W(Wiper)の悲劇


雨が激しく降りしきっていた午後の出来事です。
カー用品売り場を通っていた時
鬼のような形相をした男性のお客さんが花道を通るごとく
まっすぐに俺のところへ向かってきました。

や、やばい

俺の「心の警報機」が第1級警報を発令しました。

早く、退避しなくちゃ

が、すでにそのお客さんにロックオンされてしまい逃げられませんでした。

俺はたまたま、ここを通っただけなのに〜
あぁ〜通り魔に襲われる心境ってこんなんなんだ

などと感慨にふけっていると

「おい!兄ちゃん!!」

ドスの効いた声と鬼のような形相とが相乗効果をおよぼし
俺の心はK.O.寸前。

「公衆電話はどこや?」

はいはい、電話ですね。
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あれっ?クレームじゃないの?
俺の心はゴングで救われました。

しかし、依然お客さんの表情は変わらず。
とりあえず電話まで丁重にご案内し立ち去ろうとした時

おまえんとこで付けてもらったワイパーブレード
雨降ってきたでつけたらすっ飛んでったで!!

と電話に怒鳴りはじめ、やがて俺のところに来ました。

おい!兄ちゃんここどこや?」
「あ、はい久居です」

お客さんは再び電話に戻り

「おい!久居っちゅうところらしい」

らしい?
このお客さんはまるで、初めて来たような感じです。
しばらくすると、そのお客さんは電話に向かって

「今すぐ1時間以内に持ってこ〜い!!」
(語尾は桂三枝風でした)

と怒鳴り受話器を壊すかという勢いで置き自分の車へ戻っていきました。
俺はなにげにお客さんの車を見ました。

ほほ〜千葉ナンバーかあ〜
随分遠い所から来たんやなあ〜
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1時間でこれるかああああ!!

その後、そのお客さんは自らの過ちに気づいたのか
うちの店でワイパーブレードを買ってかれました。