聞き込みのSaGa


宿屋の主人はこう語る。
宿屋「私たちの娘がいなくなる前に、何やら娘は何かに怯えていたような素振り
   があった気がします・・・」
宿屋は主人と、その妻、そして失踪した娘の妹と弟がいた。
アセルス「妹さんには被害はないんですか?」
宿屋「え、ええ・・・妹はまだ少女でして・・・」
成る程、まだ女性としては未熟な体つきである。
恐らくは、10歳になったかそこらの年齢であろう。
宿屋の弟「あ、あの・・・」
妹と思える人物よりも若干年上の男の子が、勇気を振り絞った表情でアセルスに
何やらいいたげな表情をしている。
アセルス「何かしら?」
宿屋の弟「あ、あの・・・姉ちゃんが夜中に実は唸ってたんだ・・・」
アセルス「何て?」
弟は少しためらったが、すぐに口を開いた。
宿屋の弟「あいつらのせいで・・・って。」
アセルス「あいつら・・・?」
宿屋の主人も口を挟む。
宿屋「あいつら・・・私の娘が、何物かに脅迫されていたということですか?」
主人は息子のことを鋭い目でにらむが、アセルスがそれを制した。
アセルス「息子さんはきっと何かそこに怖いものを感じたんでしょう・・・
     責めないでください。」
宿屋「ああ、すまない・・・」
見ず知らずの他人ではあったが、主人はアセルスには何か逆らいがたいものが
あると直感し、素直に彼女の言葉に従った。
アセルス「・・・これ以上は、お宅に聞くのはつらいでしょうから・・・
     ほかにも、何か知ってそうな人物とかはいますか?」
宿屋「ああ・・・すまない、道具屋の息子が、私の娘にいろいろとモーションを
   かけてきていたのだが・・・彼は信用に値する人物だし、娘とも割合
   懇意だったんだ・・・
   かれも娘がいなくなって悲しんでいるものの一人だが、きっと話をして
   くれるだろう。」

宿屋から出ると、グレイが煙草を吸いながら待っていた。
グレイ「どうだった?」
アセルス「隠している素振りはない・・・とりあえず、誘拐だと言うことははっき
     りしたよ。」
グレイ「脅迫でもうけてたのか?」
アセルス「ビンゴだよ。とりあえず、道具屋の息子に話を聞けだってさ。」
めんどくさいなぁ、と頭を掻きつつ、グレイもアセルスとともに道具屋に向かう。
この街に道具屋は数多くあるが、宿屋の近くにあるのはひとつだけだった。
恐らくここだろう、と今度はグレイが聞き込みをすることになった。
グレイ「すまないが、警察のものだ。」
どうやらその娘と懇意にあった男らしき人物らしきものが少し驚いた顔で
グレイを迎える。
道具屋「どうしたんですか?」
グレイ「行方不明になった宿屋の娘さんのことで聞きたいことがあるんだが。」
少し彼は躊躇ったが、グレイを中に招き入れた。
グレイ「君は、彼女とはどういう間柄だったんだい?」
道具屋「僕は・・・彼女とは、古い友達です。」
グレイ「そうか・・・何か、彼女について知っていることは無いかい?」
道具屋「僕はあまり知りませんが・・・そうですね、以前一度だけ、彼女が
    黒いローブを着た男と話している姿を見ました。
    そのときの彼女の顔は・・・」
グレイ「恐怖に満ちていたのか?」
道具屋「はい・・・僕は怖くて、そのときは一歩も歩けなかったんです。」
男の体ががたがたと震え出している。
グレイ「そうか・・・悪かったな、思い出させて。」
道具屋「いえ・・・いいんです。彼女の捜査に役に立つのなら・・・」
グレイが邪魔したな、と出るときに、男は思い出したように言った。
道具屋「武器屋の親父さんは、彼女の相談相手によくなってたみたいです。」
グレイ「ありがとよ。じゃあ、次はそこにいってみるか。」
そして、グレイが中から出てくると、アセルスが浮かない顔をして立っている。
アセルス「・・・どうだった?」
グレイ「・・・結構な青年だったな。次は武器屋だとよ。」
アセルスは眉をひそめた。
アセルス「・・・ここには、後でもう一度くる必要があるかも・・・」
グレイ「どうしてだ?」
アセルス「・・・あとでわかるよ。」
11/29/2001