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| 「ゴルファーには2種類しか存在しない。すなわち夏坂健の本を読むか読まないか。つまり知性的か非知性的か、彼の本はバロメーターとされる」 ある新聞が涙とユーモアに満ちた夏坂さんの世界を評して紹介した言葉だそうです。 夏坂健さんが生涯所属したクラブは「地球ゴルフ倶楽部」。 ナイスショットの喜びと、ラフに打ち込む憤怒、悲喜こもごもの向こうに、ゴルフの歴史を見、自然と風土を愛し、ゴルフする人々に温かい眼を注ぎ、その源流をこよなく慈しみ、訪ね歩かれた人生でありました。 歴史小説家・司馬遼太郎氏の仕事に「司馬史観」という学問を見るならば、夏坂さんのリンクスへの畏敬のこもった旅はまさに「リンクス街道の巡礼者学」という『ゴルフ学』」であります。 その夏坂さんをして、 「さて、私はこれからスコットランドに向けて出発する。セントアンドリュース、ミュアフィールドにも立ち寄るが、本当の目的は「ロイヤル・ドーノック」の再訪にある。人口1千人にも満たない小さな村に、世界一の名コースが静かに横たわっているのだ。いまや疲労はピークに達しているが、ほら、もう足の奴めが勝手にトコトコと…。 そして、 「私はいま、1番ティから50ヤードしか離れていないロイヤル・ゴルフホテルの203号室にいる。この角部屋からはコースの全景と、彼方に広がるエンボ湾が一望されて絶景の極み、叶うものなら、死ぬまで動きたくない。」 といわしめる、ロイヤル・ドーノック・ゴルフクラブ(Royal Dornoch Golf Club)。 この文章に出会ったときから、いつかきっとと憧れていたコース。 行ってきました。
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エジンバラへ、そしてハイランドへ 5月24日(土) ピットロッホリー Pitlochry
ピットロッホリー18番ティーから。赤い屋根がクラブハウス。 5月26日(月)
A9を北上。やがて低い山に囲まれた荒涼とした風景に代わる。道ばたの看板に テイン Tain
5月27日(火)
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ロイヤル・ドーノック Royal Dornoch Golf Club
5月28日(水)
黄色のティーマークから、1番300ヤード、パー4。スプーンやバッフィー、あるいはアイアンの人もあり、静かな出だし。2番167ヤードのショートホール。3番398ヤード、4番403ヤードと難しくなってきて7番423ヤード、パー4あたりが前半の鍵。
トリッキーなホール一切なし。川なし、池なし、極端に深いバンカーもなし。恐怖のゴースも一度入ってアンプレアブルにしただけだったのに90を切れなかった。強く打って、ギュとスピンをかけるか、フワッとあげる微妙なアプローチができるか、あるいはあきらめてパターで砲台グリーンを駈け上がらせて、なんとかボギーでおさめるか。自分の腕と度量に合わせたゴルフを要求される。
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| 5月29日(木) 10:40スタート。 今日はカリフォルニアから来た50代半ばかばくらいの、がっしりとし、髭を生やしたジュリー。サンフランシスコジャイアンツの帽子をかぶっている。(左の写真)と2人。スターターのおっさんが、彼と引き合わせ、「こちら(私のこと)きのうもプレーしたよ」と紹介。バックを担いだ彼も2度目だとのこと。 今日もイエローマークからで、アウト3,048ヤード、パー35。イン3,181ヤード、パー35。 昨日と違い、前半ラッキーもあり、ワンパットでよくねばって快調。カリフォルニアのほうは、いい球を打ち、上手いのだけれど、トップした球がラフに消えたりして、「テリブルッ(ひどいっ)」などと小さくつぶやいている。 彼も又、3週間の休暇でスコットランドのあちこち、あこがれのコースを回るのだそうだ。東京から150キロくらいのところに知人がいる。とか言っているが、その地名が何度聞いてもわからない。「カリフォルニアはゴルフ・ステーツって言うんだろ。ラキンタやペブルビーチなどでプレーしたよ、しかし、長いコースだねえ」と言ったら、嬉しそうに「好きだなっ」ていう顔をしやがった。 8番で折り返し、9番からは強烈なアゲインスト。ただ、低くまっすぐな球を念じて打つ。が、このあたりからカリフォルニアが実力発揮。 低く出た球は風をかいくぐって向こうの方でふあっとあがりポトリと落ちる。アプローチはやわらかいトップからドスッとおろしてフォローをとらず、トントンと止める。 前の組が珍しく四人組で全員がキャディーを連れている。風の中で待たされる。 ヤーテージブックを見ていたら、カリフォルニアが「ちょっと見せて」とのぞき、ぱっと見て「サンキュッ」という。ここでふと気がついた。カリフォルニアはここまでヤーテージブックを持っていないばかりか、一度ものぞきに来たこともない。が、迷うことなくティーショットをうち、2打目も打っている。はは〜ん、と思い、「ジュリー、あんた、ここのホームページで何度、プラクティスラウンドをしたんだ?」と聞いてやったら、ニッコリ笑って答えなかった。 17番ホールに来た。ここは180ヤード先から、ぐっと下がってフェアウエーが右に傾く390ヤードのホール。ドライバーだと左のバンカーの上を越して、その先の、ブッシュの右ぎりぎりに落とさなければならない。250ヤード以下の飛距離だと右に蹴られて深いラフに飛びこむ。いずれにしても落下点は見えない。 私は迷わず4番アイアン。ナイスショットはしたが、これだと170から180ヤード残り、私の場合、パーの確率は50パーセントを割る。と、見ると、カリフォルニアは全く迷わずドライバーを抜いている。憧れのコース、研究に研究を重ね、「17番はぜったいドライバーで挑戦だっ!」と決め込んでやってきたのだろう。 静かないいアドレスだ。すうーっとあげて、トップでシャフトがしなるようなダウンスイング。芯をくった快音を残して、バンカーを越え、フェアウエーの左端を越え、思い描いたままの飛行ラインを描いて向こうに消えた。 「グッ、ショッ!」と歩き出した私の後ろで大音声が響き渡った。「うあ、お、お、おおおおお〜っ!」。驚いて振り返ると、それまで物静かだったカリフォルニアが両手を天に突き上げ、全身を震わせて叫んでいる。 「ふーっ、おっまえも好きやなあ〜。負けたぜ!」と嬉しくなり、腹の底から笑いがこみ上げてきた。
なんだか、余韻を楽しみたくて、顔を洗いビールとサンドイッチを食べ、再びもう一つのコース「スチュルー」(Struie=何度聞いても発音できない)を回る。 ゴルスピー Golspie
5月30日(金)
まっこと、いい旅でありました。 |
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