麻雀のSaGa


馬車の中では、あろうことに外とは違うムードが流れていた。
ネメシス「ツモっ!」
グスタフ「・・・満貫か・・・」
あろうことに、麻雀である。
馬車は揺れないのか、と言いたい所だが、ステップは平地が多く、また有り金をは
たいて買ったこの馬車は安定性が高く、滅多に揺れたりはしないのだ。
それに、今はゆっくりのペースである。
麻雀をやるにも問題はない。
あるのは、麻雀と言うゲームが存在する事なのだが・・・
ここで、卓を囲っているのはネメシス、アニー、グスタフ、クローディア。
スカイアは乗り物に弱いらしく、しばし外で涼んでいる。
アニー「ネメシス、バカツキじゃない?」
ネメシス「いえいえ。別にそれほどではないですよ。」
クロディ「ナタリーの負け分を全て返しましたからね。」
ナタリー「ううっ・・・」
始めはナタリーが打っていたのだが、ハコ寸前でネメシスに代打ちをたのみ、
それからネメシスが徐々に盛り返しを見せてきたのだ。
ナタリー「ネメシス、頑張れ!」
アニー「チェッ、次はあたしの親かい!?」
配牌で、アニーはニヤリ、と思わず笑みがこぼれてしまった。
アニー(配牌時でイーシャンテン・・・タンヤオ三色確定、ドラも二つ乗って
    ・・・ピンズの両面に持っていくか・・・)
そして、アニーが牌を切ると・・・
ネメシス「ロン、人和です。」
卓上に電撃が走る。
アニー「なにぃぃぃ〜〜〜!?」
グスタフも無表情を装っていたが、微妙に眉毛が吊り上っている。
クロディ「あんまりじゃないですか?」
仕方ない。
ネメシス「アニーさん、32000です・・・」
さっきまでトップはアニーだったが、今の役満一つで、順位が大きく入れ替わる。
アニー「あたしがラス!?」
500点差でグスタフに抜かれてしまっていた。
グスタフは無表情を装っていたが、微妙に口元が歪んでいる。
クロディ「オーラスですね。」
オーラスはクローディアの親だ。
クローディアはあまり強いとはいえなかったが、ネメシスに食われずにいたので
何とかぶら下がって2着に留まっている。
アニー「くっ・・・クーロンの麻雀女王の名前が廃る・・・」
グスタフ「・・・」
満貫出上がりでもツモでもグスタフはクローディアに逆転できる。
インパチ直撃ならトップも未だ一応・・・
そう思っていた彼に、鋼の鉄槌は振り下ろされた。
3順目、またもや卓上に電撃が走る。
ネメシス「・・・ツモです。」
ご丁寧に倒された牌の並びは、正しくそれ。
アニー「チューレンだとぉ!?」
しかも、純正である。
ネメシス「麻雀って・・・奥が深いんですね。」
いや、深いけどあなたはあっさり潜ってしまったねなどと、プライドにかけて
いえないアニーだった。

この麻雀で賭けられていたものが、一つある。
それは、ラスがトップの言う事を聞くこと。
ネメシス「それじゃあ、アニーさんは私の代わりに馬のお手入れお願いします
     ね。」
アニー「解ってていってるだろ・・・」
アニーには、馬の手入れが一番嫌いな作業だった。
アニー「くそ・・・いつか借りを返してやる〜〜〜」
プル「あ、そろそろ交代の時間だよ。」
ミレイユ「その前に、馬の手入れをしなきゃ・・・随分疲れてきたみたいだし。」
シフ「ネメシスが当番だろ?」
ネメシス「いえ、アニーさんが私の代わりにやるという事になりました。」
シフ「ああ、そうか。じゃあ、アニー、頼むよ。」
ミレイユ「じゃあ、私達も何か食べましょうか。」
ナタリー「賛成!」
それを尻目に、一人馬と戯れるアニー。
アニー「・・・絶対次は勝つ!」
11/27/2001