警察に入ると、何やらあわただしい空気が流れている。 アセルス「何だろう?やっぱり、難解な事件なのかな?」 グレイ「わからん。」 とりあえず、アセルスが受付のお姉さんに話しかけてみる。 アセルス「ねえ、私たち張り紙を見てきたんだけれども・・・」 受付嬢は少しアセルスに見つめられた頬を赤らめて、暫くお待ち下さい、と 奥のほうへと駆け込んで行った。 アセルス「・・・今の人・・・」 グレイ「どうした?」 アセルス「私を見て、赤くなってたんだけど・・・やっぱり、この体は・・・」 グレイ「・・・いや、違うと思うぞ。」 しばしアセルスはまた悲痛な表情に戻るが、グレイは動じていない。 グレイはそして、冷静に答えた。 グレイ「・・・お前、鏡見てこいよ。」 アセルスはその答えにしばし逡巡し― アセルス「鏡よ・・・」 見つからないように、魔力で小さな鏡を作り出す。 その鏡に映っていた彼女の顔には・・・ アセルス「・・・グレイ、貴方・・・」 口元に、たっぷりとさっき食べたクリームやらチョコやら残っている。 グレイ「美味しいか?」 思いっきり殴られたグレイだった。 化粧室でちゃんと顔を整たアセルスと、ボコボコに殴られたグレイは、程無くして 奥の応接間に招待された。 警視正「君達が、この事件について協力したいと言うのか?」 アセルス「そうです。」 警視正「うむ・・・」 この警視正は人を見る目のよさと、自分の力量や状況把握、部下を操る能力に秀で ていて、その力でノンキャリアから上り詰めた人物だ。 その警視正が、二人を見て感じたのは、まずは、風格だった。 警視正(この二人、特に少女のほう・・・只ならぬ覇気を感じる。) 警視正は話を続けた。 警視正「正直、我々警察もこの事件にはほとほと手を焼いているのだ。 本来なら民間人や旅人に助力を仰ぐのはバファルの警官として恥ずべき 行為なのだろうが・・・」 グレイ「心配要らない。俺は昔、ここで軍事訓練を受けていたのさ。 民間人や旅人よりも、一応は恥も忍べるぜ。」 警視正「うむ・・・」 バファルの警察も、最近はキャリア組が実力も無いのにのさばり、有名無実な集団 と化してきている。警視正はそれを嘆いているのだが、目の前の二人は、明らかに 他の警官たちよりは頼りになるように見えた。 警視正「ならば、我々に代わって少女失踪事件を調べてくれないか?」 グレイ「報酬は?」 警視正「仕事の出来次第だ。」 ふっ、とグレイは一つ不適な笑みをうかべて、たちあがった。 グレイ「解った。引きうけよう。」 警視正「頼む・・・今回さらわれたのは、宿屋の娘だ。まずは、そこで話を 聞くのがいいだろう。」 |
11/27/2001 |