久保教授事件が本裁判へ− 私の思い 編集長 北本 豊  鈴鹿国際大学の久保憲一教授の本裁判が、津地裁でいよいよ開始されることに なった。問題の要点はいくつかあるが、久保先生を教授職に復帰させたのに、な ぜ授業をさせないのか。なぜ久保先生は教授会に出席できないのか、ということ にある。  これまでも人生の中で、「理不尽」なことはいろいろあったが、久保事件はま さに横綱級の理不尽だと思う。私は当時、三重タイムズというローカル紙の編集 長をしていた。中日新聞の折り込み紙で発行部数は七万部。久保先生の取材は、 皇学館大学の松浦光修先生との連続インタビューの企画だった。久保先生の肩書 きは、鈴国大教授・「日本世論の会三重県支部長」。松浦先生の肩書きは、皇大 助教授・「新しい歴史教科書をつくる会三重県副支部長」だった。  平成十一年当時、「世論の会」や「つくる会」を取り上げて記事にしたところ はほとんどなかった。あれは右翼だ。それもかなり「右の右翼」だなどと噂され ていた。しかし私は、そんな風評を気にせずに取り上げた。久保先生も松浦先生 も、初対面の私に実に丁寧に、取材に応じていただいた。私は報道する立場から 考えて、なんの問題もないと判断して記事にした。  とにかく裁判に勝利して、久保先生の名誉を回復したいと思う。そしてことの 真相を世間に明らかにしなければならない。  なにが享栄学園をして、久保先生に辞職を迫ったのか。久保先生が三重県人権 センターを批判したことで、なにがあったのか。その背後になにが蠢いていたの か。理不尽な事件ではあるが、この事件を逆手にとって「鬼退治」といきたいも のだと思う。  ある意味では、私も事件の当事者というか、久保先生のご家族からすれば「北 本が記事にしなければ−」と思ってみえるかも知れない。しかし社会に対して、 人道において、久保先生も私もなんらやましいことをした覚えはない。このこと は胸を張っていえる。日本の裁判は長期化するといわれている。私も証人台に立 つことになると思う。今後ともみなさまのご支援、ご指導のほどお願い致します。