訪問のSaGa


アセルスは、ローバーンにいた。
ここで一悶着あったものだが、今の彼女にそんな事は関係ない。
彼女は今、ローバーン郊外の、工作員であるモニカの家にいたのだ。
モニカ「・・・」
アセルスは必要以上の言葉を出さずに、そして極力モニカを避けているようだった。
モニカがアセルスと接触した理由の一つは、彼女がローバーン公コルネリオの
死亡に深く関わっている疑いがあるから。
そしてもう一つは、何かの強迫観念・・・
彼女を、このまま世にさらす事がよいこととは思えなかったからであった。

グレイとジャン、モニカは軍人時代の盟友である。
そのうちグレイだけは気ままな冒険生活に入り、残りの二人はバファルの親衛隊や
工作員といった立場を取った。
グレイ「モニカか・・・懐かしいな。」
モニカは女性ながらも、隊の中では3番目の使い手であった。
二番はジャンであり、トップは自分である。
当時から彼女は男性に負けまいとして努力していたが、バファルの工作員となって
からは、いっそうその傾向が強くなっている。
グレイ「さて・・・」

モニカ「・・・誰!?」
ノックの音を待たずに、モニカは忍び寄る影を感知していた。
殺気は感じない。殺されているのだろうか。
モニカ「・・・」
しかし、この感じは手練れのもの。
警戒心が強まる。
グレイ「・・・モニカ。俺だ。グレイだ。」
一瞬の空白。
モニカ「・・・グレイ?」
モニカは手にした剣をドアに向かい投げつける。
グレイ「・・・あぶねぇなぁ・・・」
よけたらしい。
モニカ「・・・本物のようね。入って。」
モニカがドアを開ける。
そこには、盟友が昔と変わらぬ灰色の髪と瞳で立っていた。
モニカ「久しぶり。ジャンから話しは聞いているわ。」
グレイ「ああ・・・所で、俺が呼ばれた理由は何だ?」
グレイの素っ気無い態度に、モニカは肩を竦めた。
こう言う所は、昔から全く変わっていないようだ。
モニカ「ええ。奥の部屋にいるわ。」
グレイ「・・・」
グレイは無言で、奥のドアの方へと歩み寄っていった。
11/15/2001