旅行記その1   [戻る]
旅行記その1
著者:kks

オーディオとはあまり関係のない話です。

7月28日から鉄ちゃんの若者に誘われ旅行にいきました。
7月28日、23時30分新宿駅5番ホームに集合(工事のため、5番ホームは列車10両分 代々木側にずれていました。中央口から案内の矢印に従い工事中のホーム下の迷路 とホームを歩きました。乗車位置まで都合2列車分)

乗車したのは23時56分発の「ムーンライト信州」。特急列車に使われていた183系 を夜行快速(といっていいのかな)に使っています。全車指定席。青春18きっぷを利用 した旅ですが、新宿から18きっぷを使うと日付変更があるため、損になります。立 川までは普通の乗車券、そこから18きっぷという戦略です。乗車している2号車には 山行きの格好をしたおばさん・おばあさんが多いですね。初老登山が多いという ニュースはよく見ましたが実際に拝見するのは今回が初めて。寝台と違って、車内放 送がガンガン流れ、減光もありません。アイマスク・タオル・耳栓を持参すればよ かったと思うほど。半袖の身には冷房の効きすぎでタオルでも掛けたくなったから。

松本4:32発。ほんのりと朝の光が射し始めています。昨日の台風通過で晴天。余分 な水蒸気がないために景色が浮き上がってきます。中央線から大糸線に入り、山岳路 線との雰囲気と稲穂がみのりはじめた田園風景とが深まります。豊科・穂高・信濃大 町と停車するごとに数人の登山客が大きな荷物を背負っておりていきます。絶対の登 山日和ですよ、今日は。5:36に終着駅白馬に定刻通りの到着。早朝にもかかわら ず、下車する乗客の多いこと。ホーム一面が人の波です。そのうち5割が女性の登山 姿、4割が男性の山行。1割が若い登山パーティ。普通の乗客は10人もいないのぢゃ ないか... ホームの西側には白馬の山々が近くに迫ります。山頂から中ほどまでに日 があたり、その姿を浮かび上がらせています。山腹のきれいな光に浮かび上がる緑は スキーゲレンデの夏姿。

白馬6:03発の2両編成の電車に乗車し、南小谷へ。南小谷は白馬からの電化区間が とぎれ、糸魚川へのディーゼルへのジャンクションになっています。次のディーゼルは 7:55の始発。6:23から1時間半待ちです。駅舎の脇は轟々と流れる姫川。いつも生活 している太平洋側は北から南に水は流れます。サミットを越えたこちら日本海側では 北に川が流れるのが当たり前。とてもきれいな水で、瀬の部分は10m位上からも底が はっきりと見えてきます。お腹がすいてきたから、コンビニ探し。国道沿いに20分ばか し歩いても目につくのは飲み物の自販機ばかり、豆腐屋さんは準備をしている様子だ けど戸をしめたまま。仕方ないですね。駅に戻ってツバメの飛び方を見ていると飽きま せん。自然の香りがお腹をなでてくれるみたい。仙人が霞だけて生きているという故事 も嘘ではないと思えてくる自然の奥深さを久しぶりに感じました。

地元の人は山間から日が差す7時前から起き出すようです。駅までは自動車での送迎 が必要です。たまに来るエトランゼには風情を味合わせてくれる自然も冬の登校や出 勤には大変な苦労がつきまとうのでしょう。

7:11になると白馬から銀色に輝く2両編成の電車が到着。続いて7:24には濃いオレンジ 色のディーゼルカーが1両だけで糸魚川から煙をふきあげながら到着しました。ホーム を挟んで電車とディーゼルの交換です。駅の南側で電車が7:30に白馬方面松本駅まで もどるのを眺めていました。軽々と動いていますが、駅の直後が25パーミルの急勾配。 25パーミルは1000m進むと25m上がっているというもので、お茶の水・秋葉原間の中央 緩行線は33パーミルなんだそうです。

そんな眺めをみてのんびりしていた時、乗るべき列車が濃いオレンジのディーゼルカー ということに気がつきあわてて乗車しました。キハ52というそろそろ初老のエンジンを2台 つんでいる山岳線用の車体です。このワンマンカーにもエアコンが装備されているんだ。 7:55出発。南小谷を出るときだけエンジン音が響き、後はレールのカタンカタンというのど かな旅を思わせる音だけです。勾配を下るだけでいいからエンジンはアイドリングレベル。

姫川沿いにキハ52は気持ちよく山下り。トンネルやスノーシェードが続いています。対岸に 国道が見えたり寄ってきたり。人家はほとんどありません。朝食を探して歩いたのが1km ほどでしたが、コンビニが国道沿いに見えたのが次の中土駅の中間近辺。トコトン進まなく て正解だとお腹に言い聞かせました。カタンカタンと進むうちに土砂崩れや川の曲部に 砂利がたまっているのが目に入ります。後に集中豪雨で長い間この路線が不通になった ことを知りました。自然のエネルギーの前に人間は無力であることを痛感。ダム・発電所 がいくつもあります。黒部川のようにドラマチックには取り上げられていなくても姫川は いろいろな役に立っているようです。根知駅で糸魚川からきた1両のディーゼルカーと交換 です。運転手さんが「国鉄色のキハ52と交換します」とアナウンス。静かに目を閉じていた 人たちがカメラを取り出してホームの端へ。見知らぬ18きっぱーが半分以上。18きっぷを 利用する時の服装はTシャツ・Gパンにスニーカー、デイパックは小さめの1つ。これにウエ ストポーチがついている。中にはメタル製のカメラバッグや三脚を抱えているパターンも あります。何となくその姿で分かります。総じて無口。8:50の糸魚川着まで車窓に飽きません。

糸魚川駅には煉瓦製の機関庫が残っていました。その中にはベージュに緑のアクセントの ついたキハ52が休んでいます。大糸線を走るキハ52は3両ともユニークな色違い。

鉄ちゃんの作ったプランは糸魚川での朝ご飯を考えていません。8:55糸魚川市発の電車で 富山まで移動です。やってきたのは3両編成の419系交直流電車。元々は寝台特急電車「月 光」型とよばれていた花形を切り分けて運転台を無理矢理くっつけたタイプです。ボックス席 は寝台の姿を残しゆったりとしたクッションと頭の上に寝台の上段・中段をしまったケースが 残っています。両端はロングシート。乗り心地は快適。糸魚川の乗客の多くは高校生とおば あちゃん。乗り降りよりも降り降りが多く、10:06に富山着です。

(その1ここまで)2005.8.1更新