海の上のピアニスト(1999/米・伊)
船の中で生まれ、船の中だけで生活していたひとりのピアニストのおはなしです。
ありそうだけどありえない、そんな御伽噺のような話でした。
決して船から降りようとしない1900。 何故下船しなかったのか?
それは彼の最後の独白によって語られるのですが、正直、この独白は蛇足だったと言う人もいます。
言葉がなくても、彼の想いは画面からかすかに感じられます。その解釈はそのまま観客にゆだねた方が良かったと。
確かにそれもきっといいエンディングになったでしょう。
あるいは恋した少女を追って初めて下船しようとした時、
本当にそのまま下船して彼女と幸せに暮らす・・・そんな終わり方も心温まるエピソードとして心に残るでしょうね。
しかし、現実はもっと残酷だった。 彼は降りなかった、降りることが出来なかった。
自分を証明するものが何もない彼にとって、ピアノを演奏している時だけが唯一「彼がここにいる」ことの証明だったのかもしれません。
降りてしまったら、自分の演奏がレコードになってしまったら、それはもう「ピアノを弾いている1900」ではなく「1900の弾いた曲」になってしまうのですね。
そして、そんな彼の演奏が確実に人々の耳に届く範囲、それが2000人収容の船、彼の家だったのでしょう。
音楽は流石に素晴らしかったです。 嵐の中の曲、対決の時の曲、恋に落ちた時の曲、どれもよい曲ばかりでじっくりと聞きたくなりました。
ヘッドホンなどでじっくりと鑑賞したい作品ですね。
評価:☆☆☆☆