筒井康隆原作で1983年に原田知世主演・大林宣彦監督のタイムスリップSFの名作「時をかける少女」がアニメでリメイクされました。 封切時は上映館が少なく、地方人として歯軋りしていたのですが、ネットでの高評価のおかげで県内にも追加公開が始まったおかげでようやく観ることが出来ました。
今回監督をした細田監督は、元々「ハウルの動く城」の監督をされるはずだったのですが、諸事情により降板されました。
東映アニメーションにいた頃から評価の高い方なので,この作品ずっと観たかったんですよね。
そしてようやく観ることが出来ました。
…凄い!凄すぎる!!
ストーリーは高校2年生のヒロイン、紺野真琴がある日時間を跳躍するタイムリープという能力を手に入れます。 初めは大喜びで好き勝手に能力を使っているのですが、徐々に自分の行動の積み重ねが周囲に与えている影響の大きさに気付き成長していくというもので、 元々の原作小説自体が短編なので結構シンプルです。
それなのに泣けます、切ないです。 それはヒロイン真琴を中心にして描かれる日常の風景がとても丁寧でかつ自然に描写されているからだと思います。 特殊能力があるからといって世界を救う訳でもないし、最強トーナメントに出場する訳でもありません。 ごく普通の日常を描いているだけなのです。日常の描写の中にそっと織り込まれているコミカルさとシリアスさのブレンド具合はジブリの「耳をすませば」を髣髴させます。 作品全体から漂う職人芸的なつくりの雰囲気が一時でもジブリに呼ばれる事になった要因なのかもしれませんね。
原作を知らなくても、全く無問題に楽しむことが出来ますが、細田監督は昔からのファンにもサービスをしてくれました。 それが劇中に出てくる「魔女おばさん」こと芳山和子という女性です。この女性はまぎれもなく、23年前にタイムリープをした、あの吉山和子なのでしょう。 そう、土曜日の実験室でラベンダーの香りをかいだあの女性です。それに気付いた時は鳥肌立ちましたね。
どういう原理でタイムリープ出来るのか、タイムリープするのに必要な手順や技術は?同じ時間帯に同一人物は存在できないという原作設定は?といったSF部分の説明はほとんどありません。高校生の爽やか青春ラブストーリー(今こんな言い方しないよなあ)の路線を外さないように、あえてそういった部分に触れないようにしている印象だったので、SFファン、コアな原作ファンには物足りなく感じるかもしれません。しかし、作品としての完成度は非常に高いです。これ観ちゃったらハウルやゲドは観られませんよ、まったく。
まだまだ配給を追加している館もあると思いますので、気になっている方は観ておいた方がいいと思います。
評価:☆☆☆☆☆