ボケを掘って食べました
(松阪市松名瀬海岸にて 2005.7.23〜24)

 昔、チヌの筏釣りが趣味でしたが、その時の釣り餌にボケ(標準和名:ニホンスナモグリ)をよく使ったものです。。美味しそうな朱色の内子を見て「こいつもエビ(ヤドカリですが)の仲間だから食べたら美味いんだろうなあ」と思ったものです。

 検索エンジンで検索しても、ニホンスナモグリを食べたという話は1件もヒットしません。それならば、一度、捕るところから食べるところまでやってみようと思いました。ひょっとしてめちゃくちゃ美味いエビかもしれません。。。。

 それで、今日大潮の干潮です。。シャベル持って、砂浜の深い巣穴に住むというボケ掘りに行くことにしました。。
 場所は、以前アマモ場でたもをごそごそやっていろいろ捕ったところです。。当日はアサリ取りの人でにぎわっていました。

 浜茶屋前のアマモ場を先ずは掘ってみましたが、、ここは砂と言うより泥・・・です。貝も皆無・・へへ

 おっと、いきなりビックなゴカイと思ったら、マダイやカレイの餌に使うマムシがとれました。。。こいつは2本で500円くらいする高級な餌です。。。こなところで捕れるのか・・・・・

 掘ると、必ず何か訳の分からない生き物が出てきます。ショッキングピンクのうねうねするやつとか、白くてやたら太長いやつとか、針が出ていて茶色いやつとか・・・エイリアン大行進です。
 でも、全然ボケは出てきません。。。。この泥がいけないんでしょう。ポイントをもっと砂っぽい場所に大きく変更することにしました。

 と言うことで、多くの人があさり掘りをしている綺麗で泥がない場所にやってきました。
 とりあえず、画像のようなカニの穴みたいな直径1cmくらいの穴を掘ってみたら・・・

 一掘りであっけなく捕獲できました。。。な〜んだ、簡単じゃ〜ん。。。デジカメで撮影しようと鞄をごそごそやっていと早速砂に潜って逃げようとします。さすがニホンスナモグリという名前だけのことはある。。この背中の赤いのが内子です・・・美味そうに見えませんか?

 大きさは、小さくてこんなものです。

 穴を見つけては掘っていると、2回に1匹ほどの割合でわらわらと捕獲できました。30分で15匹ほど捕獲したところで終了しました。。ポイントさえつかめばアサリよりはるかに簡単に捕れるもんだなあ〜

 ボケは、完全なベントス(底泥中の有機物を食べています)です。しかも固形しか食べません(つまり泥ごと食べていると言う意味です)から、共食いはしませんが、消化管内は泥でいっぱいのはずです。
 観察すると、砂が底にあると直ぐに砂団子をかかえて歩き出すので、完全に砂とは分離しなければなりません。。フレッシュな海水を汲んでおいて、金網の容器の上まる1日間糞出ししました。。底を見ると結構な量の糞がたまり、もういいだろうと言うまでこのままにしておきました。

 <茹でボケ>
 先ずは、味が最もストレートに解る塩ゆでにしましたが・・・・・あらびっくり!!エビの仲間なのに熱をかけても殻が全く赤くなりません!! 真っ白です。。
 エビの仲間だから茹でるといい香りがあるはずです。。。。あれ??これはかすかにエビの香りもしますがほとんど香りはしませんというか、、青臭い、、いやいや泥臭い、、いやいやもっと具体的に言うと硫化水素臭・・そうヘドロ臭い。。が正解でしょう。

 この時点で味を確かめるのに躊躇が出ましたが、先ずは尾の部分からいただきました。 歯触りは、殻がばりばりと言う感じであまりいい感じではありません。特に強大なハサミは軽石食ってるような感じです。味は、旨みが強くてそれほど癖はありませんが若干ヘドロ臭い味が混ざっています・・・さてさて、尾は食べて頭の部分を食べると、、うん??ほろ苦いです。。しかもヘドロ臭い味がより鮮明になってきました。。う〜ん不味い!! 茹でた頭部は臭いがいけません。。
 結局、内子の味がよくわからないまま、2匹食べたところで気分が悪くなりました。。

 結論・・・茹でボケは不味い!!特に頭部!!!

 <揚げボケ>
 小麦粉付けて揚げてみました。。揚げても白いなんて・・・
 小型のものを食すと。。。あら!不思議、あのヘドロ臭さがほとんど飛んで頭部の苦みも和らぎなかなか香ばしくてまあまあ美味いじゃないか。。強大なハサミもぽりぽりと香ばしくて美味いです。。
 大型のボケに外子があったのでその部分を食したところ、身とは全く違って臭いもなく上品な旨みでしたが・・・その大型の頭部を食べたところ、苦みとともにヘドロ臭がもあ〜ときてしまいました。
 揚げボケは、茹でボケに比較して臭いが飛んでいた分ずいぶん食べやすかったです。10匹ほどすべて食べましたが、美味いかというと口の中に残るかすかなヘドロ臭が示すごとく、不味いです。

 総合結論・・・・ボケは食材としてふさわしくありません。まいったまいった。今回の良かったのは、ボケに関して日本に新たな知見ができたことでしょう。