青春18きっぷ

尾道ラーメンの旅

2001年3月4日(日)



 高校の時以来、久々に「青春18きっぷ」を使って、旅行に出てみました。実に10年ぶりのことです。以前の旅行でしたら、いわゆる「乗りつぶし」という、乗ったことのない路線に行ってしまうところですが、今回は、何か食べられる所に行こう・・・というわけで、選ばれたのが「尾道」

 坂の街・大林監督の映画のロケ地などと有名な街ですが、私はそんなことはよくわからないので、とにかくラーメンを目指して出発したのでありました。


その一 紀勢本線

 今回は、このどうしようもない旅行に同行者がおります。ベアーズでもおなじみのM氏であります。そんなわけで、M氏が私の家に来てくれた5時20分に出発。昨夜から、大荒れの天気でしたので、駅に着く頃には結構ずぶぬれになりました。

 津駅西口の改札はまだ駅員さんがいなかったので、そのままJRの2番線へ向かう。ホームには2名の行商の方がみえました。10年前でもこのような風景を見た記憶があり、ちょっと懐かしくなる。もっとも、以前はもう少したくさん見えたような気もするのですが・・・

 そんなことを思っていると、5:47発・紀勢本線亀山行きの始発列車がやってきました。列車といっても、1両きりのワンマン列車なので、列車というよりもバスという感じであります。

 車内はさすがにガラガラ。ディーゼルの音とワンマン列車特有のテープでの停車駅案内を聞きながら亀山へと向かったのでした。


その二 関西本線−草津線

 6:05に亀山駅に着いた我々は、すぐ横のホームの6:07発の加茂行きの列車に乗り換える。こちらも2両編成ながらワンマン列車です。

 我々が乗り込むとすぐに発車。関駅を過ぎると列車はどんどん山の中に入っていく。だんだん外も明るくなりつつあり、車内からの風景は、水墨画のような景色でありました。で、暫く走ると、草津線との乗換駅の柘植駅6:31に到着。ここで今度は草津行きの電車に乗り換える。6:34発の電車は8両もつないでおり、我々を少々驚かせたのでありました。日曜日ということもあり、各駅から乗ってくる人も多くはありません。平日なら通勤客で結構込み合うのでしょうか?

結局、込み合うこともなく7:19に草津駅に到着したのでした。


その三 東海道本線-山陽本線

 草津駅からは「新快速」で姫路まで乗車します。7:26発の新快速は12両編成ながらも車内はほぼ満席。それでも、なんとか席には座れました。車内は通勤というよりも遊びに行くといった方のほうが多いようでありました。それにしても、関西地区は乗車マナー悪いですねぇ・・・途中のどの駅でも、降りる人がいるにもかかわらず乗り込んでくる。チョットうんざりの光景なのでありました。各駅での光景はうんざりなのですが、車窓の光景はなかなか飽きることはありません。向日町の車両基地、山崎の大カーブ、大阪・三ノ宮のビル街、長田のまだチョット目立つ空き地、須磨駅付近から見える海、舞子駅の上を横切る明石海峡大橋などなど・・・眠いながらも結構楽しませていただきました。もっとも、M氏はずっと寝ていたようですが・・・

 そんなこんなで、列車は黙々と進み、姫路駅に9:13に到着したのでした。

 姫路では次の列車までの待ち時間を利用して、地下の食堂で朝食タイム。朝からおでん定食を食したのち、駅前へと出てみました。駅前からは、国宝「姫路城」を拝むことができます。時間があれば、一度たずねてみたい所ではありますが、今回は先を急ぎますのでまたの機会ということで、駅前からの写真にて失礼・・・

 姫路での小休止を終えた後、次に乗る列車は10:04発三原行き普通列車。この列車に揺られて、尾道を目指します。9:45頃、ホームに入ってきた列車は「115系」と呼ばれるオレンジと濃い緑色の「かぼちゃ電車」です。チョット懐かしめのカラーリングでここに来て旅行気分が盛り上がってきます。車内も正統派ボックスシート。これまた嬉しい・・・

 長距離乗車に備えて缶ジュースなんぞを買い込み、先頭車に乗り込む。ほどほどの乗客を乗せ、定刻に姫路駅を発ちました。相生付近まではまだ平地の中を走っておりましたが、相生から先は、ちょっとした山の中を走っていきます。で、山を越えてまた平地を走り出した頃に岡山に到着。ここで一気に乗客が入れ替わりますが、我々はまだまだ乗り続けます。その後も、当たり前のように各駅に止まり続け、直角シートで腰が痛くなりかけた頃、車窓左側から海が見えてきました。尾道の海です。さらに列車は、山にへばりつく様な街中をすり抜け尾道駅に12:48に到着したのでした


その四 尾道を歩いてみる

 尾道に着いた我々は、何の予備知識もなくやってきてしまったので、とりあえず駅前を歩いてみることにしました。駅前はずいぶん整備されておりまして、少々驚かされました。そして、駅の裏側の山には「尾道城」が見えております。

 そして、駅前の道路を渡ると「尾道水道」と呼ばれる海がまじかに見えます。そこから対岸の「向島」に向かうフェリー(というよりも渡船)を発見し、早速乗船してみることにしました。

 

  

  

 

 対岸に渡ってみたものの、歩いて回るには大きい島ですので、帰りは行きとは別の会社の渡船で駅前へ戻ります。そして、駅前で見つけた「いのうえ」というラーメン屋で、待望の尾道ラーメンを食すことにいたしましょう。

 駅前のビルの中のラーメン屋ということで、あまり期待はしていなかったのですが、我々の期待を見事に裏切るおいしさ。もっとも、ほかの尾道ラーメンを食べていないので、比べようもないのですけれども・・・

 まず、スープ。基本的にはしょうゆ味なのでしょうが、尾道ラーメン独特と言ってもいい不思議なお味。小魚を隠し味に使っているらしいですが魚臭くはありません。そしてもうひとつの特徴は「豚の背油」 ラーメンの写真でぽつぽつと浮いているのがそうです。その割には油っぽくなく、むしろさっぱりしたスープのような気がしました。麺は細めんストレート。気持ちよく口の中に入っていきます。そして、値段もお手ごろ。ラーメンだけですと確か500円しなかったと思います。ちなみに、私が注文したのは「ラーメンセット」なるもので、ラーメン+チャーハン(小)+餃子3ヶで800円でございました。

 さて、おなかも満たされたところで、再び周辺を散策。まずは、駅の左側にある商店街を歩いてみます。さすがに海の街らしく、干物を売ってみえる店があったりする。その中でも一番驚いたのが、風呂屋を改装した喫茶店。入り口には「男湯・女湯」の暖簾が掛かっているのですが、ドアなどは一切ありません。脱衣所と思われる所がきれいに改装されて、フローリングの喫茶店になっておりました。でも、銭湯でよく見かける天井の扇風機(?)は未だ健在のようでした。

 商店街の切れ目から、今度は線路を横切り「坂」へと向かってみました。

 

 

さすが、尾道。坂の街です。坂を上がっても道はいくつにも分かれており、立体迷路的な気分でございます。途中の、小さな神社で「帰路の無事」を祈願して、坂道をくねくねと駅へと戻りました。


その五 帰路・・・

 本来ならば、15:00発の岡山行きに乗る予定だったのですが、短時間で意外とあっちこっち見てまわれたので、一本早い14:41発の岡山行きに乗車。車内は適度な込み具合ながらも2人でBOX席に座る。M氏も短時間の滞在ながら、結構気に入った様子で、しきりに「次は泊まりで来なくては・・・」と何度も話し掛けてきました。私も、まったく同感で、2・3日ゆっくり出来たらもっと面白い街だろうなぁ・・・なんて思ったりしました。

 そんなわけで、いろいろとしゃべっていたら、岡山に15:59に到着。なぜか短く感じたのでありました。普通列車なれしてきたのだろうか? それとも、尾道のゆっくりした感じが体に染み付いていたのか?

岡山からは16:21発の姫路行きに乗車します。時間的に買い物帰りの方たちが多いようです。私の隣にも母娘が座りました。久々の買い物だったのか、会話の端々から楽しい雰囲気が伝わってきて、なんだかこっちまで嬉しくなってきます。こんなことも「特急列車」ではなかなか味わうことが出来ない「18きっぷ」の旅らしくてなんだかいいですねぇ・・・ それでも、娘さんが岡山発車後に、家にいるであろうお父さんに携帯電話で「駅まで迎えに来て・・・」なんていう光景を見て、チョット現実に戻された気がしましたが・・・

 そんな母娘も和気で降りてしまうと車内もずいぶん閑散としてきました。我々も足を伸ばしてしばしの睡眠・・・

 結局、姫路駅に入る時のポイントを渡る音で目が覚めました。姫路駅には17:45の到着でした。ホームに降りると、かなり気温が下がっているようでした。その後、18:00発の新快速に乗り込みます。この列車は2人掛けのシートで少し角度も付いているので、疲れた身にとっては結構ありがたい車両でした。そんなわけで、草津に着くまでほとんど爆眠状態でした。草津には19:48に到着。次の20:02発の柘植行きまでの間に、この旅初のビールを購入。10年前の「18きっぷ」の旅と決定的に違うのは、このビールを飲みながら列車に乗れることかもしれない(笑)

 ガラガラの柘植行きの車内でつまみの「チーチク」を食べながら、ビール飲んで列車に揺られるのはこれまたよろしい。外の景色が見えなくても、なんだかいい気分です。いい気分のまま、乗換駅の柘植駅に20:42に到着。その後20:58発の亀山行きに乗り換え、途中対向列車が遅れたため、亀山着が21:30。そして、21:50発の紀勢本線下り最終列車に乗り、津には22:06に到着し、めでたく10年ぶりの「18きっぷ」の旅は終了したのでした。


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