休憩



調べ物があったは研究室ではなく、膨大な書籍だらけの部屋に1人篭っていた。踏み台に乗ったり、梯子を使ったり、役立ちそうな本は机と呼べるスペースがないほど物に溢れたフラットな上に積み、本棚の上から下まで目を這わせていた。真剣に探し物をしているときは、案外周りが見えなかったりする。もその一人で、危険が迫っていることに気づかなかった。



「えっと・・・後は・・・」



数冊の本を抱え、まだ足りないのか乱雑な並びの本棚を念入りに探していた。しかし、熱心さでも補えない体の悲鳴は正直だった。下よりも上を向く方が長いため、首が痛くなり、厚さのある本を持てば腕も疲れてくる。本を胸で抱えるように片手で支えると、空いた手で首を擦った。



「疲れてきたかな?」
「じゃ、マッサージでも」
「えっ?」



首を左右に動かし、鈍い痛みに顔を顰めたの後ろで声と共に、肩にだらーんと重みが伸し掛かる。聞いた声に振り向けば、



「リーバー班長!どうして」
「休憩だからさ」
「だったら仮眠室に行くべきじゃ?」
「いいだろ。に会いたくてさ」



の肩に廻された腕はそのままで、予想もしなかったリーバーの登場には驚いた。それに徹夜なんて当たり前、目の下のクマはお友達、休みなしは公認の職場で、貴重ともいえる休憩時間にリーバーは睡眠よりも恋人を選んだのだった。引き寄せるように腕を引いたリーバーに、ストレートなことを言われ慣れてないは恥ずかしくなって、腕から逃げようとした。



「逃げるなって」
「わ、わたしは仕事中だから、嬉しいけど忙しいの」
「そんなつれないこと言うなよ。たまにはさ・・・」



本棚に押しやられ、行く手をリーバーに塞がれてしまう。引いてしまって負けと、徐々に近付いてくるリーバーから目を逸らさず、精一杯の意思を伝える。しかし、大人の余裕というべきか、否ないのか、リーバーに止まる気配はない。の耳から首にかけ、息が通っていった。



「・・・違う場所でしようぜ」
「っ!」



の弱い部分に唇を付け、噛むマネをするように動かした。全身に電気が走ったようにビックッと体を震わせたは、逃げるように体を縮めるがリーバーには通用しない。そんな様子を楽しみつつ、手は白衣の中へ。



「ぅ・・・っ!」
「我慢はしないほうが、っーーーー!」



紅く染まった頬を見て、満足気にリーバーは行為を進めようとした。が、次の瞬間、動きも息も止まった。



「いってぇー!」
「痛ぃ・・・」



つま先から頭の先へと突き抜ける痛みに、2人はしゃがみ込んで足先を押さえた。近くには本が散らばり、厚さも様々だが、当たれば目から火が出るのは確実である。その災難が、2人を襲ったのだった。



「お前なぁー」
「班長が悪いんです。自業自得です!」
「・・気持ち良かっただろ」
「バカ!」


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