■ イベント・ホライゾン (1997/米) ■
友人に薦められて見る。 「イベント・ホライゾン=事象の地平線」というタイトルからブラックホール絡みの話なのかな?と 思いつつ見始めると導入部はどことなくエイリアンムービー系テイスト。 CGを嫌味に感じさせずに融合させた船内の描写は見事で、巨大な十字架を思わせるホライゾン号のデザインや無意味なほど大きく広大さを感じさせる通路など一つ一つのシーンが美しく撮られています。 そしてそれらの空間内に存在する様々なSFチックな小道具。 無重力空間に漂う小物や未来の雰囲気の小道具。長時間航行を耐えるための耐Gポッドなど、画面内に現れる一つ一つのオブジェクトがその世界に当たり前にあるかのようにごく自然に描かれているのです。 そして、この作品のキモと言うべき超光速航行の説明。 ウィアー博士の説明は劇場版ドラえもんでドラえもんがのび太に説明した内容と全く同じなのはちょっと笑えますが、短い尺の中で説明するにはあれが限界なのかもしれません。 ちなみに「事象の地平線」とはシュワルツシル ド半径と呼ばれ、分かりやすく言っちゃうと「ブラックホールと通常空間の絶対境界線」のようなもので、このラインを超えてしまうとたとえ光の速さを持った物体であってもブラックホールの外へは逃げられないという事になっています。 今作品ではウィアー博士の考案した重力制御装置によって擬似的なブラックホールを発生させることによって事象の地平線を越え、二つのブラックホールを結ぶワームホールを通って遥か遠くの宇宙に行こうという計画の下に建造されたのがイベント・ホライゾン号という事になっています。 このワームホールという概念は「全てを吸い込むブラックホールがあるならば、全てを吐き出すホワイトホールがあるはずだ」という理屈の元に唱えられてきた理論で、この理論を使えばタイムマシンすら作ることが可能になると一時期ブームになったのですが、ホーキンス博士曰く「事象の地平線を越えた物体は分子レベルに分解されてしまうので例えホワイトホールがあったとしても出た後に元の状態で存在することは不可能」との説が出たために少し下火になりました。 さて、話を元に戻すとウィアー博士の推進装置を使ったホライゾン号は確かに事象の地平線を越えた様子。 しかし、越えたのは事象の地平線だけではなかったのです・・・。 ホライゾン号に乗り移ったクルーたちを次々と襲う怪奇現象。それらは必ず彼らが一人のときに発生し、彼らの心の奥底に隠されているトラウマを具現化したような幻覚を彼らに見せます。 この辺りから話の流れはSFというよりは「シャイニング」のようなオカルト系ムービーと変わっていきます。 エイリアン系のムービーを期待した人には予想に反したストーリー展開に意表を突かれるわけですが、だからこそそれまでに徹底的に描き込まれたSF描写がその空間を強くリアルに感じさせ、観客を不安の中に引きずり込んでくれる訳です。 その結末は是非自身の目で見て頂きたいわけですが、苦言を強いて言えばクルー一人一人のキャラクターの描き込みが少々弱く、「なぜ、そのクルーがこのシーンを見てしまうのか?」という理由付けがイマイチ心に残らなかったのが心残りです。90分という短い尺の作品なのでもう少し一人一人のエピソードが欲しかったな、と思いました。 ちなみに、サム・ニールのブチ切れ加減が最高です! |
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