れいめい塾のホームページ 三重県津市久居 学習塾 れいめい塾
DEAD END 

2002年10月第三週


10月16日

花衣(津西国際3年)が話があるとのこと、中間試験の喧騒を気にかけながらもコンピューターの部屋へ。「先日は化学を切りたいと言ったんやけど、また化学をしようかなと・・・」「なんやそれ・・・、志望大学が変わったんか」 花衣の志望は国公立の獣医学科だった。「前に秋田大って言ってたけど、よく調べたら物理では受けられないのが分かって・・・」 先日の話し合いのなかでは、物理は好きだが化学が今イチ、ゆえに獣医学科でも理科1教科で受けられる大学を探したから化学を切りたいという内容だった。
理科1教科の獣医学科としては花衣が挙げたのが鹿児島・宮崎・秋田・帯広畜産。2年間のブランクの後に塾に戻ってきた花衣にはこれといった得意技がない。そんななかで国公立大学獣医を目指してはいるものの遅々として進まず・・・。当初こそ高校受験時のノリ、努力したら合格する・・・そんなオプティミスト(楽観主義者)も夏が過ぎた頃には自分に対する根拠なき自信も揺るぎ始めていた。そんな流れでの理科2教科から1教科への撤退。それなりに大人の判断と言えた、遅きに失っした感もあるが。だから先日の話し合いでは化学を切ることに俺も賛同した。それが数日後に再び化学復権とは?
「秋田大学にしようと思てたんやけど、よく調べたら理科1教科でも生物・化学からの1教科選択で物理では受けられへんのに今日になって気づいたん」「・・・ブサイクな話やな」 心底呆れてしまった。普通なら高3に上がる段階で幾度となく志望校の選定をする。何度も俺は生徒につき返す。その過程で志望大学周辺の受験教科は頭のなかに収まっていく。花衣は違った、2年のブランクの後、今年の5月から塾に戻った。このあたりの調査を全くしていない。獣医は理科2教科で数学は当然VCまでと思い込み、今からやったら全ての教科に間に合うだろうとタカをくくっていた。あの典型的理系と呼ばれた橋本(高田ニ類)が断腸のすえに理科を物理1教科に固定し、這いずり回るようにして捻出してきた帯広畜産までのアプローチをまるで他人事のように眺めていた。「でね、調べ直したら岐阜大学獣医が理科はセンターのみ2教科で、二次試験は理科1教科で数学はVCがいらなくて・・・」「なるほど、化学を復権させて数学VCから撤退ってか」「数VCはまだ続けようかなと・・・」

橋本に比べればまだまだ甘いが、それなりに大人の選択。自分の実力を見据えながら考えようとしている姿勢は買えた。しかし趨勢は決している。受験勉強を始めた時期が遅すぎることから数VCにまで手が届かない。英語や国語でおおわらわなのだ。こんな状態の花衣にとって岐阜大は魅力的だ。数VCが必要ないならセンターの延長上の記述対策で事足りる。

花衣と話していると真理子(高田一類3年)の姿がチラチラと。真理子も何か話があるらしい・・・隣ではコピー機の音がひっきりなしに鳴り、人のうごめく気配がする。久居東中・久居中・久居西中・白山中が試験に突入している。気になりながらも花衣の志望大学を絞っていく作業から手が離せない。
結局は明日の夜に花衣の数学を担当している塚碕と相談することと、化学を復権することで一件落着。しかし花衣の一件落着、何日もつか・・・。近々岐阜大学に決まることだろう。

「真理子、終わったで!」 真理子がコンピューターの部屋に入ってくる。「どないした?」 正直、志望大学の変更か、推薦を受ける類の話だとタカをくくっていた。真理子が口を開いた、「先生受かりました・・・」「どこに?」「アジア太平洋立命館」「え! いつ受けたんや!」「先週に指定校推薦に応募して・・・今日、担任から受かったって」「受かったって・・・アンタ」

最大の危険牌が通った!・・・でも・・・流し満貫みたいな幕切れ。

俺の英語の授業に聞き入る晶子(三重C3年)の顔色が暗い。たぶん、真理子が合格したことが響いている?
アジア太平洋立命館を目指していたのは他ならぬ晶子だった。それに影響を受けたのか、真理子もまたアジア太平洋立命館を志望大学に挙げてきた。晶子は私立文系に決めたものの、英語と国語以外の第三の教科で紆余曲折の道を歩む。数学から始まって日本史、日本史から政治経済へと。その政治経済を担当したのが仁志(立命館大学1年)、「晶子は社会のことや世間のことに無頓着、政治経済の背景的な知識がほとんどない。しんどいよ」と泣きが入る。そんな晶子を横目に恵と真理子の日本史コンビが抜き去っていく・・・なんて鮮やかな展開じゃなく、日本史コンビもまた日本史に時間をかけすぎて英語に致命的とも言える綻びを見せていた。つまりは今年の文系、地を這いつくばる展開・・・まさに危険牌だった。
その恵は京都女子大学の公募推薦を受けることに決定した。
そして真理子がアジア太平洋立命館の指定校推薦を受けたのを俺は知らなかった。ここでモノをいったのが評定平均4.5の内申。それに立命館といえども大分という僻地にあり、アジア太平洋というお冠を擁く立命館では、高田高校の生徒には認知度が薄かったのだろう。10月始めに文部課科学省から発表されたCOEプログラム(トップ30)に理系文系の両分野から選ばれた今が旬の立命館、ちなみに私立大学で理系文系両分野が選ばれたのは慶応・早稲田と立命館だけ。同志社大学を蹴散らしちまった立命館の隠し玉であるアジア太平洋立命館。これが数年後だったら評定平均4.5でも危なかっただろう。つまり真理子の合格、天の利、地の利、一瞬の間隙を衝いた合格とも言える。
自分が一番行きたい大学に同じ塾で学ぶ友達が合格した。当然にして祝福してあげたい気持ちがあるだろう、しかしそれとは別の感情、血液が逆流する心情に陥ったはずなのだ。少なくとも3教科の完成度、晶子の方が断然真理子よりも優れていた。かといってアジア太平洋立命館を相手に横綱相撲を取れるほどの実力までは備わっていない。つまりはディフェンス、アジア太平洋を視界に入れながらも晶子は、11月に関西外語大学の公募推薦を受けることになっていた。その関西外語大学の公募推薦は英語1教科、とてつもない帰国子女まがいの面々が受けることが予想された。アジア太平洋どころか、関西外語の推薦もどうなるか分からない。そんな不安に塗(まみ)れた眼前から視線を移すと、大学に合格し受験生活と決別、喜々として大西君(立命館大学研究員)や中井(アジア太平洋立命館1年)など、今まで教えてもらった講師連中に連絡している真理子の姿がある・・・。

ここ最近、深夜2時30分あたりに花衣とあすか(津西国際3年)と愛(中3)を送ることが定番化している。今夜は晶子が俺の英語の授業に出るため古い塾から移動してきていた。当然全員でご帰還かと思いきや、「晶子はもう少し勉強してくって」と花衣が言いつつ後部座席へ。「なるほど・・・」 愛の怪訝な表情を横目に俺はエンジンをかけた。

最終目的地に急ぐ車中、俺は助手席の愛に言った。「今日は白山から取って返して晶子とランデブーかな」

晶子を家まで送った。「ヒリヒリするやろ・・・」 助手席からは何の返答もない。「いつだって高3はヒリヒリしていた。しかし今年の高3は違う、めちゃくちゃ仲がいい。模試の成績が悪くっても皆が慰めあうって感じや。その均衡、今夜壊れた・・・真理子が合格して壊れた。ヒリヒリするやろ?」 俺はしつこく同じ問いかけをした。「はい・・・」 やっと声がした。「こんなんが受験やで、アキちゃんと中井がケンカしたのは夏休みだった。圭亮(早稲田大学4年)がアキちゃんや中井・村瀬から吊るし上げくったのも夏休みだった。去年の高3は春先からテンパッてた。皆、ヒリヒリしてた。だから中井の成績が落ちても、9月段階で偏差値50を切っても心のどこかで安心してた。去年の高3は皆受験生だったよ。やっと今年の高3もヒリヒリしはじめたか?」「ええ」「・・・良かったな、アンタもこれでやっと受験生だ」 晶子の家の前に着いた。ドアが開いた。「ありがとうございました」 暗闇のなかで晶子の声が聞こえた。さっきまでと少しばかり違った音色に聞こえたのは気のせいか?

10月17日

久居農林高校が年に一度開催する私塾対象の説明会。公立高校は塾対象の説明会はしない、その禁を破ったのが前校長。そして現在の前田校長はその当時の教頭先生だった。当時から勢いある口調は印象深かったが、校長に就任してから一層”前田節”に磨きがかかった。これは揶揄しているんじゃなくて、お題目のように唱える「生徒達に夢と感動を!」という檄、今年の農林の野球部の甲子園初出場もあって、妙に信憑性を持って聞こえる。公立高校には滅多にいない熱い熱い先生だ。
他の公立高校も農林と同じように説明会を開いてくれたらと思う。
開明学院さんはジュニアが来ている。ジェイズの紀平先生が俺を見て微笑んでくれる。麦塾の長坂先生など、久しぶりに他の塾の先生方とお会いする。なんや竜宮城の気分で前田先生の檄に聞き入っていた。

                    トップページに戻る

れいめい塾のホームページ 三重県津市久居 学習塾れいめい塾のホームページ 三重県津市久居 学習塾リンク集 れいめい塾 三重県津市久居 学習塾一覧表:れいめい塾発『25時』 三重県津市久居 学習・進学塾『 HARD & LOOSE 』 れいめい塾 津市久居れいめい塾の日記(関係者ブログ集) 三重県津市久居広告一覧 れいめい塾 三重県津市久居 学習塾 進学塾サイトマップ|れいめい塾 三重県津市久居 進学塾&学習塾
当ホームページに掲載されているあらゆる内容の無許可転載・転用を禁止します。
れいめい塾のホームページ 三重県津市久居 学習塾Copyright(c) 2000-2009.reimei-juku. All rights reserved. Never reproduce or republicate without permission
ホームページ管理:橋本康志橋本クリニック|皮膚科(皮ふ科)|広島県呉市の皮膚科(皮ふ科) 日曜診療 ゆめタウン呉