「月曜評論」平成12年5月号より

不当に解任された鈴鹿国際大学久保憲一教授を支援する



 三重県の鈴鹿国際大学(勝田吉太郎学長)に奉職する久保憲一教授が、学園側(学校法人享栄学園)から不当に解雇された事件については、本誌三月号でも紹介したが、問題は依然として解決してゐない。

 久保教授は二月十六日、津地方裁判所に地位保全の仮処分の申し立てを行ひ、現在までに三回の審査尋問が行はれた模様である。この間、学園側は飽くまで裁判闘争を辞さないとする久保氏の強固な意志と、三重タイムズを中心とする支援運動の高まりに怖れをなしたか、三月三十日付で久保教授に対する処分を次のやうに「通知」してきた。

一、平成十二年一月十七日付辞令「鈴鹿国際大学教授の職を解き、学園本部付事務職員を命ずる」は効力がない旨お伝えします。

二、平成十二年二月十四日付「学園本部付事務職員と鈴鹿国際大学教授の兼務を命ずる」の辞令中、「学園本部事務職員」との辞令を平成十二年三月九日撤回したことを改めてお伝えします。

三、貴殿における同鈴鹿国際大学における地位は、平成十一年十月一日以後教授です。(四月十四日付三重タイムズ)

 しかし、今に至るも同教授は教授会への出席はおろか、学生に講義することも、自分の研究室に入ることさへも出来ないでゐるのである。これでどの面さげて、「貴殿」は我が大学の「教授」でございますと言へるのか、まことに姑息といはうか、学園側のやり口は真綿で首を締めるやうなものである。

 勝田吉太郎学長も、教育改革国民会議に出席して教育基本法改正論をぶつのもよいが(三月二十八日付産経新聞)、そんな暇があるなら、愛弟子のために職を賭し、不正に対しては断固立ち上がつたらどうか。

 この事件の発端となったのは、久保教授が三重県人権センターの偏向した展示内容を批判したことにあるが(これを部落解放同盟に糾弾されることを恐れた学園側が、同教授の解職を一方的に通告した)、同センターに関しては、最近久保氏の批判の正当性を裏付ける、様々な問題点が続々と明らかになりつつある。

 例へば、同センターの二階は三重県同和教育研究協議会(三同教)など解放同盟との関係が深い任意団体ばかりで占拠され、派遣教員についても教育公務員特例法第二十条の規定に反し、九年や六年といった長期派遣教員が目につく。「これらの教員は任意団体の事務局の仕事をしながら、給料はすべて税金で賄われている」のが実態である(三月三十一日付三重タイムズ)。又、三同教は電話帳に電話番号さへ公表しておらず、総会資料や役員名簿、決算報告の提出も拒否してゐるといふ(同右)。公表できないといふことは、身に後ろめたいものがあつてのことと勘繰られても仕方ないだらう。

 久保教授は現在、学問の自由を完全に奪はれてゐる。研究室に入れないので、研究執筆活動にも支障を来たしてゐる。教授に激励のエールを送ると共に、享栄学園の理不尽に対する世論の批判の高まりを、切に期待したい。(勝)


日本世論の会 三重県支部