口の中でほろほろと溶けていき、豆と味噌と鮒が境界線無く渾然一体となり複雑で深い味わいをなしています。 八丁味噌を使っているはずですが、その鋭い苦みが感じられなくて穏和な苦みになっています。 これは、ご飯無くてもそのままばくばく食べていけますから、塩濃度も高くないのでしょう。この味は私の鮒の煮付けという想像を遙かに超えていました。 はっきりいって美味いです。

 さて、比較の為に買った、稲金はかわいそうです。豆はやや堅めで、何より八丁味噌が勝っており苦みと辛みが前に出ています。確かに鮒は骨まで食べられるほどには煮付けてあるんですが、その硬さは前者より口に触ります。 何よりも味が単調で複雑さがありませんし、少しですが淡水魚の臭いが残っています。これ単独だと食が進みません。 これは前者と名前は同じ鮒みそですが、全く違う食べ物です。 ああ、ごめんなさい、こんなにけなしちゃって。。。
j-funa27.jpg (79066 バイト)  「う栽はる」の鮒の身を半分剥がしたんですが、周りの豆味噌と同じ色に染まっているのでよくわかりませんね。 私は、この鮒みそを美味い美味いと言って単独でご飯前に全部食べてしまいました。 ご飯前に少し、胸が焼けていたので糖分はそれなりにあるようです。

 今回は、また新たな食べ物を発見できて良い経験が出来ました。