朝のヒトトキ




障子が開けられ、薄暗い部屋に朝の陽射しが差し込んだ。清々しい朝の始まりに、元就は満足気に朝陽を仰ぐ。



「今日も良き日となった」



くるりと踵を返すと、元就によって遮られていた陽射しが布団へと伸びる。その光が直接、顔に当たり、目を瞑っていても分かる眩しさに、否応にも身体を起こさずにはいられなかった。陽射しを敬遠しつつ、は上半身を起こしたが、その目は閉じられていた。



「いつまでそうしているつもりだ。



声に反応して、頭が元就の方に微かに動く。しかし、に起きる気配はなく、うつらうつらと身体が揺れていた。



「まったく・・・困った奴だな」



に向けられる眼差しは優しくて、困ったように笑みを見せた元就はに歩み寄った。伏せ目がちに、の前に腰を下ろすと、我慢していた溜息が漏れる。元就でなくとも、今のの姿を見ればそうなるだろう・・・



「だらしない格好をするな。・・・誘っているのか」



寝間着の前が開いており、その間から覗く双丘や白い肌、そして、そこに咲く紅い痕が数時間前を彷彿とさせていた。何度触れても飽きのこない肌を前に、元就の瞳は鋭く細さを増す。伸ばした手は迷うことなく・・・



「いい加減に目を覚ませ!」



寝間着の襟を掴むと、前を閉じた。シャキッとさせるために強い力で寝間着を直され、の目が少しだけ開く。まだ焦点が合っていないのか、ぼんやりと目の前の元就を見上げる。



「・・・元就様が、いけないのです」
「我が?何故だ」
「・・・寝かせて・・・くれ
ないから



ゆっくりと重い口を開いたの言葉に、元就は唖然とした。正気ではないにしろ、こんな口を聞くようになったとは愉しませてくれると、胸に倒れこんできたの肩を抱き、元就はニヤリと微笑んだ。また、眠りに落ちようとしているの顎に手を掛けると、強引に上を向かせる。



「我だけの所為ではないことを、教えてやろう」
「あ・・・んんっ・・・!」



熱い唇がのそれを塞いだ。甘く柔らかい感触に、眠気なのか快楽なのかわからないが、ふわふわとした心地良い感覚に包まれていく。




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