9月第三週 9月16日 津高の文化祭である。よちよち歩きのウチの娘たちを連れて文化祭に行ったのは10年ほど前。あれからほぼ毎年、小学校に入り運動会と重ならない年はいつも娘たちを連れ出した。俺が行くと決まって中庭の池に誰かを落とした。今年、中2になるれいとめいは初めて父親の呪縛を逃れて?自分たちで行った。といっても中3の愛とゆかりに同伴してもらってだが・・・。 塾の先生の娘ということだけで勉強ができるんじゃないかと思われる。気持ちは分かる。俺もまた教師の子供というだけでできて当たり前みたいに思われていたから。困ったことにウチの娘たちは勉強ができない。原因はキメのこまかい勉強ができない。理解力もさることながら、致命的なのは計画性がないということ、それと同時に絶対に成績を上げてみせる!という大見得が切れるだけの甲斐性がなかった。 鳥羽のオッサンから旅行の最終日にそのネタを振られた。「オマエも来年が正念場やな」「なんで?」「娘たちがどこの高校へ進学するのか。塾の先生の子供や、外野の観客どもにすりゃ興味津々やろ」「でもさ、俺の娘のことやから俺がよく知っているけどな。ありゃ津高に入れるタイプやないで」「しかしそうとも言うとられへんやろ」 確かに娘たちの進学に関しては以前から俺の心の片隅に刺さったトゲ・・・。できることなら津高に行ってほしい、これは俺が津高しか知らないからだ。進学云々もあったが俺としては楽しい高校生活を送らせてもらった。高3の誕生日に底が見えないほど汚れた池に落とされた。津女子から来ていた茶道部の面々、目を丸くして見ていた。校舎の至るところから拍手・・・あんな高校生活を娘たちにも送らせてやりたい。しかしそれだけの器量がない。ことに勉強が嫌いだと平然と言うめいについてはいろいろと思いをめぐらしてはいた。いつかは真摯に対応しなくっちゃ、とは考えていた。しかしその「いつか」、目前に迫っている。 |