〜長野編〜


初めてのスキー その2

止まり方と曲がり方を教わるのを忘れ、ギャグマンガのキャラを演じてしまった私であったが

その後、ちゃんと止まり方と曲がり方を教えてもらうことができた。

もうこれで目の前に何が現れても安心である。

さっそく曲がり方を実践してみよう。

え〜っと、たしか右に曲がりたい時は左肩を下げるんだったな。

私はすべりながら左肩を下げてみた。

するとどうだろう。

見事に右に曲がるではないか。

これはおもしろい。

調子にのった私は、よせばいいのにずーっと左肩を下げっぱなしにしていた。

そんなことをするとどういう事になるか、おわかりになるだろうか?

曲がるというのはフツー90度までである。

それをずーっと左肩を下げっぱなしにしていたものだから、どんどん曲がり続け

ついには180度回転してしまったのである。

はっきり言ってしまえば、斜面に対して後ろ向きになっているのだ。

そうなると、次にはどうなるか、自明の理である。

私は、ゲレンデで後ろ向きに滑走する異様なスキーヤーと化していた。

みなさん、おわかりだと思うが

景色というものは、前から後ろに流れていくから良いのである。

後ろから前に流れる景色というものは、はっきり言ってよろしくない。

ただただ恐怖である。

私はこの時、身をもって実感した。

極限の恐怖というものは、声をあげる余裕もないということを・・・。