01:一
全てのものを、元にたどると一つのものでしかない。
ボクは、一。
君も一。
「ねぇ、旅人さん!モトラドさん、ちょーだい!」
まだ、9歳ぐらいの小さな女の子。
「残念だけどね。エルメスは、一つしかないんだ。」
旅人が、苦笑を浮かべ答えた。
「やだっ!!ちょーだい!!」
女の子は、言うことを聞かず我が儘とは、決められない言葉を発する。
「君が、もうすこし大きくなったら、もっと良いモトラドに会えるかもしれないよ。」
「キノー。なんか、酷い。」
エルメスと呼ばれた、モトラドが不満そうに言う。
「エルメスは、ボクには必要な存在なんだ。それは、分かる?」
女の子は、軽く頷いた。
「エルメスは、この世で一つだけなんだ。それも分かる?」
女の子は、また頷いた。
「なら、いつか分かるよ。」
キノという旅人は、エルメスに跨る。
「旅人さん?」
「それじゃあ、ボクは出国します。」
「モトラドさんも一緒に、行っちゃうの?」
「まーね。ボクは一台しかない、キノもこの世で一人だけだ。」
「...?」
キノは、ゴーグルを装着し、女の子のところに振り向いた。
「いつか、ちゃんと分かるよ。」
モトラドのエンジン音が、轟音をたて走り去っていった。
女の子が、いつかちゃんと分かる日まで、まだもう少し。
++++++++++++++++++++
お題の、第一代目!
「一」と、言うことで。こんなネタ。
女の子が、9歳という中途半端な年齢は、ちゃんと意味があるのです。
10歳ぐらいだと、すこし物分りがよくなってそうで、
8歳だとまだ幼いかと思って、9歳になりました。
2003/10/7 魂