れいめい塾 発 「25時」 2002年 2月 28日号 午前9時に白山町の小学校前に止めた車の中で目覚めた。鈍いだるさが全身に巣食っている。ブラブラと車を走らせた。携帯電話が鳴った、アキちゃん!・・・「先生、人間科学・・・だめでした・・・」 流れは逆転した。ランク的には最もチャンスがあったはずの学部が・・・。残るは3月3日の社会学部と4日の第二文学部だ。 古西がやって来た。手持ち無沙汰な様子だ。「俺さ・・・新しい塾で中3の面倒を見ようか」「どうした、突然に」「いやさ・・・俺たちが中3の時に谷先輩(6期生・山形大学から就職2年目)が入試の最後まで見てくれたやん。それに甚ちゃんもさ・・・」「なるほどね、・・・そりゃありがたいな。今年はほとんどが津高や、最後の最後まで気が抜けんから」 夜、高2と話す。テーマは古い塾の使用に関してだ。ここ最近、古い塾の特性を生かしきる生徒がいない。古い塾は自由だ。何をしようとも自由、極端な話、遊んでいても誰も注視する奴はいない。勉強であれ、自分の好きなだけできる。徹夜だってできる。つまりは100%自己責任の空間である。こんな空間に対して大人の目は冷たい。高校生達が何をやってるのか?と懐疑的な目で見る。そんな世間のありふれた常識を覆してほしい・・・それが俺の究極の願いだ。しかし実際のところ、それだけの器量がある生徒が何人いるのか?それがここ最近の緊急課題ともなってきた。今年の高3にしても中井が新しい塾にカムバックして復活したように、古い塾での限界が垣間見える展開になった。仁志が「もっと過酷な環境を」という理由から新しい塾に戻ってきたことも俺の不安に拍車をかけた。しかし古い塾は厳然とある。大西君や黒田君は古い塾を潰すべきだと主張するが、100%自己責任の塾を理想とする俺としては躊躇する次第。そんななかでの高2との話し合いだった。そして俺はひとつの提案をした。「古い塾で勉強するってことは全てを自分で管理することや。自覚というか器量というか、受験生としての資質が問われるんや。たとえば中学生の教室の中で一人自分を置いて、騒がしい中学生を黙らせるような勉強ができるのか? どや、そんな覚悟あるんかいな」 深夜、祐輔がやって来た。「先生、僕明日から3階の中学生の部屋で勉強しますから」ときやがった。「わかった、・・・じゃあ明日からな」 上から下へ、先輩から後輩へ・・・脈々と流れるウチの塾の血の深さを思った。 アキちゃんを思い出した。昨日、本命を落として辛かっただろうに・・・東京まで密航してきた高2の面々に早稲田大学を案内していたっけ。本人にすりゃ何もしたくなかっただろう。しかし1年後に受験に臨む後輩のため、アキちゃんは案内役を買って出たという。 上から下へ・・・そんなアキちゃんも俺達が三重に戻った後は廃人のようになって、大西君が知り合いを集合させてはカラオケに連れていったとか。そして夜は海津(早稲田大学3年)の下宿に転がりこんだとか・・・。 そして今、前期日程の私立大学で結果がでない功樹が新しい塾に場所を移して勉強している。後期日程は3月3日から始まる。
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