鈴鹿国際大学・久保憲一教授 訴状「請求原因」(三) 二・「人権・同和問題に関する発言」  他方、原告の「人権・同和問題に関する発言」なるものが、一体何を指すのか 明らかではなく、これを明らかにするよう享栄学園に釈明を求めても、現在まで、 一向に明らかにされていない。  享栄学園が釈明できる道理がないのである。なぜなら、原告自身は平成十一年 十二月十七日に「適格性審査委員会」が、「久保教授は本学教員としては不適切 な人物と判断せざるを得ず、辞職してもらうのが適当との結論」を下す以前に、 「人権・同和問題」に関して「結果責任」を伴うような何等かの発言をした事実 がないからである。そうである以上、かかる「人権・同和問題に関する発言」は 「虚構」である。  以上の通り、「適格性審査委員会」は、到底理由にならない理由(三重県人権 センターに関する発言)や「虚構」の理由(人権・同和問題に関する発言)で、 「久保教授は本学教員としては不適切な人物と判断せざるを得ず、辞職してもら うのが適当との結論」を下したものと断ぜざるを得ない。  そして教授会は、「適格性審査委員会」の結論に基づき原告に辞職を求める決 議をしたのである。しかも教授会が原告の辞職を求めるという決議した本当の理 由は、原告の「発言」そのものの当否ではなく、その「結果」によるものである ことは、辞職を求める理由として、「そのこと(注・原告の発言)に伴う結果責 任は本人が果たさなければならない」というものであったことから明らかである。  このことは享栄学園が原告に送った「回答書」(甲第五号証)において、「久 保憲一氏は、三重タイムズに鈴鹿国際大学教授という職名を冠して、種々の人権 を無視した内容の発言をのせられました。右は、鈴鹿国際大学の建学の精神にも 反するものであり、久保発言は鈴鹿国際大学が人権を無視した教育を行っている かのようにとられ、学外から多くの非難を受けております。鈴鹿国際大学の他の 教授も困惑し、大学の教授会も久保憲一氏は、鈴鹿国際大学の教授としてふさわ しくないので、直ちに辞職を求める旨決議しています」と明言しているところで ある。  つまり、原告の発言によって鈴鹿国際大学が人権を無視した教育を行っている かのように「とられ」、その結果、学外から多くの非難を受け、鈴鹿国際大学の 他の教授も困惑するという「結果」が生じたので、原告にはこの「結果」につい て「責任」があるから、教授会は「直ちに辞職を求める旨の決議」をしたという のである。  しかし平成十一年十一月五日号付「三重タイムズ」(甲第三号証)紙上におけ る原告の発言、平成十一年十二月三日号付「三重タイムズ」(甲第四号証)は既 にみたように、断じて「人権を無視した内容」ではなかった。  そもそも原告の発言は、勝田学長の言動と軌を一にし、建学精神にも沿うもの であった。