〜再会〜
   めさ、出会いの続きです。
 
 
 

 
 


 
 同盟軍とハイランドの戦いも無事終わり。
 取り合えず、当たりもつけずに旅に出て。
 ふらりと立ち寄った3つ目の宿屋で。
 彼らは、彼らと再会した。
 
 

「うわ、久しぶりじゃん。テッド!!」
「ああっ、シードさん?元気だった〜〜〜?!」
 宿屋の食堂で。
 日も暮れて、飛び込みで宿を取りに入ったシードは、テーブルに見慣れた少年を見つけて思わず走りよった。
 少年----テッドは、海老フライを口に運ぶ途中だったらしく、フライをフォークに刺したまま驚いて席を立ち上がった。
「テッド。行儀が悪いぞ」
 横合いからたしなめる声が聞こえて、シードは首を捻った。
 テッドの横、もくもくと野菜サラダを口に運んでいるのは、年は自分より少し上だろうか?やや緑がかった髪の、隻眼の・・・・。
「エルフ?!」
 シードは驚愕の声を上げた。
「あ、うん。こっちはルビィさん。おれたちの保護者」
「すげー!!!!エルフだ!!!!俺、初めて見た〜〜〜!!!!!」
 目を輝かせて喜ぶシードに、ルビィが怪訝な顔をする。
 刹那。

 
 スパーン!  

 お約束のように、シードはスリッパで後頭部を叩かれたのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 仲良く食卓を囲んで。
 三人の大人(?)と二人の少年(??)は、各々好みの食事を楽しみながら、久しぶりの再会に盛り上がっていた。
「申し訳ありません、ルビィ殿。こいつは礼儀を知りませんので」
 クルガンがルビィにワインを進めながら、軽く頭を下げる。
 さきほどシードを容赦なくスリッパで殴った男と同一人物とは思えない落ち着きぶりである。
 進められるままワインを受けながら、ルビィは軽く笑った。
「別に構わんさ。確かにこんな街ではエルフ自体が珍しいだろうからな」
「しかし、同盟軍の中にも確かエルフの青年がいたはずです。それなのに・・・」
「ああ、スタリオンか・・・」
 なぜかルビィとクルガンは気が合ったらしく、二人だけで話に花を咲かせている。
 その横で。
 やはり愉し気に会話を交わしているテッドとシードに挟まれて、ニャンタは心持ちむすっとしていた。
 私用で独り出掛け、戻ってきたところでクルガンと再会した。
 もしやと思えば案の定シードも一緒で、更にいつのまにやら一緒に食事をとることになっているし。
 唯一初対面なはずのルビィも、あっさりと馴染んでいるし。
 はぐれエルフも随分丸くなったんだなあ・・・などと変な感慨を感じたりもしたが、まあそれはおいといて。
「しかし、ついこの間まで敵同士として戦っていた僕と一緒に食事して、シード達は別に構わないのかい?」
 ニャンタは頬張ったステーキを飲み込みつつ、シードとテッドの会話に割って入った。
「あ?別にいーんじやねーの?昨日の敵は今日の友ってゆーしよ。なあ?クルガン?」
「ああ、そうだな」
 あっさりと返されて、ニャンタは肩を竦めた。
 確かに彼らの言う通りだ。
 自分だって昨日の敵を今日の味方に引き入れて戦っていたのだから。
 勿論、先の戦いでは、過去に味方だったものが敵として現れたりもしている。
 今の混迷の世に、明確な位置付けなどないのかもしれない。
 そう思えば、こうやって友として彼らと再び会いまみえた事がどれほど貴重なことか。
 まあ・・・いいよな。
 ニャンタは思った。
 テッドも喜んでるよーだし。←結局それか。
「あ、そーいえばさ」
 シードがなにかを思い付いたと言うように、身を乗り出してきた。
「ジョウイ様・・・あれからどーなったか知ってるか?」
「ジョウイ?・・・って、あのワンのスケの幼馴染みだという・・・」
「そうそう」
「ああ、あの銀の首輪つけてた人か?」
 テッドのなにげない確認の言葉に、思わず固まるクルガンとシード。
「く・・・首輪?」
「あ〜うん。そうだったな。ワンのスケが張り切って見せに来たよ、確か。で、ルビィが銀の首輪じゃ安っぽくて可哀想だからって、プラチナの首輪をプレゼントしたんだよな〜〜〜」
「うん。すごく喜んでたよな、ワンのスケ」
 なごやか〜に交わされる言葉の数々に、ぴくぴくと顔面が引き攣るのを感じて、シード達は思わずルビィを見やった。
 ルビィは独り、何も聞こえないふうを装ってワインのグラスを傾けている。
「ルビィ殿・・・?」
「あんた・・・」
 眉根の寄った二人に問われ、ルビィはふーっと長い息をついた。
「・・・俺に振るな。首輪をつけたらどうかと言ったのはニャンタだし、実際に行動したのは同盟軍のリーダーだ」
 それはそうかもしれないが。
 遠くを見るように吐き出されたルビィの言葉に、シードとクルガンはそろって肩を落とした。
「あ〜でも、結構幸せそうだったよな。あの二人」
 マジっすか?
 ニャンタの言葉に、胡散臭気な瞳を向けるシード。
「ああ、そうだったな〜。やっぱり幼馴染みだから、仲良いみたいだし」
 ・・・テッドがそう言うなら、信用して大丈夫かも。
 なんとか生きてるみたいだし。←おい。
 取り合えず無理矢理納得して、シードはワインの追加を頼んだ。
「ま、ジョウイ様のこたあ、もういーや。とにかく再会を記念して乾杯しようぜ、乾杯!!!」
「なんで今さら・・・」
「ジョウイ様、現状を知りながら見ない振りをする薄情な我らをお許し下さい・・・」
「お前らは酒、駄目だぞ?ジュース取ってやるから」
「あ、俺はウーロン茶」
「僕は100%生しぼりオレンジジュース」
「よっしや、オーダー追加!!!! 今夜はクルガンの驕りだかんな!!!! ガンガン喰って飲んで、御機嫌に騒ごーぜぇ♪」
「ちょ・・・おい?ちょっと待て?シード!!!!」
「・・・こいつらの分は俺が払うから・・・」
 ぽんとクルガンの肩を叩くルビィ。
 こうして平和な夜は深けていく。
 
 そんなたわいもない会話こそが平和の証なのだと、彼らは知っているから。
 ずっとこんな日々が続けば良いと。
 誰もが心の中で、そっと呟いた。

 おわり。
 
 



 *多輝サン コメント*
 ニャンタ様シリーズ・・・何処までいくんでしょう?
 そしてワンのスケ達が消えた代わりに、クルシーがレギュラー入りしてくるのか?
 もう自分でもどーだかわかりません(笑)
 でも書いてて愉しーぞう♪←おいおい。

 *佑野より*
 
うちのSSコーナーの潤い、多輝節巳嬢より頂いたのデス。
 非常に大好きなニャンタ様ものV 最近はクルシーね♪佑野サン大喜び♪
 何だかルビィが苦労性っぽくてイイぞV(イイのか)

 UPが異常に遅れたのはひとえにワタシの駄々草ゆえです。
 あと、一回UPしかけたんだけどマックがフリーズして…やる気を削がれた。
 …だからって遅れすぎです佑野。やばすぎ。

 
 

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