鈴鹿国際大学・久保憲一教授 訴状「請求原因」(九)  つまり東京裁判は、昭和二十一年一月二十二日、マッカーサーが制定・布告し た「極東国際軍事裁判所条例」によって、「平和に対する罪」という犯罪を規定 し、これに照らして、昭和十四年一月一日から昭和二十一年九月二日までの日本 の「侵略行為」と、その指導者を裁いたものであるが、「平和に対する罪」なる ものは、明らかに事後法に遡及適用であって、十一ヵ国の戦勝国による一方的か つ、報復的な裁判であったが、その判決に示されたところ、つまり連合国に対す る侵略意図をもって、東條英機大将を首班とする東條内閣が、大東亜戦争を開始 したとする見方(東京裁判史観)が一般的であるが、果たして、東京裁判のいう ように、東條内閣が英米に対する侵略意図をもって大東亜戦争を開始したのか。 何故、大東亜戦争に踏み切らざるを得なかったのか、を事実に基づいて検証する ことが、正しい歴史観を持つことになると考え、映画「プライド」を鑑賞するこ とが、その検証の一端になるものと判断したのである。  しかし、鑑賞するかどうかは学生の全くの任意であって、決して「強要」はし ていない。現に約一割の学生が鑑賞しただけである。  しかも「加点」の程度は、主に出席日数が少ない学生を「救済」する際に、若 干配慮するといった程度のものに過ぎなかったのである。