ダーツの王子様・2の2
仁王の要求は阻止出来たが、の中で、17回もダーツに付き合って貰ったことが引っ掛かっていた。このままでは、でも、仁王のは・・・・・・悩んだ結果。
「雅治先輩。わたし勝ちましたよね」
「ああ。の勝ちじゃきに」
ダーツを片付けている仁王に、改めて勝ちを聞いた。遊びだったとはいえ、信用されてないようで仁王は困った顔をしつつも、の頭を撫でて褒める。照れながら確信を得たのか、思い切ったように顔を上げたは、突拍子な行動に出た。
「なら、わたしのお願い聞いてくれますか?」
「・・・・・・いきなりなんじゃ?」
「聞いてくれるんですか?」
予想もしないことに、仁王は一瞬フリーズした。今日はに振り回されっぱなしだと、自分に気合を入れ直し、迫ると向かい合う。
「ああ、いいぜよ」
「じゃ、手を後ろで組んで、目を瞑って下さい」
普通に返した返事が、とんでもない肯定となってしまった。しれっというに、複雑な思いのまま探りを入れる。
「ふぅ・・・・・・どうするきぜよ」
「なにもしません」
「はっきり言う割には、怪しいが・・こうか」
仁王に変な誤解を与えてしまったが、この際、置いといて、こうでもしなければ出来ないこともある。なんだかんだで、仁王は従った。
「見てませんか?」
「見えとらん」
一通り確認し、仁王の前で手を振り再確認する。空気の流れで微かにの動きを伝わり、今日はほんとに、どうしたものかと少々飽きた感じに、仁王は返事を返した。溜め息ついでに、後ろ手を組み直す。入念な確認を終え、は仁王の前に立った。
「(なんじゃ?この匂いは・・・)・・っ!」
「・・・・・んっ・・ぅうー!」
仁王の身体を押し退けようと手を突っ張ろうとするも、頭と腰に添えられた手が、簡単には離してくれないらしい。の予定では、ダーツに付き合って貰ったお礼のつもりで、恥ずかしいがキスでお返ししようとした。そのための小細工で、ちょんで済ませたかったのに、離れようとしたほんの僅かな差で仁王に捕まり、濃厚なキスへと変わってしまった。
「せ、先輩!」
「は匂いで分かるんよ。それに、考えが幼稚じゃし」
「じゃぁ・・・」
口は利けるようになっても、距離は変わらない。驚いているに、仁王は一枚も二枚も上手なことを告げる。いつから、どこから、逆転の逆転劇は始めから、仁王に転がる運びとなっていたに違いない。
「俺にペテンを掛けるには、まだまだ甘いのぅ」
「知ってて・・・わざと」
「さぁ〜て、どうかの?じゃが、もその気じゃったってことか」
「ち、ちがぅ・・・・・」
意地悪な笑みに、再度奪われた唇からは甘い溜め息が洩れたとか?
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