絆〜おまけ〜
高杉の野望を阻止した銀時達は万事屋へと帰ってきた。皆、傷だらけで疲れきってるはずなのに、そこにはなぜか笑顔が満ちている。
「お疲れ様」
妙が新八や神楽の手当てをしているのだが、銀時だけほったらかしでいた。一番重症なはずなのに、そこにいないかのような扱いだった。一人布団の上であぐらを掻き、怨めしそうに数メートル先の光景に溜息が出る。一番頑張ったのは俺だよね?と、自問自答を繰り返していたところへ
「銀ちゃんっ!!」
玄関の戸を開け放ち、下駄を飛ばす勢いであがり込んできたのは
「・・・」
息を切らして、一目散に奥の部屋へと飛び込んだは銀時に抱き付いた。その勢いで後ろに倒れた銀時だったが、をしっかりと抱きとめ、お互いがお互いを確かめるように自然と廻した腕に力が入る。頬と頬が触れ、耳に掛かる息が熱い。
「銀ちゃん・・・良かったぁ・・無事で・・・」
「・・・・・・」
そっと襖が閉められ、妙に背中を押された新八と神楽はブーブー文句を言いつつも万事屋を出て行った。妙が銀時の手当てをしなかったのは、に連絡していたからで、昼間のこともあって気を使ってくれたのだ。
「銀ちゃん・・・痛くない?大丈夫?」
銀時の顔を見下ろし、紅くなった箇所にそっと触れた。無我夢中で抱き付いてしまったが、銀時はかなりの重傷ではなっかたのかと気付いて、慌てて体を離すと隣に座った。申し訳なさそうに見つめてくる瞳に、銀時はフッと息を吐く。
「かなり痛い。ぜんぜん大丈夫なんかじゃねぇ」
「えぇ!手当ては?包帯に血が!!」
オロオロと辺りを見て、近くに用意されていた包帯や消毒液を手には慌てだした。さっきまでは無事に帰って来てくれたことが嬉しかったが、このままでは傷が化膿しかねないと目の前の危機に慌てふためいている。恋人気分がいっぺんになくなってしまって、こんなを見ているのも楽しいが、銀時はさらに楽しいことを企んでいた。
「包帯代えるね。消毒もしないといけないし・・・」
まずは消毒と、汚れた包帯に手を掛けようとしたが銀時に止められる。不思議そうに首を傾げたとき、その腕を引かれ銀時の上に覆い被さるような形になった。なんとかもう片方の手で体を支えたが、またも見下ろす格好となった。大きな瞳をパチクリさせ、の驚いた顔がなんとも可愛い。
「可愛いついでにさ・・・」
どういうついでだよ!と新八がいたら突っ込まれそうだが、今は二人っきり。銀時は愛おしそうにを見つめ、掴んでいた手にそっと唇を寄せた。
「・・・看護婦さんになろうか」
「はぃ?」
「看護婦さんになって手当てしてくれると、こんな怪我もすーぐ治ると思うんだぁ」
「だから、今から・・・」
銀時の言葉が理解できず、手当てしようとしてたし、看護婦さんと言われればそうなんじゃと、は怪訝そうな顔を向けた。銀時は思ってたとおりの反応に少々肩を落としつつ、ここは引き下がれないと体を起こし、の耳元に唇を近付ける。
「それはわかってる。まずは、形からってことで」
「カタチ?」
「そういうわけで、コレ!」
どこから出したのか、銀時の手には可愛い看護婦に変身と書かれたパッケージがあった。それを見て、固まってしまったは耳まで真っ赤になる。すべてを理解し、羞恥に満ちた目で銀時を睨むが逆効果なのをは知らない。ククッと喉の奥で笑った銀時が、さらに付け足した。
「看護してくれるよな。俺、怪我人だし、治るまで完全看護希望なんですけど」
唇を噛み締めるに苦笑いしつつ、痛そうな?ほんとに痛いのかもしれないが素振りをしてみせた。苦渋の選択を強いられただが、銀時のために折れることにする。
「今回だけだからね・・・」
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