ビリヤード

★ B級が知っていること @ スロウ篇(1) ★

 ここでは、いわゆるB級プレイヤーが知っていることを紹介してみようと思います。何故B級が?というと、それはもちろんつみけ本人がB級だから。A級が知っていることは知らないこともあるかもしれないので・・・ね。^^; 一般的なB級がこれらを理解しているかどうかは分かりませんが、逆にC級でも「これくら常識じゃ〜ん!」と思っている人もいるかも知れません。

スロウ:手玉と的球(or 的球と的球)の間の摩擦による変化

 スロウとは手球と的球、または的球同士の間に存在する摩擦により発生するボールアクションの総称です。

<図1>
 例えば、上の図1を見てもらいましょう。手球と的球がタッチしている状態です。手球を矢印の方向に撞き出す(芯撞き)とき、摩擦のない理想的な条件下では、的球は矢印Aの方向に飛んでいきます(手球と的球の中心を結んだ線が矢印Aです)。・・・が、残念ながら僕らがビリヤードをするこの世界には摩擦というものが存在し、実際には矢印Bの方向にずれて飛んでいってしまいます。これがスロウです。

<図2>
 次に、図2を見てもらいましょう。これは手球と的球が離れている状態で手球を撞いて的球に当てた瞬間の図です(芯撞き)。図1と同様、手球と的球の中心を結んだ線が矢印Aです。ビギナーやC級の人たちの中には、この矢印Aの方向に的球が飛ぶと思っている人もいるかと思いますが、それは全くの嘘。実際は、矢印BやCの方向にずれて飛んでいきます(スロウは手球と的球が離れている時にも生じます)。ちなみに、あらかじめ手球と的球の接点に唾などを付けておき、摩擦が0である状態に近づけていれば、的球は矢印Aにより近い方向に飛んでいくはずです。

 また、スロウの大きさに影響を及ぼす因子としては、“手球のスピード”が挙げられます。例えば、強く撞いたときはスロウがあまり生じず、的球は矢印Bの方向に飛びます。そして、弱く撞いたときはスロウが大きく出て、的球は矢印Cの方向に飛びます(手球のスピードが弱ければ弱いほどスロウは大きくなります)。チビリながら撞くと抜くことが多いのは、このスロウという現象が大きく出てしまうからというのも一つの原因でしょう。

<図3> <図4>
 図3では的球と手球はタッチしています。この状態で的球を矢印Aの方向に飛ばしたいとき、手球を矢印Bの方向に撞き出しスロウを用いて的球を飛ばせばいいというのは先述の通りです(「Push call」or「Double hit call」をお忘れなく)。図4では手球と的球との間にボール1個分くらいの隙間があります。この状態で的球を矢印Aの方向に飛ばしたいとき、手球は矢印Bの方向にカットすれば良いというのは誰もが分かると思います。

 ここで注目して欲しいのは、図3と図4では手球と的球の振りが同じで的球を飛ばしたい方向も同じなのに、的球との距離が違うだけで撞き出す方向が振りに対して全く逆である、ということです。図3の「プッシュ」というのは確かに特殊な状態ではありますが、タッチしていなくても隙間がごくわずかであれば、プッシュにおけるスロウの効果はあります。すなわち、このプッシュにおけるスロウとカットとの間には境界線となる“限界点となる距離”が存在することを示しています。

 それでは、限界点となる距離にある的球に対して手球を撞いた場合、いったいどうなるのでしょうか? 何度も実験したわけではないので何とも言えませんが、おそらくはどの方向に撞いても的球は同じ方向に飛んでいくのではないでしょうか? そして、その飛んでいく方向というのは、手球と的球の中心を結んだ方向であると思われます。

<図5> <図6>
 それを図に表したのが図5です。図5で的球を矢印の方向に飛ばしたいとき、どうすれば良いでしょう? 図が不正確なので申し訳ないですが、これくらいの隙間(限界点となる距離)しかないとカットとスロウが互いに相殺して、おそらくどう撞いても上手くいかないと思われます(ヒネリは入れないものとします)。そして、的球は点線の方向に飛んでいってしまうでしょう。

 例えば、この図5の配置で点線の延長線上にポケットがあるとしましょう(図6)。ビギナーの人ならそのまま真っ直ぐ撞いてダブルインする事もあるかと思います。これは問題外ですね。C級の人なら立てキューにしてその場に止めようとするかも知れません。しかし、この配置はどの方向に撞いても的球がポケットに向かうと知っていれば、ネキストを考えて手球を短クッションに入れるなり長クッションに入れるなりすることができます。これにヒネリを加えればだいたいの場所にポジションする事も可能でしょう(ヒネリによってもスロウが生じますが、これについてはまたいつか・・・)。

 この限界点となる距離というのは各自確かめてみてもらいたいのですが、僕が一度試したときはだいたい5mmくらいだったような気がします。また時間があるときに検証してみたいとは思っていますが、なかなか時間もなく・・・。^^;


★まとめ
 1.手球と的球の摩擦により的球の飛ぶ方向はずれる(これをスロウという)
 2.手球と的球が離れている場合でも、スロウは生じる
 3.手球のスピードが弱ければ弱いほど、スロウはより大きく生じる


 今回、前半はスロウというものがどういうものかを紹介し、後半はある特殊な状況下でのスロウというものを考えてみました。特に後半のマニアックな知識がB級やC級のみなさんに役立つかどうかは分かりませんが、こういったこともあると知っているといないとでは、差が出てくる場面もあるかも知れません。

 さて、この“B級が知っていること シリーズ”。気まぐれで書いてみたので、続くかどうかは不明です。^^;


back
home