一生のSaGa


ミレイユ「ステップなんて、何処も同じなのね。」
ガレサステップを北上している一行は、馬車を一つ頂戴していた。
人数が多すぎる為、歩いていくのも何なのでクリステルシティで買ったのだ。
とはいえ、急ぐ旅でもない。
馬は歩き、数は少ないがモンスターがうろうろしているので、変わりばんこに歩き
である。
今歩いているのはプルミエールとシフ。
馬に乗っているのはミレイユである。
ミレイユはさすが最終皇帝なだけあり、馬の扱いも秀でていた。
シフ「ミレイユのいた世界にも、こういう場所はあったのかい?」
ミレイユ「ええ。魔物もあまり多くなくて。
     でも・・・そうね、昔は結構大変だったのよ。」
プル「戦いでもあったんですか?」
ミレイユ「ええ。でも、今それを語っても仕方がないし・・・」
歴代皇帝全ての力と才能と記憶を受け継いでいる最終皇帝ミレイユは、いわば
1000年生きている生き字引のようなものだ。
シフ「・・・でも、悠久のときを超えて戦うなんて、あたしにはロマンチック
   に感じられるけどな。」
ミレイユ「・・・実際は、大変だったけど、その時々にドラマがあって、私は
     それでいいと思ってる。歴代皇帝が築き上げてきた全てを知っている
     のは、もう私一人なんだからね。」
遠い目でよく晴れた空を眺めるミレイユは、皇帝である前にただの女性であるよう
に見える。
プルミエールはその姿を見て、言いようのない胸の熱さを感じる。
プル「立場に縛られていて・・・宿命に縛られて、貴方の人生は、戦いのため
   だけに費やされて・・・それで、一体何が・・・」
言い出さずにはいられなかった。
口に出さずにはいられなかった。
ミレイユ「プルミエール・・・」
しかし、彼女の疑問と胸の支えは、ミレイユを見ていると、何か違う、何処かは
解らないけれど、確かに何かが違うと感じさせられる。
ミレイユ「それでも、」
ミレイユは、空を見たままで呟く。
ミレイユ「それでも、私は・・・楽しかったわ。」
ゆっくりと雲は流れている。
プルミエールも、無言でその雲の動きを追っていた・・・
11/27/2001