耕野の7人


 生半可な米つくりをやりだして10数年、収穫量も少しも上がらずそれに対して少しの工夫もなく機械はいつ故障してもおかしくない中古の機械。
それでもなんとか飯米は補強できた2反百姓。

 周りの耕作者も似たり寄ったり機械の故障が運の尽き。
年々重くなってゆく作付け当たりの水利管理費、草刈地の拡大(耕作放棄による上乗せ消化)。
周りを取り巻く情勢は年々悪化をたどっている。
いつまでこんな状態で現状確保が出来るかと懸念しつつの米つくりをおこった。
春が近づいたある日、近所の仲間がこのままの百姓、自分だけの労働での田の維持は限度に達し難しい。
それでもおいしい米が出来る田を維持し荒らしたくはない。
協同なり、集落営農なり何か良い手段はないものかとの相談があった。

 紆余曲折の末、付近の有志7人が協同してこの地の耕地を守ろうとまとまった。
立ち上げた組織は、組合法人。
作業分量にて配当方式。
若者は土日、祭日の就労を主とし、年高者は平日の作業分担。
草刈、植え付け、収穫時は全員全力就労で農地を守っていこうと出発した。
その後作業面積も増え、作業も重く、肩にのしかかる。
機械も修理代も肥料も借金も増え続け、先行き不安の中で、地域の環境を守る。
それが地域の活性化、文化力向上にもつながるという自負は変わらず。

 定年を迎えた若老人の有効、有力の支援の下、若者の定着率を望み、農地保全を目指し芸術的畦を守り、中山間地の景観つくりに寄与し、住みやすい地域つくりをしていきたいとあえぎながら作業をする荒野の同士たち9人。
今後も定年若年寄の余力を持って地域に還元し年金のみの現状生活を少しでも潤し、仲間と共に地域の文化力向上に寄与し、津市山間ゾーンでの心豊な生活を続けたい。



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