れいめい塾25時2002年前半 2002年後半

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「25時」 

2002年 2月 27日号

 2月27日午前8時、俺たちは来るべき一瞬を待っていた。場所は慶応大学近くのJR田町駅に隣接するパーラー森永・・・早稲田大学の合格発表なのにえらく場違いな場所。しかたがないのだ・・・今年から早稲田大学では構内での合格発表を禁止した。慶応大学というのはちょうどこの日に古西の経済学部の発表があったからだ。経済の発表は午前10時から大学構内で掲示板発表。そしてアキちゃんの早稲田大学教育学部が午前8時30分から、第一文学部が午前9時15分から・・・これは電話サービス。つまり早稲田大学にいる必要がない。

 場所と時間柄、会社へ行く前にくつろぐ人達、食事をとる人達がほとんどだ。そんな中に表情が強張っている俺達がいる。俺は6人かけのテーブルに座っている。前には大西君、その隣にはアキちゃん、さらにアキちゃんの隣に祐輔がいる。窓の下のは会社へ急ぐ人ごみ、DOCOMOのスタジャンを着たお兄ちゃんが慣れた手つきでティッシュを配っている。「時間です」と大西君がつぶやく。携帯電話を見ると午前8時32分、俺の携帯は2分早いようだ。大西君は席を離れる。多分、離れたところから発表を聞くのだろう。アキちゃんは座ったままで携帯電話をプッシュする。まずは早稲田大学の電話サービスへ・・・そして受験番号・・・最後に暗礁番号・・・何かが聞こえた。アキちゃんの肩が落ちた。「先生、落ちました」 そうい言い捨てアキちゃんの身体が空気が抜けた風船のようにしぼんだ。机に顔をつっぷした。俺は窓の下に視線を移した。何ら変わらぬ風景がそこにあった。会社に急ぐ人の群れ、そして鮮やかな手つきでティッシュを配る兄ちゃん・・・。嗚咽が漏れてきた。アキちゃんが机に顔をうずめたまま泣いていた。まわりの客や店員が怪訝そうな視線を寄越した。それを俺は真正面から受け止めた。

 夜の宴会の予定をキャンセルして三重を目指した。途中、田園調布のお金持ちの家並みのなかに建っている東京工業大学に車を止めた。この大学を射程内に置いている橋本と卓と祐輔がキャンパス内を散策してた。俺は体力維持の面から仮眠。用賀から高速に乗った。助手席は慶応大学に補欠で引っかかった古西。こ奴がえらく饒舌、これは俺を気遣ったわけでもなかろうが・・・。

 午後10時に塾に戻った。塾はいつもの風景・・・中3が勉強してた。「ただいま!」と皆に言った言葉は自分でも意外なくらいテンションが高かった。そして俺は中3相手に”語り口バージョン25時”を披露した。

 淡々と今日一日のことを語り、そして言った。「あんたたちは泣くほどに、泣けるほどに、今を努力しているのか?」    

 深夜、アキちゃんの弟の直矢を白山の田舎に送った。時刻は午前5時前・・・。披露困憊の俺は直矢を送るや安心して、近くの小学校沿いの道で車を止めて目を閉じた。走行距離は979kmをさしていた。

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