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DEAD END

2002年10月第五週


10月28日

目覚めたのは電話の呼び出し音。教室内・・・去年購入したベッドに寝ている自分に気づく。頭を振る・・・二日酔い、それほどひどくもない。立ちあがる。床にはバスマットを2枚敷き寝そべっている征希。その向こう側、スラム街の俺のベッドには高橋君が寝ている・・・うん、起きた。受話器を取る。奥さんの声が鳴り響く・・・二日酔いがぶり返す。「今日は燃えるゴミの日よ」 時計を見ると8時20分、脱兎のごとくゴミ袋を手にして教室内を駆けずり回る。なにしろ生徒一人一人が自分の机にゴミ箱を置いている。ゴミ箱といってもB4のコピー紙2500枚が入っていた箱だが、その中のゴミを順次ゴミ袋に入れていく。ふだんは親父がやってくれている。しかし昨日が昨日、俺の誕生パーティだったために膨大な量のゴミが出ている。ビールの空き缶、生徒たちが作ってくれた料理の残り、紙コップや紙皿、そして水に濡れたコピー紙。急いだ、高橋君も起き上がり手伝ってくれる。親父の顔が浮かんだ。「いつになったら落ち着くんや。いつまでもこんなことして・・・」とのつぶやき、頭をふった。こんな状況で親父のグチを聞くのは勘弁してほしかった。

3階から1階の教室へと降りていく。例年なら壁にまとわりついているはずのマヨネーズやミソ・コーラ・食用オイル・タバスコ・マスタード・納豆の匂い、今年は爽やかだった。それでも2階の会社の人たちが出社してくるまでに窓を開け、消臭材を多量に巻いた。1階の教室からのゴミ袋を合わせて10袋ほど、高橋君と手分けしてゴミ収拾所に走った。高橋君の動作が鈍い、二日酔いなんだろう。

1階の教室では大西君が寝ている。眠る前にはいつも睡眠薬を飲む、昼過ぎまでは地震が起こっても眠りこけているはず。

高橋君、掃除が終わると緩慢な動作で車に乗り込み帰っていった。ビルの玄関を開けても匂わない。「よし、いいぞ!」 俺はつぶやいた。昨夜のケーキ投げ大会のボルテージは5段階レベル2あたり。極地戦でタバスコが飛び交ってはいたが大局に影響はなかった。酒やビールやケーキなどがこびりついている机を雑巾で拭いていく。最後には昨夜水でずぶ濡れになった床を拭いた雑巾の山。塾の階段の手すりに干してある。これをエスティマに積め込みコインランドリーに向かう。常連らしきオバチャン、目を丸くして言った。「お兄ちゃんとこ、何の仕事やってるの? えらい量も雑巾やね!」「・・・塾です」 何か言いかけたようだったが、それ以上の追求はなかった。

1階の教室では寝覚めのはずの大西君、響平相手にマンツーマンで現代文を教えている。「今日の成績はどう?」「読解はボーダークリアしてますね。ただ漢字が書けへん」「英単語も発音してくれへんからな」「こいつが漢字や慣用句さえ覚えてくれたら仕上がりますよ」 大西君が響平に言う。「オマエさ、経済って興味ある?」 返答はない、かすかに首を振る。「じゃあ法学は?」 同じしぐさ・・・。「商学?」 響平の手応えのなさに続ける、「じゃあさ、消去法でいくと文学部しか残らへん。かといって純然たる文学よりは心理学とかな、あとは学芸員の資格取れるから、それを生かして鳥羽水族館とかさ」 響平の視線が壁を這う・・・頷くかわりに視線はさまよう、最近になって俺も分かってきた。響平もそのあたりで納得している。「そろそろ模試を受けさせようと思うんやけどな」と俺が口をはさんだ。「いいですよね、試験会場の雰囲気も経験させとかなくっちゃ」と大西君。「来年1月下旬の全国統一模試でどや?響平」 響平の視線、ケチャップとマヨネーズで汚れた壁をさまよう。

大西君が車に乗り込んだ。今の時間だと1号線の渋滞が見えている。京都まで3時間コースやな。「先生、気がかりは恵(高田T類3年)の自己推薦書ですわ。一応、テーマごとにかなり書き込んだようやから、俺が京都に戻って文構成を整理します。できたら塾のパソコンへメールしますから、先生のほうで恵と800字にまとめてください」        

夜になるといつもの光景、いつの間にか高橋君が舞い戻っては勉強にいそしむ。斉藤がその横でビールを飲み始める。俺は大学生講師の面接。古市(三重大教育学部)お薦めの佐藤剛君。将来は高校か大学の数学の先生になりたいという。今週からウチの高1の数学を担当することで一件落着、そそくさと斉藤に合流する。遅れて佐藤君と古市も加わり、高橋君劣悪な環境で勉強をすることに。「往生際が悪いよ、高橋君」と斉藤、ビールを差し出すものの「明日は試験なんや」 しかし遅々として進まぬ勉強に業を煮やしたのか、「太郎! ビール」 あげく深夜2時頃にはトイレかな?と思いきや、酒のアテを買い込んで凱旋する高橋君。結局、深夜4時頃まで飲み続けることに・・・。

10月29日

高2からのプレゼントは安直なとこで手を打ったのか、村上春樹の『海辺のカフカ』 多分選んだのは加奈子あたりか。そのハードカバーを開いて読むものの1行目の『カラスと呼ばれる少年』が登場したところで断念しちまう。今年度の受験が全て終わった頃にでも読もう。たまたま本屋で手にした本に手が伸びる、北方謙三の三国志・・・『曹操の腹の底の冷たい塊は消えてなかった』 黒板には『センターまで83日、公立入試まで137日』とあった。海辺よりは中国の荒野を渇望している自分がいた。

10月30日

ウチの塾の独立愚連隊、ナオツグ(津西2年)と菊山(津高2年)の参考書を買うため別所書店修成店に足を運ぶ。「先生、化学と物理の参考書が欲しいんですけど」と二人雁首揃えてやって来たのは昨夜のこと。テンションが上がってきているのを感じる。俺の誕生パーティでも他の高2とは二人離れて座っていた。高校進学後、こ奴らはずっと塾の中で浮いていた。不平をかこっていた。何度も言おう、仲良しこよしの学年が伸びたためしがない。その意味ではこ奴らに期待したかった。やっと動き出した・・・。選んだ参考書は河合出版『化学精講』と同じく『物理のエッセンス』 近々この二人の物理は中塚に任せるつもりだった。しかし山岸君が教えている化学、果たして誰にふろうか・・・。

高3に化学を教えている横田がやって来た。「先生、バイト料をお願いします」 化学は化学として、横田は英語を教えたいようだった。現役時の偏差値40から医学部に合格した時の70まで、浪人の3年間に英語にかけた労苦を武器に、ウチの生徒たちに”腕力ある英語”を教えてほしい・・・その思いはあった。しかし森下もいる、俺もいる。しばらく来年の講師の布陣で悩むことになろう。

横田君が先週から教えている某塾の先生には別の件でメールを送っていた。挑戦状である。なにしろこの塾、夏休み開けの全県模試で塾平均180以上を叩いていた。三重県トップでしょ?と紀平先生なんかと話していた。天邪鬼の性格がもたげてきた。ゆえに出した挑戦状、勝負しましょう!ってね。別段負けてもウチの生徒のテンションは必ず上がる、これは某塾であっても同様。勝ち負けが本意ではなく、お互いどうしの塾生のテンションが上がればいい。器の小さい塾にとって、ついついアットホームで和んじまうのが一番の大敵。だから次回の全県模試で塾平均で勝負しようとの挑戦状。やっとメールで返事を頂いた。

その挑戦状確かに受け取りました。   昨日中三の授業があったので生徒にぶつけてみたのですが ウンとも寸とも  ふーんといったカンジ 自分達がそんな風に思ってもらえるなんてなんだかよくわからないという 風情で   こんなので受けてもいいのかしらと思っていたら 授業終了後範囲を確認していく男子生徒二名 彼らなりには意識しているんだと言うことが分かりました。 秋のこのテストについては全く意識せず当日受けてもらうだけで 正に持っているものを吐き出すだけです。さて夏の結果が奇跡だったのか・・・私たちも楽しみです。 

当の中3には最近、なんら指示を出していない。各中学で実力試験があるとかで、好きにさせている。この日、実力試験が終わり次第、全県模試にスライドするようにと通達した。ひと月ぶりの通達だった。

高1と高2の合同英語が準動詞で手間取っている。先週実施した俺の誕生パーティかけての高1の試験も準動詞がらみだった。確かに難しい個所には違いないが週に1度の授業では追いつかない。自宅学習をしている気配がない、このままジリジリと年を越す恐れもある。ゆえに文法問題の試験に踏み切った。高1は桐原英文法標準の準動詞の試験、高2はこれに加えてターゲット1900の800までのプリント、派生語も含めて720単語の試験、量にしてB4(180単語)を4枚。ルールは書き込むんじゃなく、俺が英単語を発音して2秒以内にその単語の意味を言う。時間にして30分少々だ。

高2では大森(津西)が気になっている。こヤツもまた卓(高田U類3年)と同じように剣道でインターハイから国体まで練習が続くはず。熱血系の顧問の先生でもあり、高3になったところで受験勉強に没頭するのは夏休みが過ぎたあたり。今から準備しなければならない。大森の志望大学は立命館、一筋縄ではいかない。

高2のトップバッター登場、寺沢(三重B)だ。英単語720を、なんとこ奴、25分でクリア! 確かに最近深夜1階の教室をのぞくと一人で勉強していることが多い。古典でも大西君が「寺沢はよく覚えている」と誉めている。寺沢の志望大学は関西大学、今から地道な努力を続けていけば間に合うはず。

寺沢の出来が嬉しくこれみよがしに高3や高橋君に吹聴している俺を見やりながら斉藤一喝。「なんで先生が生徒の英単語の試験なんか付き合ってるねん! 俺達の頃は、先生はワープロ打つだけの人やったやろ。今の高校生はそんなにバカなんか!」

10月31日

香奈子(津西国際2年)がやって来た。「英単語の試験をお願いします」 中2の授業中だった。三角形合同の基本問題を紙に書くのではなく、口で言う試験を行っている。せいぜい行数にして8行程度、つまりは中間期末レベルの問題である。これがなかなか難しいようで香奈子の試験に付き合う。さすがに津西のヒト桁を維持しているだけあってほぼ完璧な出来。relative の発音、レラティブをリレイティブと間違えたくらいで22分で終了。「さすがでんな」と言う俺に香奈子がたずねる。「先生、中3との昭和史の試験はいつするんですか」「いつでも。なんやったら明日はどう」「いえ、この土曜日には進研模試があるんですけど」「そりゃつらいな、中3も全県模試が週明けに控えてるからな。じゃあ来週の金曜日くらいにどう」「分かりました」

中2の合同条件の試験にパスしたのは数人、黒板に書かれた問題の前で聞き慣れない図形用語を使い、しどろもどろで説明している中2を眺めているのは今年、三重ZTVに就職が決まったばかりの竹中愛(10期生)。「私、この問題いややったわ」と中2にフォローしている。

午後11時に菊山が登場、英単語の試験が始まる。瞬く間に終了、やはり発音に難があるものの18分で終了。続いてナオツグ、しかし1枚目がスラスラとまではいかない。「先生、もう一度やり直してきます」と1階へ。再び上がってきたのは深夜1時、今回は29分でクリア。続けて高3の卓と花衣にセンター英語、1997年度本試の6番を解説。英文を読むのが遅い卓は6番の長文にまだ28分もかかっている。卓も花衣も高2のように毎日のように英単語の音読、瞬時に意味を出す訓練を徹底すべきなのだ。香奈子・菊山・ナオツグと続いた試験をどのような気分で眺めていたのだろうか。

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