「国民新聞」平成12年3月25日(土曜日)より

鈴鹿国際大学 久保憲一教授を不当解任



 高校、大学など八校を経営する享栄学園が、なんと良識派教授を不当解任、言論・学問・思想の自由を封殺する暴挙に出た──。

 「日本世論の会」三重県支部長を務める久保憲一鈴鹿国際大学教授(写真)が昨年11月5日付の「三重タイムズ」のインタビューで、その内容が不穏当であるとして、同大学を経営する学校法人享栄学園(名古屋市、堀敬文理事長)は1月17日付で久保氏の教授職を解任し、学園本部付事務職員に降格させた。

 堀理事長名の戒告書によると、懲戒の理由として、「三重タイムズ紙面での発言。これ迄の講義方法等(東条英機に関する映画の鑑賞を強要するかのような指導等)。公的機関である三重県人権センターに対する誹謗とも捉えかねない発言等が、学園の名誉と品位を害し、生徒・学生の募集に悪影響を及ぼし、関係諸機関との信頼関係を著しく失墜させるもの」という。

 学園側が問題であるとした久保教授のインタビュー記事は、「人権センターといってもほとんどが部落問題で占められている。あとの二割ほどが反日、自虐史ですね。どういう子どもや日本人を育てようとしているのかと疑問に感じるような施設です。このセンターで真面目に勉強する子どもがいたら、将来が本当に心配になります。このような施設を公費で建設したこと自体疑問ですね」と10月19日に久保教授が人権センターを訪れ、展示物や図書の内容が余りにも自虐的だとして改善を求めるなど指摘した。インタビューは人権センターのあり方のほか、日本人としてのアイデンティティ、歴史認識・教育問題などにも及んでいる。

 事情筋によると、記事掲載直後から、地元の同和団体や三重県教祖が、享栄学園本部に抗議した。それに屈した学園側が久保教授解任に踏み切ったのが真相だと言う。

 鈴鹿国際大学の勝田吉太郎学長は、11月29日、久保教授を学長室に呼びつけ、「大変なことをしてくれたね。問題になっているんだよ。君、部落問題は本当に怖いんだよ。彼らが大学に押しかけてきたらどうするのかね。その時は君に責任をとってもらうしかない。もし君が助けを求めるなら、共産党に助けを求めなければならない」と怒りを表したという。

 その後、堀敬史学園副理事長、堀敬紀大学入試広報室長、武部国際学部長、杉山事務局長、中野学生部長、戸室教務部長らが久保教授に辞職を迫った。

 一方、久保教授は2月16日、津地方裁判所に地位保全の仮処分の申し立てを行った。2月24日と3月9日の審査尋問で学園側は教授解任の件について撤回したが、その後、「教授」としての人格、尊厳が傷ついている」とし、法廷闘争を続ける構え。

 なお、「前代未聞の言論弾圧と不当解任を許すな!」と題した久保憲一教授緊急支援集会が3月11日、愛知県中小企業センター(日本世論の会主催)で、12日には津ターミナルホテル(主催・久保教授を支援する会)のそれぞれ会議室で盛大に開かれた。

 久保憲一教授は三重県飯高町・水屋神社宮司を務め、三重県神社庁教化委員や皇學館大学非常勤講師も務めている。


日本世論の会 三重県支部