電車男 (2005/日)

 巨大匿名掲示板「2ちゃんねる」の恋愛スレッドで発生したノンフィクションを書籍化したらベストセラーになり、その話を映画化したものです。オタクの「電車男」がアキバからの帰りの電車で酔っ払いに絡まれた中谷美紀似のお嬢さまを助けたところ、お礼にエルメスのティーカップが届き、彼女をデートに誘おうとするもそういった経験が皆無な彼は2ちゃんねるの住民に助けを求めたのでした。

とまあ、普段ネットをよく利用する方なら作品のタイトルくらいは聞いたことがある人も多いと思うのですが、2004年の4月くらいの話で、普段2ちゃんねるに全く行かない俺は、騒ぎがひと段落した夏ごろにまとめサイトで詳細を読みました。

読んだ上での映画の感想は「非常にいい感じ! 面白い!」でした。

電車男を演じる山田孝之が、見事なまでにオタクっぷりを演じています(褒めてんのか、それ?)。中谷美紀も天然のお嬢様といった風情でいい感じでした。ことあるごとにネットで相談する彼と、顔も名前も知らないスレ住民とのやり取りが、映画では主婦やヒッキー、ネカフェ常連など具体的な人物として描かれ、彼を応援する姿を直接見ることが出来ます。また彼らが味のあるいいキャラなのですよ。主人公は確かに電車男なのかもしれませんが、この話は本当に住民全員で紡ぎ挙げたのだなあ、ネットって凄いなあと思わずにいられませんでした。

書き込みに伴って2ちゃんねる特有のAA(アスキーアート)も頻繁に飛び交ってました。全く知らない人はちょっと分りにくいかもしれませんが、もともとビジュアル的に訴えるための手法なので、ニュアンスは伝わると思います。

ネットでのやり取りの部分を除いて考えると、ちょっと「作り話じゃないの?」と思ってしまうくらいトントン拍子に話が進むのですが、実際このエピソードが皆の共感を得たのは電車男が彼女を助けようとした勇気と、彼女のために自分を変えようと前向きに進み続けた姿勢なのではないかと思います。俺は男ですが、女性にとって電車の酔っ払いや痴漢は男が思っているよりもずっと怖いものなんじゃないでしょうか? だからこそエルメスは彼に惹かれたんだと思います。

ただ、このエルメスという女性ですが、彼の外見や挙動(リアルの電車男が映画での彼のような上がり症だったかは知りませんが)に引かなかったという辺りが「彼女も実は結構変わり者だったんじゃなかろうか?」などという気もしないでもないです。

ネットでこの話題がピークだった頃から「実はフィクションじゃないのか?」という捏造疑惑を唱える人もいます。俺としては信実であって欲しいのですが、もしフィクションもしくは多分に誇張が入りすぎた実話だったとしても、それはそれでいいと思います。実話なら素晴らしいお話だし、そうでなくても「めぐり逢えたら」のようなラブ・ファンタジーとして充分に楽しめると思います。

評価:☆☆☆☆