三重タイムズ 平成12年3月3日(金)より転載 終始一貫した論旨 久保教授解任事件 問題視された本紙での発言検証  学校法人享栄学園(名古屋市・堀敬文理事長)が、鈴鹿国際大学の久保憲一教授 (49)を解任した主な原因として、本紙のインタビュー記事(平成十一年十一月五日 号)を上げている。  本紙では指摘されたインタビュー記事での、久保教授の発言を改めて検証すること にした。  −三重県での取り組みですが、三重県人権センターを調査されたようですがどのよ うな問題点がありましたか。  久保−市民運動家の山野世志満さんらと行きましたが、想像以上にひどいものでし た。人権センターといってもほとんどが部落問題で占められている。あとの二割ほど が反日、自虐史ですね。どういう子どもや日本人を育てようとしているのかと疑問に 感じるような施設です。このセンターで真面目に勉強する子どもがいたら、将来が本 当に心配になります。このような施設を公費で建設したこと自体疑問ですね。  −東京都が計画している平和祈念館問題と何か共通するものを感じたということで すか。  久保−ほとんどオーバーラップすると思います。東京都議会の土屋議員は大学で一 年後輩ですが、彼の尽力で計画を凍結させました。人権センター問題はこれから監査 請求とか情報公開などで実態を明らかにしていきたいと思います。  久保教授のインタビューに対する発言が問題だとして、享栄学園は久保教授の解任 を決定した。しかし久保教授はこのインタビューの以前に、すでに人権センター問題 を取り上げて、報道されている。  平成十一年八月十二日に、久保教授(当時助教授)らメンバー六人が人権センター を訪れ、馬場佐所長と話し合っていることが本紙八月二十日号で掲載されている。  久保教授らは「人権センターになっていない。実態は同和解放センターだ。もっと 人権全般についての啓発をしてほしい」「戦争の扱いが偏向している。蔵書や展示に 日本軍や日本人の加害ばかりが目立つ。日本人が受けた被害についてまったく触れら れていない。戦争は最大の人権侵害であり、一方が絶対に正しく、一方が悪いという ものではない。事実は事実としてバランスの取れた啓発をしてほしい」と要望してい る。  これに対して馬場所長は「人権センターは誕生してまだ三年目だ。これまでの長い 同和行政の流れがある。そのため同和関係の図書やビデオが多い。今後、内容を整理 するなかで検討したい」「戦争についての蔵書やビデオなどはバランスの取れた内容 にするよう努力している。展示についても公正なものにするよう配慮したい」と答え ている。  また久保教授は、ほかのメンバーらと十一月十九日にも人権センターを訪れ、展示 内容や図書内容が自虐的だとして改善を求めている。(この件は本紙と産経新聞が報 道した)。  報道記事を通して、久保教授の一連の発言の内容が終始一貫していることが分かる。  しかも鈴鹿国際大学の教授会は十月一日付けで、久保助教授(当時)の教授への昇 任を満場一致で決めている。  「なぜいま頃になって問題になるのか。それも大学内部だけで−。まさに青天の霹 靂(へきれき)の思いだ。最近になって教授と本部事務員の兼務の辞令が送られてき たが、教授会への出席や講義も認めないという。本当に人を愚弄したやり方だと思う」 と久保教授は語っている。  享栄学園と大学側の真の理由と目的はなんなのか。今後の成り行きが注目されてい る。