「25時」 2002年 2月26日号 今回の「25時」は号外だと考えていただければけっこうだ。 森下はアメリカの地で帰国準備にいそしむものの、アメリカ生活でパートナーを務めた愛車が今だ売れない。しかし27日は近づいてくる。結局、森下は27日に成田着の段取りを組んだ。 27日は山本明徳・通称アキちゃんの早稲田大学合格発表がある。 27日に向けて俺もまた段取りを組んでいた。なにしろ中学は期末試験の真っ只中。心苦しい思いはあるが、ウチの塾はいつだってこんな時期、俺がいないでもしのいできた。11年前に酔っ払って2階から落ちた時も、中3が主導を取って塾を運営してた。今年の中3はよくやってる。なんとかしのいでくれると信じている。 大西君は27日の合格発表に合わせて病院を抜け出してきた。アキちゃんの合格発表が終わっても東京での仕事、東京大学での資料閲覧などの予約を入れたとか・・・。そしてアキちゃんと同様、この1年間紆余曲折のなかで教えてきた村瀬の早稲田大学商学部の発表(3月2日)を見てから三重県に帰ってこようと目論んでいた。 紀平は適当な用件をでっち上げ、すでに東京に潜行している。当日何時に早稲田へ行けばいいのかとホームページを立ち上げて、それを発見した。 2002年度から早稲田大学では、学内での合格発表を行ないません。 紀平から電話があり、俺がそれをアキちゃんに伝え、ウチのホームページを見たアキちゃんのお母さんが募集要項を見直したら、それはあった。アキちゃんのボーンヘッド・・・。 前田は毎日図書館に通いながら論文の資料集めをしている。27日に大学で・・・と連絡が入った。 海津は合格を前提に飲み屋を予約したとか・・・。 4期生の邦博と越知は27日の仕事を早く片付ける段取りを組んでいる。 俺が塾を生業にしながらもいつだって目指していた目的・・・誰だってやれば夢がかなう・・・この夢の実現が目前に迫っている。いつだってこのセリフを心の中でかみ締めながら今までやってきた。挫折しそうにもなった。こんなはずじゃない!と神を恨んだこともあった。くじけそうになる俺をアキちゃん、信頼してくれた。れいめい塾に賭けてくれた。久居高校から早稲田大学へ・・・俺はもう一度勝負してみようと誓った。3年前のことだ。もう一度塾を始めた頃の熱さを追い求めてみようと心に誓った。 この夢にかけたのはアキちゃんだけではない。俺もだ。そしてアキちゃんの熱意にほだされ参加してくれた上の面々もだ。上に掲げた面々には、今までの熱意に厚く厚く感謝する次第。 たとえ早稲田大学での合格発表はなかろうとも俺は今夜東京に立つつもり。アキちゃんのボーンヘッドから土壇場で全員が右往左往・・・しかし俺達は明日、1年ぶりに早稲田大学構内へ足を踏み入れる。 山本明徳 第一文学部受験番号 3556
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