麗しき都のSaGa


アバロンはかつて麗しき都と歌われていた。
今は、もう面影は無い。

エレノア「結構酷い状態ね・・・」
彼女達が一度アバロンに着いたときは、戦況は収まってはいたものの、アバロン
が明らかに不利な状況に居ることが明白な傷跡を呈していた。
コウメイ「一時的な撤退でしょう。時間を置いてまた攻めてくるはず。」
そのとおりだ。
街の門が破られている。城への突入は時間の問題だ。
要所を破壊するところで一段落。エレノアから言わせればそれこそが最も危険
であるのだが、この世界ではそれが定説らしい。
コウメイ「取り合えず、城へどうぞ。」

会議の内容では、アバロンで支度を整えてからチーム分けをして、それぞれの
担当にあたってもらうと言うことになった。
立場上ではアバロン、中立の武装商船団、敵国のカンバーランドの中核を担う
存在がいるのだ。それぞれの内部から工作を行い、うまくサミットへ向け、
最終的には戦争締結、それを目的として。
エレノアだけではなく、誰の目から見ても今のアバロンの当主は器ではないと
見えた。しかし、今は立場をかえるわけにも行かない。
それに、君主では思い切ったことも出来ないのも事実なのだ。
コウメイ「取り合えずは、私はアバロンに残ります。」
マリア「当然、あたしはカンバーランドに行くわ。」
エレノア「・・・ブレインは、武装商船団にも必要でしょ?」
知能陣の分配はすぐに片付いたが、問題は残りだ。
エレン「ねえ、エンリケ。」
エンリケ「なんだ?」
エレン「あたしさ、カンバーランドの方に行こうと思ってるの。」
エレンは現在の実質の武装商船団のトップだ。
しかし・・・
エンリケ「確かに、国際情勢とか交渉は俺の方が慣れているな・・・」
エレン「それにね。」
エレンはエレノアの肩をポンとたたいた。
エレン「エレノアさんは、きっと凄く頼りになると思うし・・・
    マリアさんだって、護衛する人が居ないとヤバイでしょ?」
エンリケ「・・・そうか。オレはお前に従うと決めた。
     お前がそうしたいなら、止めはしないさ。」
残ったのはシェリルである。
シェリル「私は、アバロンに残りたい。」
エレノア「・・・どうして?」
シェリル「この都を見ていると・・・なんだか、心の奥底で、何かが聞こえる
     の・・・なんだか、それが良いものか悪いものかわからないけれ
     ど・・・残らなきゃいけない気がする。」
エレノア「・・・まあ、確かに危険だし・・・コウメイが居れば、多分大丈夫
     でしょ?」
コウメイ「私の方が心配かも知れませんけれどね。」
エレノア「違いないわね!シェリルは強いしね。」
クスクス、と笑みが零れる。
シェリルは漠然とした不安を抱いていたが・・・
この仲間たちに、少しだが、心が洗われてる気がする。
今まであまり感じたことの無い感情・・・連帯感や、絆を感じ初めていた。
シェリル「私は大丈夫だから・・・エレノアも、無理をしないでね。」
エレノア「まかせて!」
そして、天才たちの活躍が、始まる。
11/14/2001