| 少年たちの秘め事ひそひそとささやき会う言葉
 くすくすと漏れる微笑み
 寄り添い有って
 額を付けて
 ナナミには絶対内緒の相談事
 明日はナナミの誕生日
 ケーキを作ろう
 花をつもう
 あじさい色のハンカチを送ろう
 ナナミには絶対内緒で
 びっくりさせて、喜ばせて
 思い出に残る誕生日にしてあげたい
 
 「ナナミ、驚くかな?」
 「うん。喜んでくれるといいね」
 
 そんなささやかな幸せは、迫り来る足音に一瞬にして打ち砕かれた。
 
 「コウ!ジョウイ!!明日私の誕生日だから、3人でピクニックに行こう!!!」
 
 ドアを開け放した姿勢のまま、元気良く声をかけるナナミ
 
 「・・なにしてるの?そんなところで??」
 
 テーブルの下に座り込んで居た二人は、ほっぺをくっつけて振り向きながら、二人にしか聞こえない、計画の崩れる音を聞いていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 「晴れたーーーーーーーー!!!!!」
 翌日は当然のように百点満点のお天気
 雨の多いこの時期といえど、ナナミの元気の前には雨雲も逃げ出したかのよう。
 連日の雨に緑をました木々や、花が、馨立つ空気で3人を迎え入れる。
 自分たちの計画の無意味さに、苦笑して顔を見合わせるコウとジョウイ。
 幸せそうに先頭を歩くナナミ。
 そんなナナミを見て、やっぱりコウとジョウイの笑顔も、本当に幸せなそれに変わるのだ。
 一面の花畑
 お日様の下
 食べるお弁当は本当に美味しくて、幸せで
 
 「ねぇ、コウ。ジョウイ。ずっと一緒にいてね。ずーーーっと、一緒に居てね」
 
 何故かナナミが自信なげに見えておかしかった。
 
 「私二人がいればいいの。それで一番幸せなの」
 
 ナナミの首にぎゅーーっと抱き着くコウ
 
 「うん。ずっとずっと一緒にいようね」
 
 こくこくと、うなずいた。
 ジョウイはそっと、ナナミの頭に花冠を載せた。
 
 「お誕生日おめでとう。ナナミ」
 「わぁ〜〜〜!!ナナミお姉ちゃん綺麗!お姫様みたいだよ?」
 「え?えへ♪えへへ♪ありがとう、ジョウイ!」
 
 誉められてすっかり機嫌を良くするナナミ
 調子に乗ってコウと二人たくさんの花束をこしらえて
 日の落ちる頃にはすっかり花まみれになっていた。
 
 「そろそろ帰ろうか?」
 「うん。楽しかったね♪でも、ジョウイ。まだ答えてくれてないよ」
 「え?」
 「これからもずっと私たちと一緒に居てくれる?」
 「ナナミお姉ちゃん・・ジョウイ?」
 「ふぅ・・ふふ。お姫様の言う事じゃ断れないな。なんて、こちらこそお願いするよ。ずっと3人でいよう」
 「本当よ♪来年も私のお祝いしてくれる?」
 「うん」
 「再来年もよ♪」
 「うん」
 「やったーーーーー!!コウ♪ずっと一緒だって!」
 「やったーーーーーーーーーー!!」
 
 真ん中に立って
 二人の手をつないで振り上げて
 ばんざーーーいと喜ぶナナミ
 コウも一緒に万歳を
 ジョウイもつられて微笑んで
 
 辛い事が有ったね
 苦しい時があったね
 でも、幸せだね
 来年も再来年も、ずっと一緒に居よう。
 おじいちゃんになって
 おばあちゃんになって
 やっぱり3人で、笑っていようね
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