星時計訪問記・水無月の夜編

6月20日
仕事を済ませ,いったん家に帰って荷物を持って駅に向い,電車に乗る。
数日前に買った,ミニフォークギターが荷物に加わっている。

名古屋から新幹線に乗る。駅のホームでのアナウンスにはいつも感慨を深くする。
曰く,「次の停車駅は終点,東京です。」次が東京,というのは何度考えてもすごいことだ
と思う。昔は何日もかけて東海道を歩いていったのになぁ・・・歩いたことはないけど。
2時間もかからずに東京に着き,東西線の大手町駅まで歩く。
途中の地下道に古本マーケットがあったので,さっそくそれにひっかかり,数分を費やす。
児童書の棚をくまなくチェックするが,あたりはなし。
おぉ,こんなところでのんびりしていてはイカンと,地下鉄に乗る。
私は田舎モンなので,実はこの日まで東京で地下鉄に乗ったことはなかったのだ。これまで
地上を走る乗り物にだけ乗っていた。地下を走っていると,方向感覚がないので不安なので
ある。しかしこの日は違った。宿泊場所である,門前仲町に行くには東西線なのだ。
モグラのよーに地下を走り,門前仲町で地上に出る。狭い川をはさんで南西に目指すホテル
リンクスがある。5分ほど歩いてホテルに到着。このホテルは前金制であった。
部屋に入って服を着替え,リュックサックに楽譜と傘などを詰め,ギターを持って外に出る。
既に午後7時を過ぎているが,夏至直前なのでまだまだ明るい。

ダイソーで買った100円の携帯マップを見ながら南南西に向って歩く。
道の左に東京商船大学が見える。もう少し行くと,隅田川から分かれて晴海運河へ続く川が
見えてくる。左には帆船が見える。明治丸である。どんな帆船かは,インターネットで検索
すると出てくる。
そして相生橋に出る。雨が降るかと心配して傘まで持って来たが,夕焼けが美しい。
(週刊あ〜,第27号の1コマ目がその場面なのさ。)
隅田川という言葉には地方人の私にも何か感じるものがある。
東京が江戸だった頃からその中心にあった川。はぁ〜るのぉ〜うらぁらぁのぉ〜すうみいだ
ぁが〜わ〜である。江戸のたたずまいを探すが,見事に裏切られる。何といっても
目を奪われるのが川沿いにいくつも建っている高層マンションである。
しかし川を流れる水の主成分は今も昔もH2Oだ。川は時代を越えてそこにある。
風景の大きさにはじめて「東京」を感じる。新宿を見ても渋谷を見ても「東京」だという
実感はなかったのに,夕焼けをバックに川沿いに佇む高層マンションの風景に「東京」を
感じるのはなぜだろう。私の中の東京はセンチメンタルなのだろうか。

相生橋を渡り終え,左側を歩いていたので横断歩道で右に行く。更に200メートルほど南南西
に進み,そこで適当に右に折れて,狭い道を北北西に歩く。
道はよく分からないが,ま,だいたいその方向に星時計はあるはずだ。
家々のたたずまいになつかしい雰囲気を感じる。道端に猫が多い。猫の多い街の人たちは
たいてい穏やかである。だんだんと空が暗くなり,星時計が見つかるかどうか不安になる。
とにかく隅田川の近くだということだったのでまっすぐ行けるだけ歩き,
ちょっと左に折れて,すぐに右に折れて小さな橋を渡ると隅田川につきあたる。
そのT路道で右に行くか左に行くかしばし逡巡する。と,右を見ると佃煮屋の看板の手前に
1軒だけ暖かな色のランプのついたレンガの壁の建物がある。
これかな?と半信半疑で近寄ってみると「まめかん・・・」と書いた板がぶらさがっている。
んー,ここではなかったか,と落胆しかけたとき,ドアに「星時計」の文字を発見した。
あぁ〜,遂に来たのだ。うれしいねぇぇ。
なんと結局ここまで来た道を反省してみると,一度も迷わず遠回りもせずにたどり着いたの
だった。ヒデヨシよりはずいぶんマシな野生の勘である。

ドアの前でうろうろしているうちに,ドアの左のガラス越しに2階から若い女性が降りてくる
のが見えた。中からも妙な人影が見えたのだろう,私がドアを開ける前に中からドアが開いた。
中に導き入れられると,その女性は「た〜けさんですね。」と爽やかな声をかけてくださった。
しゃいこなさんは,私の勝手な想像では,もう少し背が低くて,ぽちゃっとした感じかなぁ,
なんて思っていたのだが,華奢ですらっとしていて,髪も長く,思わず心の中で
「び,びゅーてぃほー」と呟いたのであった。が,それは心の中の話。
私はちょっと気押されて「し,しゃいこなさんですか?」と言う。
お互いにはじめましての挨拶を交わし,私は一番手前の椅子に座る。
カウンターには二人の一般客。他のアタゴオリアンが現れるまで鰻巻きをつまみに,
生ビールを飲む。付け醤油が実にコクがあって旨かったが,「これが佃の本場モノの醤油
ですか?」と聞いて,「いゃぁ,スーパーで売ってるキッコーマンですぅ」とか言われると
面目丸つぶれなので黙って味わう。

階段横に丸い大きな時計を発見し,写真を撮ろうとすると,しゃいこなさんが「うらに開店
記念パーティーの時にみなさんに書いてもらったサインがあるんですよ−」と裏を見せて
くださった。んむ,ますむらさんが描かれた正面顔ヒデヨシがある。他にもたくさんの名前。
あー,この店はこんなにも祝福されて始まったんだなーとしみじみする。
と,そこにドアを開けて入って来たのが,空猫さんであった。お会いするのは昨年の秋以来
である。が,その宇宙人的存在感は変化していなかった。会話をしていると,宇宙に連れて
いかれそうになる。テーブルに置いてあった私のカメラをさっと手に取って,
「ビール撮ろうっと」と言ってジョッキの真上から,10cmの至近距離でシャッターを切ろうと
するので,「あ,これこれっ」とあわててカメラを取り上げる。

そうこうするうち,NowhereManさん,ナギさん,ゆかりさん,サンチョさん登場。
確か,ナギさんとは初対面。他のお二人とは空猫さんと同様秋以来である。
やぁ,ども,って感じで先週も会ったように話せるのがネットで付き合いを続けていることの
いいところ。
やおらギターを取り出し,弾きはじめる。ギターコード付きの歌詞をA4ファイルに入れて
40曲持って行ったが,かなりマイナーな1970年代のフォークソングが多いので,空猫さんは
ほとんど知らない。これは,おじさんの優越感をくすぐるのだ。「どだー,知らんだろー,
にゃはははは」ってね。実際,70年代のフォークソングはすばらしいのである。私は
フォーク伝道師となって,そーいうすばらしい曲を若い世代に伝えるのじゃぁぁぁ。
という気合いを込めて,井上陽水の「傘がない」を歌う。♪とぉかいぃでわぁぁ,じさつぅ
するぅぅ,わぁかぁもぉのがぁぁ,ふえてぇいるぅぅ・・・
歌っていると合いの手に,空猫さんが持参の楽器(?)である口琴を絶妙のタイミングで
「ビヨォぉぉ〜ん」と鳴らしてくれるので,ガクッとなる。

翌々日のマ−マ−バンドのライブ情報をゆかりさんから聞いたり,しゃいこなさんや○塚クン
の仕事ぶりを見たりしながら,マグロやタコの刺身,アジの南蛮漬けなどを食べる。うまい。
星時計に来たのだから,当然,「星待ち珈琲」も飲む。苦味が爽やかだ。
あっという間に時は過ぎ,午前0時。お開きの時間となり,サンチョさんのクルマで門前仲町
まで送ってもらう。まだ開いていた名もないラーメン屋さんに入って醤油とんこつラーメンを
注文し,おろしにんにくをたっぷり入れて食べる。そしてコンビニでポテトチップと酎ハイを
買ってホテルに戻る。ベッドにころがりながら飲みはじめるが,半分ぐらい飲んだところで,
睡魔には勝てず,ダウン。こうして1日目は無事終了した。

6月21日

昨日よりは早い時間なので,ホテルのフロント
で「弁慶」というラーメン屋の場所を聞き,ギターを抱えてそこを目指して歩き出す。
このラーメン屋さんは昨日,NowhereManさんとサンチョさんに教えてもらったのだった。
ギトギトこってりのラーメンらしい。星時計とは逆の方向に5分ほど歩くと,首都高速9号深川
線の下に「弁慶」があった。入ってみると,椅子はなく,立ち食いのラーメン屋である。
食券を買いながら,「ラーメンね」と注文する。ギターを床に置こうと置きやすい場所を探す
が,床全体が脂でギトギトになっている。店員から渡された割りばしだけを握りしめて,
作るのを見ていると,これが豪快である。
どんぶりを置いておいて,その上にステンレスの浅いざるをかざして,その上から背脂の
入ったスープをじゃばじゃばと注ぐので,あたり一面に脂が飛び散るのだ。
おかげで,だまっていてもムーンウォークができる床ができあがる。
味はなかなかイケる。いいところを教えてもらった。また食いにいくぞ。

ラーメン屋を出て,また星時計を目指して歩く。今日は曇り。雨が落ちてくる気配はない。
相生橋を昨日よりもゆっくりと渡る。まだ明るいが,屋形船が下ってくる。
星時計に行く前に,すぐ近くの佃煮屋さん「つくだに・天安」で数種類の佃煮を100g〜200gずつ
買う。なんたって,佃の佃煮と言やぁぁ,瀬戸の瀬戸物,米沢のヨネザアド,ってなモンである。
本場モノである。東京に来たときには何か土産を買って帰るのだが,東京駅近辺で買えるもの
にはたいしたものはないので,これまで何を買うかが悩みの種だった。
しかし,佃に来てみて,佃煮があったじゃないかぁ,と思った。今度来たときも佃煮を買おう。

星時計に到着するとドアに「CLOSED」のプレートがぶら下がっているが,かまわずドアを開け,
中に入る。すると,奥のカウンターに座っていたのはプフさんだった。
「はじめましてー,た〜けですぅぅ。あのー,CLOSEDになってますけど,いつからいらっしゃ
ってるんですか?」と聞くと,2時からだとのこと。う,うーむ,さすがに侮り難し,
野田の主婦。
今日は昨日にも増してたくさんのアタゴオリアンが集まってくるとのこと。期待しながら,
今日も生ビールを飲みながら待つ。
しばらくすると,わらわらとみんなが集まって来た。
順番は忘れたので,この日集まった方々を順不同で列挙すると,
はにわさん,ナギさん,ま〜すけさん,ゆっきんさん,サンチョさん,NowhereManさん,
蜘蛛爺さん,sthwさん,みん9るさん,バグさん,そしてプフさん。
やー,にぎやかでいいねぇ。

人数が少ないうちは1階でわいわいやっていて,そのときに私はギターを弾きながら尾崎豊の
「I Love You」や吉田拓郎の「加川良の手紙」(わー,マイナーの極致!)などを歌う。場の
雰囲気を壊すといけないので控え目に歌う。
そして,楽器を持った人で「星時計のテーマ」と「カントリーロード」を合奏する。
はにわさんとプフさんがオカリナの音を響かせ,しゃいこなさんはウクレレ,
sthwさんはマンドリン(通称マンドリル),私はギター。
オカリナが上下2部に分かれてメロディーをハモると,気持ちのいい音である。
屈折したおじさんの心をまっすぐにしてくれるような音色だ。

そのあと,音楽部隊は2階へ移動。おー,ここにもオーダーメイドの「STAR CLOCK」が
掛かっている。こちらはアンティークな柱時計の形をしている。
2階でも合奏。蜘蛛爺さんはケーナで参加。その後,オカリナ部隊は練習モードに突入。
一応,部屋の隅でプーポー吹いているが,音が大きいので2階全体に響き渡る。トトロの
森の中のようである。NowhereManさんは,持参した2400曲も入った歌の本を適当に広げて,
ウクレレをぽろんぽろん弾きながら裏声で歌う。誰かが,曲をリクエストしても,
それには答えず,自分の心のおもむくままに歌う。まさに「ロンリーウルフ」である。
私は何を弾くでもなくギターを抱えたまま,ゆっきんさんやバグさんやはにわさんやsthwさん
などとしゃべる。
いろいろ料理が出てきて,マグロ丼もあった。2人分しかなかったので,夜中の決闘が
始まるかと思ったが,そーいうことはなく誰かのお腹におさまった。私は「猫の森カクテル」
を飲む。緑色がきれいであった。うーむ,満足満足。
sthwさんはマンドリンを津軽三味線風に弾く。マンドリンの音も個性的で気持ちがいい。
この夜も午後11時を過ぎ,最後まで残っていた人たちは珈琲を飲み,解散。
O塚くんは先に帰ってしまっていたので,しゃいこなさん1人が残される。

はじめての星時計訪問。実に楽しい2日間であった。しゃいこなさんのおかげで,
東京にはじめて居場所ができた気がする。
ありがとう,しゃいこなさん。また来るよ〜。待っててね〜。

私以外は地下鉄の月島駅に向うので,すぐに別れて私は1人で歩く。
とても暖かな心になって,ひんやりとした川風に吹かれながらプラプラと歩く。
ホテルに戻っておとなしく寝る。

6月22日

まず池袋に向う。東口の西武高速バスの窓口で11:20pm発の切符
を買う。そして,荷物を駅の地下にあるコインロッカーにしまい,身軽になってまたJRに乗る。
目指すは中野のまんだらけ。やはり東京に来たなら,1カ所ぐらいは古本屋に行かないとね。
まんだらけにはますむら作品の単行本がいくつかあったが,すべて持っているので値段の確認
だけして,棚に戻す。「ペンギン草紙」600円。ちと高い。「イーハトーヴ波」2200円。これ
もちょっとね。他には学研版の「アンダルシア姫」第2巻や「オーロラ放送局」上,なども
あった。あまり時間もないので徹底的な探索はあきらめて,雑誌類を探す。
結局ネムキを2冊と,ガロを1冊だけ買った。ますむら作品の掲載されているガロはあと3冊
になったが,一気に買ってしまうとあとの楽しみがないので,1冊ずつしか買わない。

まんだらけをあとにして,中野の商店街の中で300円のざるソバを食べる。中野の駅からまた
電車に乗るが,快速に乗ってしまったので目的地の大久保を通り越して新宿まで行ってしまい,
また乗り換えて大久保に着く。大久保と新大久保の駅の間に次なる目的地があるのだ。
ケンタッキーFCの隣のビルの地下1階に,ライブハウス「HOT SHOT」があった。
入口の前に行ってみると,なんとイキナリ,豪宙太さんと対面〜。あー,昨夏の米沢以来で
ございます。挨拶をすると,「あー,まっさんの関係ね〜,もう,ゆかりさんたちは下にいる
よー」と言ってくださった。「え?そうなんですかぁ」と答えて,でわっ,と階段を降りる。
2000円を払って中に入ると,素朴な木の椅子にゆかりさんとゆっきんさんとsthwさんが
腰掛けて待っていた。開演まであと30分ほどである。
この日は「Marquee Marblish BAND」略して「マーマーバンド」さらに略して「MMB」が
メインの主に(全部?)野田のミュージシャンたちによるライブなのだった。私の研修会のための
上京に合わせてくれたかのよーなライブである。どもー,アリガトねー。
私はマーマーバンドを聴くのは初めてである。野田の花まつりにも月まつりにも行ったことが
ないのだ。しかも,驚くなかれ,ライブハウスという所も初めてなんである。
もー,天然記念物のよーな人間である。
クラシックやジャズ以外ではコンサートと言えば,大学時代に学祭でなぎらけんいちと高田渡
を聴いたのぐらいしか記憶にない。あれはもう25年も前のことじゃった。

ゆっきんさんとゆかりさんがすすめるので,マーマーバンドの2種類の4曲入りCDを買う。
各1000円ナリ。ライブビデオも売っていたが,今回はパスした。けど,あとから考えると
買っておいた方がよかったかなーと,ちょっと後悔。
そのあと,ゆかりさんが妹さんを紹介してくれた。おぉー,なんか可憐〜。缶ビールが似合う
ゆかりさんとはちょっと違う雰囲気だ−。

そうこうしているうちに,7pmを過ぎたのでライブが始まる雰囲気だ。トップバッターは
ワハハ本舗の飯塚俊太郎氏。この人,おもしろ過ぎ−。いきなり西部劇のガンマンスタイルで
登場し,チープなギャグで攻めまくる。そして,ブラントオブジェクトの演奏。このバンドは
若いねー。んー,何もかもが若い。これからのバンドでしょう。
で,またシュンタローさん。ドラキュラに扮して出てきてなぜか手品をやる。いいねー。
そして泉見洋平クン。かっこいいねぇ。ここで豪宙太さんがバックでボンゴ(?)のような打楽器
を演奏する。これがすごいんだー。完璧なリズムを刻みながら,雑談ができるんですよー。
どーなってるんでしょうね。
私は米沢以来,豪宙太さんの隠れファンなので,彼の本職を見ることができて幸せであった。
次はケスケス。このバンドはいいですよ,うん。ボーカルに華があるし,ベースのテクニック
に目を見張る。あとは,ギターがもっと歌えばすごいなー,とエラそうな感想を書いたりして。
狭い会場でもフルパワーで突っ走るケスケス。ドラムも皮がやぶけるんではないかと思うぐら
い,たたきまくるし,限界を越えた大音量でやるもんだから,音が脳の中で鳴っている。
日本武道館でもこの音量でおおけぇだぜ,べいべー,って感じである。
ケスケスのメンバーはこんなのを毎日やってたら難聴になるんじゃなかろーかと,心配する。
で,またシュンタローさん。クラゲの格好をして妖しいダンスをする。「・・・・刺すよ」
のセリフが受けた。
この頃,会場に川津氏が姿を見せる。ぅおっ,で,伝説の川津くん!米沢では腹がよじれ
ました。初めて間近に御尊顔を拝し,この人がヒデヨシのモデルだったのかぁぁ,と感慨
を深くする。何かトンデモないパフォーマンスを披露してくれるのかと,ちょっと期待した
のだが,それはなかった。残念。

最後に登場したのが,おまちかねのマーマーバンド。チャオさんが左,真ん中後ろに豪宙太
さん。右に一郎さん。ゲストのベーシストが真ん中でドラムの前に立って4人で演奏が
始まる。「ラクダで行こう」がよかったねー。♪あ〜ぁ,らくだでいこお♪・・・・
それ以外の曲も,とにかく楽しい。いい曲ばかりだ。しゃべりもおもしろいし。
マーマーバンドはメンバーがみんな,音楽を楽しんでいるというのが直に伝わってきて,
聴いているこちらも楽しくなってくる。
アンコールが終わったのが,10:40pm。最後の挨拶で,チャオさんが「野田のテントが
なくなってしまったので,同じように楽しめる企画を考えた」ということをおっしゃった。
とうとうテントに行くことができなかった私としてはとてもうれしいものがあったねー。
場所が変わっても気持ちは何も変わっていないんだなー。
よかったです,聴きに来て。ほんとに,よかったです。

って,余韻に浸っている時間はないのであった。11:20pmに池袋にいなければならないので,
10:45pmが限界であった。あわてて帰ろうとすると,後ろにNowhereManさんとサンチョさん
が立っているのに気付き,一言二言挨拶をして,それからゆっきんさんやゆかりさんやsthw
さんにもちょっとだけ挨拶をして,会場を飛び出す。
小走りに新大久保の駅に向い,山手線で池袋に到着。地下のコインロッカー室に降りて行こう
として,ふっ,と看板を見ると,「このコインロッカーは午後11時に閉ります。翌朝6時まで
は開きません。」と書いてあるではないかっっっ!!
でゅわーーーっ,しまったぁぁー,迂闊なりぃぃぃ,とあせったが,時計を見ると,10:59pm。
タッチの差でセーフ!・・・・あぁ〜,一瞬どーしようかと思いましたよ。
荷物を置いたままバスに乗って帰るわけにはいかないから,もしもロッカー室のドアが閉って
いたら,カプセルホテルかどこかに泊まって,翌日に電車で帰ることになっただろう。
そんなことになったら,バスの切符は無駄になるし,大変だったなー。

幸運に助けられて,無事荷物とギターを手にしたので,池袋の東口を出て,バス乗り場に
向う。出発予定時刻まで10分ほどある。乗り場のすぐそばに屋台のラーメン屋があったので,
当然のように食べる。弁慶のラーメンにはかなわないが,修羅場をくぐり抜けてきた直後
なので,うまい。
ペットボトルのお茶を買って,バスに乗り込む。
予定を10分過ぎて,11:30pm出発。バスは一路,伊勢路へと向うのであった。

夜行バスは座席が窮屈で,寝返りが打てないのでなかなか熟睡はできないが,高速道路に
乗った直後に睡眠に落ちる。
はっと気付くと,どこぞのサービスエリアである。あわてて降りて行って,信玄餅を一箱
買う。おみやげNo.2である。
またバスは走り出し,2度目の睡眠。そしてまた恵那サービスエリアで停車。
真っ暗な空。冷えて湿った空気。霧も少しただよっている。人影もまばらで,こっちは
寝ぼけているし,異空間に迷い込んだようである。
ここでは,今度は柿の葉寿司を買う。おみやげNo.3である。
でバスに戻ってまた,寝る。
次に目覚めたのは,三重県に入ってから。桑名,四日市,鈴鹿,とアナウンスがあるたびに
ぼんやり目覚める。もう既に空は明るくなっている。
ようやく津に到着。6:30am。
バス停から歩いて3,4分のところに自宅があるので誰もいない街を,バッグとリュックサック
とギターを持って歩く。家に帰りつき,まずiMacの電源を入れ,アタゴオル中年探偵団BBS
やその他の定例見回り場所を見る。
ようやく,3日間の旅が終わった。んんーーむ,今回も実に濃い旅であった。

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