ふと、空を見上げた。
蒼かった。
空の下 − in the open air; out of doors −
旅の疲れを取ろう。
そう言って、野原に寝転がった一人の人間。
えーっ。と、文句を言い散らす、一台のモトラド。
「空は青いね〜。」
頭の下で、腕を組んで寝転がっている一人の人間。
その人間は、十代半ばほど。大きな目と、精悍な顔を持つ。
第二ボタンぐらいまで開けられた、シャツの上に黒のジャケットを着ている。
右腿には、パースエイダーがホルスターに収まっている。
「キノー。モトラドは、走ってるほうが気分がいいんだけど。」
一台の、モトラドが言う。
後部座席の代わりのキャリアに、旅荷物が沢山詰まれている。
その一番上に、茶色のコートが被せて置いてある。
キノと呼ばれた、人影が動く。
「たまに、ゆっくり行く事も良い事だよ、エルメス。」
「まぁ、いいけどさ。」
エルメスと呼ばれたモトラドが、返事を返す。
それから、数分彼らの間に言葉はなかった。
「ねぇ、キノ?」
「何だい?エルメス。」
「空の青い理由、知ってる?」
キノは、首を横に振る。
エルメスは、学者みたいな口調で説明する。
「つまりね、青空をつくるためには大気の層が必要なんだよ。」
ふんふんと、キノは青空を眺めながら、聞く。
「大気の層に入った太陽の光は、大気中の空気によって「散乱」されるんだ。
これによって地上からは空一面が明るく輝いて見えるんだ。
「散乱」とは空気中の分子に一度光が吸収され、再び光がでていく現象であり、光がものにぶつかって跳ね返ってくる「反射」とは違う現象。
小さな空気中の分子は、いったん吸収した太陽の光を放出するときに青色の光を強めて出すんだよ。
この光が青色の散乱光、何だって。
晴れわたった大空を見上げた、キノは、この散乱光を目にしてるの。
この時空は青く見えるだ。」
エルメスの説明が終わる。
「分かった?キノ。」
「少しは。」
「空ってさ。」
「うん。」
「広いんだね。」
少し間を置いて、エルメスが言う。
「何、当たり前なことをキノは...。」
「広いなー。と、思ったから。」
キノは、立ち上がりエルメスにかけていた、コートを着る。
ブロロロと、エンジンをかけた。
「どうしたのキノ?もう、行くの?」
「まあね。今日中には、次の国へ着こう。」
「着けるかなー?」
「多分ね。無理だったら、野宿だって構わないさ。」
「キノにしては、珍しいお言葉。」
キノは、エルメスにまたがり西の方向へ進んだ。
「それに、エルメスがいつも傍にいるしね。」
「何さ、急に。」
「野宿になった場合は、宜しく。」
「...りょーかい。」
一人の旅人と。
一台のモトラド。
は、
さっき居た、野原を背に走っている。
++++++++++ あとがき ++++++++++
キノの旅。お初小説。
ここまで、読んでいただいた方、まいど有難う御座います。
管理忍は、空を見始めたら止まりません。
一回、一時間弱。部屋の窓を全開にして、空を眺めてました。CDを共に聴きながら。
結構、飽きないものでした。気がついたときに、「もう、一時間!?」と思ったぐらいで、
管理忍の間で、時間が早く回ってましたね。
話は、打って変わって。
空の青い理由、ご存知でした?実は、管理忍もつい最近知った、ばかりです。
書いていて、エルメス賢ーいと思ってしまった管理忍です。
エルキノ風味にしてみたのですが、なってるでしょうか?
ここまで、お付き合いいただいた方、まいど。
これからも、お付き合いください。
2003/9/3 魂