音楽人さんに連れられて2 [戻る]

音楽人さんに連れられて2


レポーター:田舎のGRF(2004.12.12更新)

喫茶店で食事を済ませ、もう一度御殿場にあるYK氏宅へ引き返しました。 午前中に順番どおり行きたかったのですが、家主のご都合で御殿場と沼津を行ったり来たり。 音楽人さんにはご苦労お掛けしました。 YK氏宅は御殿場の田園風景の中にありました。
普通のしっかりした日本家屋を改装したおうちです。
天井を梁が露出する所まで高くして部屋の容積を稼いであります。
オーディオルームは元子供部屋だった和室を改造、白く見えるのはご自分で塗った漆喰です。
壁自体はそう丈夫ではありませんが、床は割としっかりしていました。
ちょいとロッジ風な部屋は、すこし暗めですが、窓の外には田園風景が広がって、心が落ち着く部屋です。
部屋のコーナーには赤っぽいマホガニー風仕上げのシルバー12インチ、コーナーヨーク。
超初期型で箱は堅く、バスレフポートがエンクロージャーの下に空いているんだそうです。
今まで見たコーナーヨークでは、一番コンパクトで背も低めです。
叩いてみると見た目通り堅く頑丈な造りです。

ユニークなのはSPユニットの前に張られたネットです。
写真では判りづらいかもしれませんが、金属の金網です。
手ではじくとジャンジャン音がしそうです。
どうやら、これで音を調整している模様。
その、効果はすぐ確認できました。
小音量で鳴らしてみえましたが、響きが、独特で味わいのある音です。
これまで聴いたタンノイと同様な音色なのですが、どこか違う音です。
低域は、少し控えめですが、スムーズで好感が持てます。
小音量ですが、音離れの悪さは感じられません。
高域が金網に反応しているのでしょう。
不思議な響き方です。
他のタンノイと同じようで、バロックでも聴いているような、もっと古典的な不思議なサウンドです。
時代を考えると、蓄音機の太い直接的な音色に対抗して、当時あまり再現出来なかった、部屋の空気にマイナスイオンが発生しているような清涼感のある響き を作り出そうと考えられたシステムではないでしょうか。
貴重なシステムです。
もっと音量を上げても良いのかもしれませんが、十分細かい所まで聴き取れる良い音楽です。
CDPもフィリップスの上級機種LHH1000番です。
フィリップスのCDPの中では、性能本意の無機質な音のCDPです。
古いSPにこのCDPの取り合わせも意外です。
このSPには、相当レンジの広いソースも合うのだろうなと思いました。
SPの下の木炭は音の調整のためか、湿度対策のためか。
御殿場は山なので湿度が高く、音が悪くなるそうです。

メインアンプはラック下から二段目の右二台、マランツ#5モノラル二台。
熱対策のため真空管のある部分をラックの前に突きだしてあります。
プリは#7です。
YK氏のお宅においとまする頃には、富士山の陰に日が隠れそうで、ヒンヤリ遅い午後の空気が漂い始めていました。

御殿場から山を下り、次は三島のN氏宅へ。
お宅に着く頃には夕方近くになっていました。
山のだらだらとした斜面に造られた住宅地で、ここも新築のおうちが目立ちます。
静かな空気が漂う閑静な住宅街です。
道路間際に住む私には、本当に羨ましい環境です。

この写真は、部屋をに入ってすぐに撮った写真です。
壁の表面は科ベニヤです。
SPはレッド15インチ、コーナーヨークです。
床は結構良いのですが、壁がすべて平らで平行面です。
天井は普通より高くなっています。
天井も同じ材質です。
広さは15畳よりもっとあったと思います。
造ってから7年程経過していますが、上手く鳴らせず、壁に掛けてある写真の類は仲間の方が少しでも音が良くなるようにとぶら下げたものだそうです。
前評判ではさんざんな音だからとゆうことでしたが、お邪魔してみると、そうでもありません。
ちゃんと豊かなタンノイサウンドがしています。
お話によると、つい三四日前に壁の表面にオリーブ油を塗ったのだそうです。
そうしたら、それまで7年間キンキンしていた部屋の音がボコボコの音になってしまって、困ったあげくもう一度乾拭きしてみたそうですが、それでも良くな りません。
ところが、私がお邪魔する前日ぐらいからだんだん音が落ち着いて来たそうです。
私がお邪魔した時はとても良い状態でした。
SPの足下に青くマーキングしてあるのが、ここが何とか聴ける位置だとゆうことで印をつけたのだそうですが、SPが離れて、壁に近すぎるようなので、 もっと中に寄せてみました。
それまでは1センチも動かせなかったそうです。

それがこの写真です。
大変良い音になり、音量を上げて聴くともっと豊かに上手く響きます。
最終的には壁の写真も斜めはやめて普通に平面にしました。
何をかけても、十分満足がいくタンノイサウンドでした。
レッドの特徴のあるきつい高域がとても美しく音楽を際だたせています。
オリーブ油にこんな効果があるのは意外でしたが、収穫でした。

皆さん一貫して、良くメンテナンスされたSPを、きちんと時代考証をふまえて完璧にレストアされた機器で鳴らしてみえます。
メンテナンスにお金がかかるのでしょうが、それが生きていて、古いタンノイの良さを満喫できた旅でした。
N氏宅を出る頃は、とっぷり日も暮れていました。

皆さんといっしょに食事をご馳走になり、三島駅から新幹線に。
皆さん駅の中まで送って頂けて、お名残惜しかったです。

帰りの新幹線の車中で、私の耳には、独特のタンノイサウンドが鳴り響いていました。
お邪魔した皆さんありがとうございました。
そして、一番お世話になった音楽人さん、本当にありがとうございました。